地元の若手市議とサシで話してみて思ったこと①

仕事をやめたい。

でも、仕事をやめたらどうするか。

以前に「作家になれたらなぁ……」という夢物語をほんのり吐露した。

だが、それはまあ、現実的ではない。
もっと現実的(?)な仕事として、私は今、いろいろな選択肢を模索している。

その中で、ひとつの選択肢として十分にアリであり、明確なモチベーションも存在するのが政治家になるという方向性なのだ。

いやいや、メンタル疾患を抱えて政治家なんてやっていけるわけないやん……というネガティブな自分の冷笑も勿論存在するが、今はどっちかというと「軽い軽躁」くらいの、ある意味いちばんプラマイゼロに近い状態の私。なんとか傍若無人なマシンガントークも収まっている。

行動するなら今だ!!


と思って、今日、地元の現職市議と対話(あるいは会話かな)を交わしてきた。

いきなり事務所に押し掛けたわけではなく、ちゃんとアポは事前に取っておいた(たぶん躁が強かったらアポなし強行突破してるし、別の場面で過去にそういう猪突猛進の体あたりを何度かしている私である)。

アポを取った市議も、適当に選んだわけではない。

先月の市議会・定例会議の会期中に、仕事の休みを取って試しに傍聴した常任委員会(これまで議会の傍聴は本会議しかできないものと勝手に思い込んでいたが、そんなことはなかった。この日の委員会では傍聴者は私一人で、傍聴者席は4人分くらいしか用意されてなかったので、委員会まで傍聴する人はおおかた少ないのだろう)で、〝最もいい質問をしていて目立っている〟と私が感じた市議に、メールで会見を求めたのだ。

市議の中では若手の部類に属し、後にネットなどで調べると、中堅どころの期数を重ねており、現在は無所属で、しっかり自分の意見を持って政治に向き合っている方、という印象を受けた。

とはいえ、ぶっちゃけ一介の無名な市民の相手など、本当にしてくれるか疑わしいと思っていた。

全ての市議の連絡先が、市のHPなどで一応は分かるのだが、「載せてるけれど、実のところは形だけで繋がらないとかなんじゃ……」という気持ちだったのだ。

なにせ、30ウン年生きてきたが、リアル政治家と面と向かって話をした記憶は皆無。私なんかのために時間を割いてくれるわけない……と、ダメ元どころかナシのつぶて不可避と思い込んで送ったメール。

ところがどっこい!

その日のうちに返信が来て、「よろこんでお会いしますよ」「日程はどうします?」とトントン拍子で話が進み、市内の主要駅の駅直結施設内にあるカフェでお話しをすることに。


えらいこっちゃ!

議員様に会いに行くのに問題ない服装ってどんなだ!
と悩む間もなく、カジュアルな格好でお越しくださいとの言葉を頂いた。
議員ってこんなにフレンドリーなもんなのか?
比較対象がいないので、とりあえずこういう方もいるのだろうと自分を納得させた。

そして、本気で立候補して、社会の一部の悪しき風潮を変えたいという気持ちと、でも陰キャコミュ症おじさんが弁の立つ議員なんてできるわけないやん!というセルフネガキャンに苛まれた。

だが、とにかく、これも一つの経験ということで、せっかく市議さんの貴重な時間を頂けたのだ、「軽い軽躁」の風速10メートルくらいの勢いを追い風にして勉強させてもらお!と、勇み足に家を出て、待ち合わせ場所のカフェに向かったのだった。


駅に着いて、指定されたカフェに辿り着く。
構内にほど近く、ほぼ直結といってもいい立地。
全席禁煙で、Wi-Fi利用可、コンセント完備、ソファ席も有り、隣の本屋から数冊だけなら持ち込んで試し読みも可能――と、なかなか好スペースなカフェだ。


