写真集制作の工程(後編)
福島県を拠点に写真家をしている熊田誠です。
今回は2023年4月に出版しました写真集「海とはなにか」をクリエイターの視点で解説します。
↓前編をまだご覧になっていない方はこちらから↓
後編では、富山県富山市にある創業100年以上になる「株式会社 山田写真製版所」での印刷の様子を中心にお届けします。
写真集制作の工程(後編)
(株)山田写真製版所 富山本社へ
2023年3月17日、僕と息子の士恩(当時4歳)は、6時22分上野駅発金沢行きの電車を上野駅のホームで待っていました。
前編から読んでいただいている方は、どうして度々子どもが登場するのか気になっていたかもしれません。
実は、本作「海とはなにか」のカメラマンとして、息子も参加し撮影をしていたのです。
彼の写真がどこで登場するのかは、写真集を見ていただければ幸いです。
息子には、携わったクリエイティブが最終的にどのように形になっていくのかを見てほしかったのです。
富山駅の改札を出ると(株)山田写真製版所プリンティングディレクターの高 智之さんがお出迎えに来てくれました。
山田写真製版所の計らいで、製版所に向かう移動には通称「市電」と呼ばれる路面電車を利用しました。
富山市の中心市街地はモダンな建築物が多く感じました。
市電に揺られながら、目的地である山田写真製版所 富山本社に到着。
最新鋭の印刷機で印刷。テクノロジー×技術者の目。
第5別館に到着後、高さんからこの日に印刷を担当してしてくれるオペレーター(技術者)の方を紹介してもらいました。
当日は下記の流れで工程が進んでいきます。
①テストで各印刷範囲ごとに刷る。
②高さんが当日の発色を確認して、OKならサインをする。
(写真家も立ち合いなら確認後にサイン)
③当日の印刷担当技術者さんがそれを基に印刷開始。
この①〜③をページ数などに応じて繰り返します。
全ての写真家が、印刷の現場まで来ることはありません。
ただ、このテストプリントの場に立ちあえるなら、その場で色味の調整がお願いすることが可能です。
どんなに校正をかけても、機械や見る人の目の調子や感覚で少し違うなと感じることはあります。僕自身、少しイエロー被りに見えた一箇所を調整してもらったくらいです。
凄いなと感じたのが、オペレーターの現場での対応力です。
高さんと色の調整について、一言二言やり取りをしたあとに再度テストプリント。
確認してみると、全く色の違和感のないプリントに仕上がっていたのです。
午前9時から始まった印刷でしたが、午前中で完了となりました。
印刷の空き時間は、山田写真製版所の高さんに各館内を案内してもらい、フィルム写真専用の印刷機械、色の調合や紙をカットしている現場など見てまわりました。
高いテクノロジーを積極的に取り入れながらも、技術者の目や経験を大事にしているのだなと感じました。
僕自身、書籍制作についての知識がまだまだ足りません。今度はもっと楽しむことができるよう、オフセット印刷のことも次回までに勉強したいと思います。
今のところ次回作についてはノープンですが、3〜4年に1回は新しい写真集の制作が出来たらいいな。
是非、写真集制作、書籍作りに関心が湧いたという方は是非、山田写真製版所さんにお問合せください。
写真集が気になった方はこちらのWEBサイトで実際に購入できます。
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