あたらしい しょうがっこうの つくりかた
この本を読みました。
つい最近、中川綾さんにお目にかかれる機会がありました。
たぶん、対面で直接会うのは4回目。
1回目は、横浜のジーンさんの教室を見に行ったとき。
2回目は、とある大学の先生のセミナーが、急遽、開かれたとき。
3回目は、東北で『学び合い』のシンポジウムがあったとき。
4回目は、ほんの先月、風越学園で。
綾さんに会ったばかりだったので、親近感をもって読み始めたわけですが、これがとんでもなく面白い内容でした。
日本で、イエナプランの学校を、どのようにしてつくっていったか。
タイトルが「つくりかた」と、How to っぽいにも関わらず、終始、どんなことを大事にしていったのかという「コンセプト」が、エピソードとともに正直に丁寧に書かれていて、好感度も高く、文体も読みやすくて、ほぼ一気読みしてしまいました。
「学校」とは、なにか。
イエナプランの大日向小学校。「イエナプラン」ということが全面的に出てくるのかと思いきや、イエナプランそのものが「コンセプト」であり、そのコンセプトとは、幸せに暮らすために、地球人として私たちはどうあるべきか・・・といった、誰に当てはめても矛盾のないコンセプトなので、押し付けがましいこともないし、実際とても慎重に、丁寧に丁寧に進めてきたことが伝わってきました。
まったくゼロの状態から、学校をつくる。
何が大事で、何が必要で・・・。
そんなことが豊かなエピソードと共に描かれていて、心と頭に染み入るように、心地よく読み進めました。
同時に、今の公立学校が、要るものも要らないものも、見分けがつかないぐらいにゴテゴテに詰め込まれているような気もして、ちょっとずつ要らなそうなものを削ぎ落としていきたい思いにもかられました。
人
特に、そこに住む地域の人たちとの「つながり」についてのエピソードが面白くて、学校をつくっていくうえで、そこを丁寧に大事にしていたことがよく伝わってきました。学校って、その地域のものなんだなあ。新しくつくるといっても「よそ者」のままつくれるわけではなく、そこにどっぷりとつかって(←こんな陳腐な表現でいいのか・・・)地域の人たちと一緒につくる。それは大日向小学校だけでなく、どの学校でも同じことが言えるのだろうと思ったりもしました。
楽園があるわけではない。
ところどころに、大日向小学校について「楽園が、そこにあるわけではない」という表現が出てきます。実際に大日向小学校を見に行ったわけではないので詳しいことは分からないけれど、そこには普通に、楽しいけれど問題もある「理想的で素敵な空間!」と楽観できないようなこともあるのだろうと推察します。でもコンセプトをはっきり共有し、みんなでつくりだしたり、見つけ出したりする。そういう点では、素敵な空間がそこにはあるのだろうと思います。
この本が書かれてからもう数年経つので、綾さんは、また次のフェーズに向かっていることと思います。
でも、この時の、その瞬間の、あたらしい学校をつくった時の思いや、エピソードは、これは本当に「記録に残してくれてありがとう!」と感謝せずにはいられない、そんな本でした。
とくに今、私は「学校って、なんだろう?」みたいなことでモヤモヤしているところだったので、「大切にしたいことがブレないように学校づくりに突き進んでいく様子」が痛快で、とっても爽やかな読後感でした。
新年から、ものすごく良い読書ができました。
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