みなさん、こんにちは。今回もトランプ大統領就任演説を分析していきたいと思います。全文は以下を参照しました。
今回の目次は以下の通りです。
トランプ氏の貨幣観、経済観
トランプ氏は財政支出が多すぎることと、資源価格の高騰が今日のインフレを起こしていると述べています。前者はディマンドプル型、後者はコストプッシュ型のインフレとなります。対策として、drill「採掘する」と言っているので、コストプッシュ型のインフレにはそのように対処するのでしょう。しかし、アメリカのコアCPI(日本で言うコアコアCPI)は昨年12月時点で、前年同月比+3%程度なので、そこまで是正する必要はないように思います。それに、バイデン政権下での大規模な投資は財政支出した瞬間は需要を押し上げますが、投資の効果が出てきた頃、つまり、米国内の生産能力が強化される頃にはインフレ抑制効果が強く働くので、大型の財政出動も否定すべきものではないと思います。改善するとすれば、株主資本主義を是正して、設備投資と労働者の賃金に企業の利益が向かう構造を作るべきでしょう。
この分析は以下の書籍を参考にしました。
また、米国のコアCPIは以下を参照しました。
アメリカは再び工業大国になると宣言しています。そして、世界最大級のオイルとガスを持ってして経済を原油価格を押し下げ、余剰分は世界中に輸出して儲けるという構想ですが、やはりトランプ氏はどこからかお金を調達しなければならないという考えに縛られているような気がします。政府は貨幣の発行者であり、政府支出に資金の調達が必要がないことを知らないのでしょう。
イーロン・マスク氏をトップにすえると話題の効率化省ですが、日本の維新的な感じで無駄削減をして、国力を削がないか心配です。
輸入品に課税することで、国内の雇用を安定させることはわかります。しかし、国内の税金が海外に流れているだとか、海外から徴収したお金を国民に渡すとか、そもそも通貨が違うのに何を言ってるんだろうという感じです。しかも、海外から徴収したお金を管理する省まで作るというのですから、やはり貨幣観が間違ってるとしか言いようがありません。トランプは積極財政派ではなく、維新的な緊縮財政派だと言えるでしょう。その代わり、特定の産業政策には力を入れるみたいです。ここは、維新とは違うところですね。
企業家としてのアメリカ
不確実性がある中、大規模長期計画的な投資をして、イノベーションを起こすのは政府であると説いたマリアナ・マッツカート。
トランプ氏は宇宙政策に力を入れるようです。
マニフェストデステニーを宇宙にまで拡大するとは、この人は本気で宇宙に自国の領土を持つ気なのでしょうか。注目です。
ここでも、expands our territoryと言っています。これは地球の話なのか、宇宙の話なのかどちらなのでしょう。どちらもという可能性もあるのでしょうか。このフレーズは、今後のトランプ政権の動向を分析する際のキーとなるかもしれません。
ということで、今回はトランプ氏を経済的視点で分析してみました。貨幣観はダメダメですが、宇宙産業政策、そしておそらく軍需産業にも力を入れると思われますので、イノベーションも起こると思います。そして、日本みたいなド緊縮財政にはならないと思いますが、庶民に関わる減税政策や給付政策はしないと思います。今後も注視していきます。
今回はここまで。
以上