映画「カラオケ行こ!」を観た頭のわるいまとめ

※ネタバレを含みます。
幸せな映画化でした……。

2024年1月17日水曜日、私は観たい海外ドラマの字幕が表示されず時間を持て余していた 。昨夜観たそしてもくりで語った、けれど消化出来ない映画のことをまとめる事にしたのだった。
そうです、昨日私は「カラオケ行こ!」を観てしまっていたのでした。


「カラオケ行こ!」は漫画原作も好きなのですが、映画には映画の良さが随所に散りばめられ素晴らしかった。映画を観て素晴らしかったことを頭悪くざっくりまとめます。だってあれから頭がまともに動かないんだ……。

音があるって素晴らしい

当たり前だが映画には音があるのが素晴らしい。合唱曲とカラオケ曲が容赦なく入り乱れ、下手なのも上手なのもそれぞれいいね素晴らしいねってのが主題でもあると思うけれど、それがすんなり受け入れられる映画の作りなのがとてもよかった。大変耳福な映画でした。
しかしサブリミナルではなく大っぴらに「紅」を刷り込まれるため、観終わるとどうしても、「紅」を叫びたくなってしまう。危険である。

和訳が素晴らしい

「紅」の英語の歌詞を思わず和訳してしまう聡実くん。さすが中学生。訳がかわいらしい。そしてこれを歌う(語る?)狂児、めちゃくちゃハマっててずるい。先生、ハートがめっちゃ痛いです……!

ももちゃん先生が素晴らしい

合唱部の副顧問のももちゃん先生の絶妙に生徒と分かり合えないズレてる感じ。なんでも愛で押し通そうとする雑い感じ。生徒にちょっと諦められつつも許され親しまれている感じが、あるある先生で最高である。ピアノの伴奏も素晴らしかった。

映画を見る部が素晴らしい

古い映画をビデオテープで見るだけの部なんて入部したいに決まってるじゃないですか!部長の栗山くんの平坦で安定しているところが素晴らしい。しかも巻き戻しが出来ない壊れたビデオデッキだなんてオチもある。掛け持ち幽霊部員6名も気になるし、亡き天本先生も気になる。気になるところだらけなのに、当たり前のようにしっくりはまって聡実くんを受け止めているところが素晴らしい。モノクロ映画のチョイスも見事でした。

生徒たちが素晴らしい

原作にはない和田くんの情熱が引き起こす小さな騒動のせいで、そこにつながるのか〜という脚本が素晴らしい。
女子たちの低燃費な感じがどこにもいそうで、ああ、なるほどこれは「女の園の星」の世界観!と監督&脚本のタッグに改めて感謝したくなりました。

両親が素晴らしい

聡実くんの両親が素晴らしい。特にお父さんはほぼセリフがないのに、傘やお守りのシーンという大事な所をかっさらっていく印象深いキャラクター。聡実くんの部屋にあるアレコレはお父さんからの贈り物かな、と思えてしまうほどの困ったリアリティお父さんである。
お母さんは、坂井真紀だって気が付かなかったくらい違和感なく聡実くんのお母さんでこちらも素晴らしかった。なんといってもおふたりの鮭のシーンが大好き。愛すべきご両親でした。

主演の二人が最高に素晴らしい

言わずもがなだが、齋藤潤と綾野剛の聡実と狂児が最高である。
この年齢で!今!撮影してくれてありがとうでしかないし、ぜひとも続編の「ファミレス行こ。」へ繋げてほしい。
綾野剛の極限まで抑えた演技でも溢れ出てしまう大人の色気がたまらない。罪である。
齋藤潤の今しかない初々しくも瑞々しい輝き!その未来がまだ空白であることの素晴らしさ。無垢である。
こんな罪と無垢のタッグ、どうしたらええんや!!!!
もう呻くことしか私には出来ない。
聡実くんを見つけてしまった狂児。
狂児に見つかってしまった聡実くん。罪な出会いだよホント。
始まってるのに決して始まらない言葉に出来ない関係性の絡まり。苦しい!!

監督&脚本が素晴らしい

野木脚本は、私の好きなドラマの脚本を沢山書かれているので信頼しているのですが、今回も素晴らしかった〜〜〜。(余韻)
山下監督、あまり過去作に触れて来なかったので調べまして、ああ、味園ユニバースの方か!と合点がいきました。最高に良くてダメなクズを描くのがうまい方だったぁ……。(沼の予感)これはぜひとも他の作品も観たくなりました。楽しみが増えました。素敵な映画をありがとうございます。

まとめ

原作あるものの実写化や映像化は数多あれど、これは文句なしに幸せな「映画化」だったと思いますし、またこの世界を体感したい。ひったひたに浸りたい。続編に繋げたい。繋がって!という気持ちでいっぱい過ぎて怖いです。

自分の世界に突如割り込んで来た、狂児という雑音が消えて、静寂が戻ったはずの世界で感じる微かな空虚。あれは全部マボロシだったのではと疑ってしまうほどの強烈なファンタジー。爽やかで浄化されていくのに、心の中はスカスカと風が吹いて成長を促されるようラストシーン。
なのに、エンドロールの後!こら!ずるい!それはずるいくないですか?これじゃあ私たちもずるずると離れられなくなる……、こんなの沼ですやん……。

聡実くん狂児なんかとつきあっちゃイカン!という気持ちと、でも離れなられないのも分かる……、なんという矛盾!
なんという光と影!
感情が行ったり来たりで落ち着かない!これはもう一度確かめにおかわりするしかないのでは?という魔のループにハマりそうです。怖いです。

小指を隠すシーンも好きだし、屋上も堪らないし、パンフの裏も見て欲しいけど、私が一番息を飲んだシーンは、これ。

「聡い果実」

あああああ……。
こんなの綾野剛狂児のミラクル低音ボイス
で囁かれたら無理じゃないですか…………。
頭を抱えて呻くことしか出来ないじゃないですかぁああああ。


みんな、映画館へ行こ!
そしていつか私をファミレスまで連れて行ってください!

(2024年1月21日 加筆修正)

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