私は市議の顔を知っているが、ここまでメールのやり取りだけだったので、市議は私の顔を知らない。

委員会の傍聴席に座っていたが、市議ら委員が鎮座する席からは遠く離れていたので、先方も私のことは覚えていまいと思っていた(メールにて委員会を傍聴したことは伝えていた)。


自分から声かけなあかんのかぁ……。
まちがえて知らないオッサンに声かけたりしたらヤだなぁ……。
などと弱気になる。
この程度の声かけに気後れするとか絶対にコミュ強な議員なんて向いてないやろ!などと内心で呆れつつも、店内に入る前にざっと客層を見渡してみて、すぐ手前の二人席に座っている後背の男性に目が行った。

あ、たぶんあの人。
後姿だけで顔は見えないが、たぶんあの人。

こちらにラフな格好でと提案してきた先方も、気取らない私服姿のようで。

背中だけで顔を確認したわけではないが、「この人!」と即断できたのは、ほかにそれっぽい年代の男性が見当たらなかったこともあるが、彼の私を待つ間の所作に注目したからだ。

市議さんは、本を開いて読んでいたのだ。

他の一人客はほぼ例外なくスマホを触っていたが、後姿の彼だけは、新書っぽい本を読んでいた。

これは偏見もあるかもしれないが、政治家のような頭をフルで使う印象のある職業のひとは、大いに本を読んでいる印象がある。

そして、当該市議のHPを事前にチェックした際、市議の後援団体が発行していたチラシ(PDFで閲覧した)に、彼の「書評」コーナーがあったのも予想を補強した。そのコーナーでは、科学史やビジネス書などが4冊ほど取り上げられ、〝最近の読書〟と記されていた。〝最近〟がどれほどの期間かは、人によりけりかもしれないが、少なくとも本をよく読む人なのだろうとは想定できていた。そして、なにかと多忙であろう市議ならば、こういう待ち時間のようなスキマ時間は読書に充てていても何ら不自然ではない。


以上の点から、顔を確認するまでもなく、私は彼が「お目当て」の市議だと確信できたので、「〇〇さんですか?」と、斜め後ろからスンナリ声を掛けることができた。

なんか、私の愛読する米澤穂信作品に出てくるちょっとした日常の謎を解くときの「探偵役」の一連の思考の流れみたいな感じになってしまったが、この間、2秒ほどである。

後で思えば先方も、店内に入ってキョロキョロするかもしれない私にすぐ声かけしやすいように、店の入り口にあたる手前の席を陣取っていたのかもしれない。

というわけで、私が確信を持って議員さんに声を掛けると、先方からも飾らない笑顔で挨拶をされた。

委員会の際は遠目だったし、HPの写真だけではまだ縁遠い存在と思われたが、こうやって面と向かってみると、当たり前だが、議員さんも一個人の市民であり、周りに溶け込んでおられると思った(そらそうよ)。

だが、それは政治家らしいオーラがないとかそういうことではなく、政治家としての物の考え方や、政治家としての在り方や知識の幅などについては、それから2時間ほど会話を交わす中で、十分に伝わってきた。

正直言って、政治家の不祥事が大いに取り沙汰される今だからこそ、こういうひた向きに仕事に取り組んでいる議員さんもいることを世間に知ってもらいたいなぁ、と思えるくらいに、いい話を聴かせていただいた。

次回に、市議さんから学ばせてもらったことについて、内省する意味も込めて、私の言葉で綴っていきたいと思う。

彼に関わる文面を作って公開していいかというような確認をさせてもらったわけではないので、個人のプライバシーにかかわるようなことは書かないが、こういう場で誰かに伝えたいくらい、感銘を受けてしまった。

例えば、次回の市議選で私が現に出馬に踏み切れるかどうかはまだ自分でも分からない(そもそも、改めて思えばそんな安直に決められるものではない)。

だが、この度、現職市議とナマの会話を交わせたことは、私が今後どんな道を歩むにせよ、プラス材料になったと私は思うのだ。

(つづく)














おおむね2時間ほど。


いいなと思ったら応援しよう!