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騙され慣れた私たち

コンフィデンスマン英雄編を見てきた。
テレビシリーズは、第二シリーズを何度か見たぐらいなのだが、劇場版は全て見ているので今回も見ようと思っていた。
ロマンス編、プリンセス編、英雄編、それぞれテーマがあって、英雄編のテーマは本当の英雄とはどんなものかがクローズアップされていたと思う。

文字通りコンフィデンスマンは詐欺師のドラマであるから、視聴者である私たちもすっかり騙され慣れて、ダー子達三人がいかにピンチになろうとも、結局最後には勝つんでしょう?という穿った見方をしてしまうため、驚きに関しては回を重ねるごとに下がってしまうのは事実だ。
個人的にはプリンセス編の「本物も偽物も関係ない、信じればそれが真実」というテーマで、コンフィデンスマンとしては完成してしまったような気がするから(もちろん英雄編のテーマも素晴らしいけれど)今回の作品ではそれを超えられないとは思っていた。また、前作まで出演されていた、偉大な役者を2人欠いた状態で、作品を完成させるのは至難の技だったろうなとも思う。もちろん今作品には偉大な2名が映ることはないが、作品の重要な場面で活躍を表現されていて、脚本家のリスペクトを感じてよかった。

その上で見どころについて個人的な感想を述べる。今回の映画の一番の見どころは瀬戸康史の演技だ。彼は見た目が可愛らしいこともあり、配役は好青年の役があてがわれることが多いが、今回の役はインターポールのエリート捜査官(実は詐欺師)で、自分の実力を過信し、他人を見下し、整った顔立ちに負けないくらい嫌な奴を演じた。特に赤星役の江口洋介に対する振る舞いは、同年代のサラリーマンにとっては腑が煮え繰り返るように感じられたと思う。そんな彼を見て、私は彼の演技がもっと見たいと率直に思った。小日向文世ら錚々たる役者人の中できらりとひかる演技をした彼は、この映画で役者としての可能性を広げたと思う。
また、テレビシリーズからタッグを組む、Official髭男dismの主題歌もとても良い。ロマンス編でPretenderが大ヒットしたため、バラードのイメージが強いが、彼らの真骨頂は今回のAnarchyのような、皮肉をポップソングに包んだ曲にあると思う。今回は同時期に発表された曲に話題性がある曲が多かったためか、大ヒットには至ってないように感じるが、個人的には彼らの代表曲となるような名曲と思う。私はこの曲のサビである、「何の価値もない夜更け」という歌詞がとても好きだ。ぜひ劇場の恵まれた音響のもとで聴いてもらいたい。
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