インボイス制度 どう乗り切るか
少額特例、公共交通機関特例ってなに。出張旅費は?
複雑なインボイス制度、ラクできるところはとことんラクしたい人に読んでほしい。
少額特例
内容
一番使える特例、少額特例。小規模の事業者の事務負担軽減のために設けられた制度。
具体的には、一定規模以下の事業者が行う税込1万円未満の仕入れや経費の支払いはインボイス保存が不要で仕入税額控除ができる。
支払の相手先がインボイス登録事業者か否か、免税事業者か否かは関係ない。
インボイス登録事業者への支払いと同様に扱えるので、消費税は全額、仕入税額控除が適用できる。
税込1万円未満の判定単位
税込1万円未満の課税仕入れは、一回の取引の税込金額が1万円未満かどうかで判定する。
一商品ごとの金額ではない。
したがって、5,000円の商品と7,000円の商品を同時に購入した場合(合計12,000円)には、少額特例の対象とはならない。
この特例が使える一定規模以下の事業者とは?
基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者 または
特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者
基準期間とは、個人事業者はその年の前々年。
法人はその事業年度の前々事業年度。
つまり2年前の課税売上高で判断する。
特定期間とは、個人事業者は前年1月から6月までの期間。
法人は前事業年度の開始の日以後6月の期間。
つまり前年の前半部分の課税売上高で判断。
期間限定
少額特例は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間が適用対象期間。ん~期間限定と言わず永久的に適用してほしい。
その他、インボイス不要なもの
3万円未満の公共交通機関や出張旅費
国税庁のQ&Aによると、3万円未満の公共交通機関や出張旅費はインボイスの保存は不要とのこと。
公共交通機関特例とは
3万円未満の公共交通機関はインボイスの交付義務が免除されている。
これを公共交通機関特例という。
3万円未満かどうかの判定
切符1枚の金額ではなく、
1回の取引の税込価額で判断する(基通1-8-12)。
【具体例】
東京‐新大阪間の新幹線の大人運賃が 13,000 円、4人分切符を買うなら、4人分の 52,000 円で判定する。
なので、1人ずつ切符を買ったら特例が使えるけどまとめてみんなの分を買ったら特例が使えない・・・
そもそもバス会社や鉄道会社でインボイス登録していない会社なんて無いと思うので、正直この特例がなくても仕入税額控除は問題なくできるんじゃ・・
この金額の制限が何のためにあるのか不明だけど、まあ特例なので使えるものは使っとこうか。
出張旅費
社員に支給する出張旅費、宿泊費、日当等は課税仕入れに該当し、
一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる。
つまりインボイスの保存は不要。
ただしその出張に通常必要であると認められる部分に限る。
(=所得税が非課税となる範囲内。所得税基本通達9-3)
そもそも社員はインボイス登録事業者ではないし、社員にインボイス発行を求めることは不可。
インボイス保存は不要となるが、帳簿には「出張旅費」「宿泊費」などを記載する必要がある。
余談。自販機や郵便切手
まぁ自販機で飲み物買ってインボイス請求する人はいないと思うけど・・
一応自販機や郵便切手もインボイスの交付が免除されている。
ので支払った側もインボイス保存は不要。
帳簿への記載事項
インボイス保存が不要であっても、仕入税額控除を適用するためには
帳簿に一定事項の記載が必要。
一定事項とは、基本的には以下の項目。
イ 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ロ 課税仕入れを行つた年月日
ハ 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ニ 課税仕入れに係る支払対価の額