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Canon EXPO2023(前編)

皆さんは、キヤノンと言えばどんなイメージをお持ちでしょう?
カメラメーカー、プリンターメーカーといったところでしょうか。

2015年の開催以来、8年ぶりにCanonEXPOが2023年10月19日から2日間、パシフィコ横浜(横浜市)で行われました。

会場で目にしたのは、これまでのキヤノンのイメージを覆すものばかり。
私たちが身近に感じているイメージング(カメラ)、プリンティング(プリンター)に加えて、CT等医療分野のメディカル、半導体デバイスの生産を支えるインダストリアル、4つの事業領域に広がっていました。

EXPOの概要や見所については、下記のオンライン記事で取り上げられています。

今回、僕は地域の企業と連携して事業を行うプロデューサーの視点(前編)と写真・動画を受託で撮影するカメラマンとしての視点(後編)で解説していきたいと思います。

\この記事はこんな方におすすめです/
 ①医療、介護、製造、農業、小売業の方
 ②DXに関心がある方

前半は、皆さんの職場でも浸透しつつあるDX(デジタル技術の活用)の業種ごとの事例を動画や写真を交えて書いていますので、気軽に読んでいただければと思います。


キヤノンマーケティングジャパンのDXソリューション

キヤノングループには、イメージング事業の領域にあたるカメラ・プリンターの製品事業を行うキャノン株式会社、日本国内のマーケティング活動とソリューション提供を行うキャノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キャノンMJ)があります。
キャノンMJでは、キャノンの祖業であるイメージングとIT技術を用いて、幅広い業種や業態にDXソリューションを提供しています。

病院・介護施設内でのDX

ご紹介するのが「遠隔患者ケアソリューション」と呼ばれる取り組みです。
具体的には、病室内のネットワークカメラとナースステーションが繋がっており、仮に患者が病室内で転倒した場合、ナースステーションに異変を知らせるサインが届くようになっています。

実際のデモンストレーションの様子。

キャノンの画像認識の技術により、転倒したことを瞬時に判断して伝えています。

その他にも、患者自身の病室内でのプライバシーがまる出しにならぬようモニター上に「ぼかし」を入れられたり、夜勤昼勤の引継ぎ時、ナースが使っている紙製ふせんの代わりに、申し送りメモをモニター上に入力表示できたりと、様々な機能が付いていました。

モニター右下。ぼかしの具合も調整できる。
ふせん機能。紙のように剥がれるリスクがない。

工場製造ラインでのDX

【この取り組みから得られるメリット】
①病室内で転倒し怪我などをした場合、早期に対応ができる。
②病室内を映すモニターをぼかすことで、患者のプライバシーを守れる。
③入力表示のふせん機能を使うことで、申し送りの伝達ミスを減らす。

GDPにおける製造業の割合は約20%で、産業の中では最も高いです。
ものづくりの様々な工程において、キヤノンのDXソリューションが活躍しています。
会場内では、自動車製造業の組立作業を想定したデモプレイが行われていました。

下段のモニターがデモプレイの様子。

組立作業者は、モニターに映し出され手順に沿って作業を進めます。
手順と異なる作業を進めると警告がモニターに表示されます。
また、作業手順だけはなく、取り付け方が間違っている場合にも同様の警告があります。

真俯瞰にセットされたミラーレスカメラ。捉えているのは小さなネジ。


目では判別が難しい僅かなサイズ違いのネジもカメラが検出する。

これまでは、習熟のために熟練の作業者から指導を受けたり、取り付け間違いや傷がないか確認する検査人員が必要でしたが、キヤノンMJのDXソリューションによって人件費削減、不良品の流出を未然に防ぐなど業務改善に繋がっています。

【この取り組みから得られるメリット】
①材料搬入時、組立、工場出荷前の検品作業人員の削減。
②作業習熟にかかる指導人員の削減。
③機械が不良品を識別するためミスが少ない。

農業のDX

スマホで撮影した成熟前のイチゴの写真をクラウド上にアップロードすることで、いつ、何個収穫出来るか予測できるシステムです。

キヤノンが長年のイメージング事業で培ったカラーサイエンスのノウハウによって、撮影時の葉の色合いからAIが収穫時のシュミレーションを行います。
また、オンラインで生育状況を農業指導員と共有するので、近くに同じ種類の農産物を扱う先輩農家がいなくても指導を受けることができます。

事業の概要。


収穫の予測が数値化されている。

【この取り組みから得られるメリット】
①収穫量を勘と経験に頼らず数値化でき、早期に収益予測ができる。
②オンラインで農業指導を受けることができる。

スーパーマーケットでのDX

スーパーマーケットなど小売業で惣菜を販売される事業者にとって、とても便利なDXです。

陳列スペースに並べられた二種類のお弁当(下記、写真参考)の真上に小型のカメラが設置されており、在庫状況がモニター上で確認することができ、在庫が一定数になった場合に知らせてくれます。

在庫状況を確認するスタッフの労力や売りたい時に売るものがない(機会損失)状況を減らすことが出来るようになります。

お弁当が陳列されている。
陳列されたお弁当の上に小型のカメラが設置されている。
お弁当別の在庫状況がモニターで確認できる。

前編のまとめ

日本の中小企業において人材不足が深刻化する中、DXは急務であると感じつつも最新技術に馴染みがないことや急激な職場の変化は内部のアレルギーを引き起こすと二の足を踏んでしまう経営者も多いと思います。

ただ、今回のキヤノンの医療、製造、小売のDXをみた中で感じたのは、カメラも軽量小型化していることもあり、スペースを使う大掛かりなものは少なく、実際に見てみると導入のハードルが高いものはありませんでした。

IT関連の国の補助金などを上手く使いながらDXが導入出来れば、人手不足や労力負担の解消する未来が見えてくるかもしれません。

次回の後編では、カメラ好きの方々の大好物であるイメージング(カメラ、プリンター)事業の最新技術に触れたいと思います!



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