映画[スペンサー ダイアナの決意]
導入から既に不穏な空気。軍人達の登場に
”えっ?軍人?”と少々驚き。ダイアナを描く映画なのに、あまりにも似つかわしくないから。映画は始めから終わりまで常に重苦しい空気に満ちていて、ダイアナの苦悩がこちらにも伝わってくるよう。
ダイアナの苛立ち、ピリピリとした周囲の人々。唯一ホッと出来るシーンは二人の王子とのゲームの時間だけ。
料理長や衣装係との会話を中心に話は進む。夫や女王、他の王室メンバーとの会話は殆どない。それが彼女の王室での立場を自ずと表している。
劇中ダイアナは子供だという表現が出てくる。確かに彼女は、よくも悪くも感情を出さず振る舞える周囲の王室メンバーと違い、自分の気持ちが素直に出てしまう幼さがあると思う。その点は観ているこちらもハラハラするし、女王や夫がイライラする気持ちも分からなくもない。
何度も遅刻したり、奇異ともとれる行動をしてしまうのは王室という特殊な環境では、敵をつくる格好の理由になる。
まだ幼いウィリアムズ王子が”おばあ様を待たせてはいけない、早く!早く!”と絶叫するのはもう親子逆転で、こんな小さな子供に心配をかけて、、、と思ってしまった。
ただ、服装のことでネチネチいわれたり、”ルールが全て、ルール通りにやるんだ”とまるで意思の必要ない人形のように扱われるのは、やはり彼女は籠の鳥だったんだな、、、と。
彼女の行く末を知っているだけに(劇中では彼女の死は描かれていないが)何度も途中こみ上げるものがあり。
タイトルがダイアナの実家である”スペンサー”とあるのが強烈なメッセージではなかろうか。
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