「そげだ 木次、行かや。」―18きっぷで明石から木次線へ
「そうだ 京都、行こう。」という有名なキャッチフレーズはたぶん誰しもご存じだろう。
これを出雲弁で表してみたら、たぶん「そげだ 木次、行かや。」あたりになるのではないかと思っている。
いや、正確には知らんけど。
両親が島根県雲南市(父はかつての三刀屋町、母は木次町生まれ)の出身とはいえ、私は兵庫の明石育ち。父母はいずれも標準語で話していたので、子どもの頃は両親の影響を受けてほとんど関西弁になじめずに苦労した(と言っても、そもそも家族以外とほぼ喋らなかったのでそんなに問題はなかったが)。
したがって、私が出雲弁に接するのは、ほぼ、両親の実家に帰って親戚に会うときだけだった。とはいえ、独特な印象のある出雲弁は、幼少期から結構印象に残り、
「あげだあげだ(あれだ、あれ)」
「そげそげ(そうそう)」
「中飯(ちゅうはん=昼ごはん)にしちょるけん」
「おべたわ~(驚いたわ)」
「暑うて体がえらくて(しんどくて)いけん」
これくらいの方言はすんなり覚えるに至った。
最初の頃に「あげあげ」って言う伯母の顔を見て(お揚げ? きつねうどん?)などと皆目見当違いな連想をしたのは内緒。
まあ、そんなわけで、木次である。
読めますか?
木次(きすき)という地名で、JR木次線という路線名にも採用されているので、鉄道に詳しい方は結構読めるかもしれない。
今度の平日に有給が取れたので、広い意味で私の故郷である雲南市にまた行こうと思っている。
今回は青春18きっぷを使って。
私の家の最寄りはJR山陽本線の西明石駅なので、鉄道縛りで行くならば、新幹線で岡山まで出て、そこから特急やくもで宍道駅まで山陽から山陰方面へ縦断し、宍道駅から木次線で南下するのがたぶん一番早い。
そして、そのルートは6月に行った。タイミングよく往復で引退間際だった旧型やくもと新規導入されたばかりの新型やくもの両車両に乗車できたので、そこまで鉄道好きではないのだが、めっちゃ写真を撮ってしまった。
だが、今回は時間があるので、じっくりゆっくり、在来線の旅を楽しむつもり。
18きっぷは前々からよく利用している。雲南市への帰省でも、今は亡き父親と一緒に利用したことが何度かあった。
もっともよく使ったルートは、やはり新見から芸備線で備後落合駅まで行って、木次線に乗り換えるルート。
備後落合駅に行ったら「いつもいらっしゃる」名物の元駅員おじさんとか、木次線の三井野原駅と出雲坂根駅間のスイッチバックとか、結構見どころが多くて、田園風景や山奥の森閑とした雰囲気も、私は好きなのだ。
現在、芸備線も木次線も、将来的に存続するかどうか微妙な空気になってきている。何とか残ってほしいなと思いつつ、年に1度程度でしかないが、芸備線を利用して、あの懐かしい中国地方の秘境の空気感をまた味わいたいと思う。
余談。
西明石駅から木次駅まで、がっつり在来線のみの移動でだいたい8時間かかる。乗車時間は約6時間50分で、待ち時間が1時間強。
次回の木次行きでは、午前8時45分に出発し、午後4時49分に木次駅に到着予定だ。
18きっぷの旅では、大幅な遅延がとにかくNG。今のところ好天の予報だし、大丈夫でしょ、と楽観しているが、さてどうなることやら。
(了)