「沢田研二 / TOKIO」 ~日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.86~
「沢田研二 / TOKIO」
~日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.86~
作詞;糸井重里
作曲;加瀬邦彦
編曲;後藤次利
(動画URL:できれば再生しながら、お読み下さい)
https://www.youtube.com/watch?v=hUfTDQru5yI
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1980年リリース、沢田研二29thシングル。
テクノ・ポップ、ニュー・ウェーブなどのサウンドから大きな影響を受けた、’80年代音楽シーンの幕開けをつげるようなポップ・チューン。
このリリースの直前、約3ヶ月前に「YMO / TECHNOPOLIS」のイントロで、"TOKIO" というヴォコーダー・ヴォイスが鳴り響き、その言葉がここではサビのメインになりますが、(作詞者の糸井重里はYMOとも縁が深いので) 何か関連があるのか?興味深いところです。
尚、この曲は、録音後にテンポを上げるため、テープの回転数を上げたとされており、そのためか全体のピッチが上がっています。
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<全体の構成>
1番でいうと
「Aメロ→サビ→ブリッジ (小間奏)→Bメロ→サビ」
という、ちょっと変わったつくりになっています。
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細かく見ていきます。 {Key = D}
・イントロ (4小節×3 + 4小節)
歪んだギターの印象的なリフで始まるイントロ。
2部に分かれているものの、全16小節を、前・後半で等分 (8+8)するのではなく、12小節+4小節に分け、変化が感じられます。
後半の大きく揺れる (モジュレーション) シンセの音色も効果的 (そして、そのバックの、後藤次利のベースにも注目!)。
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・Aメロ (8小節) "空を飛ぶ 街が飛ぶ~♪"
メロディーの最高音は、普通、サビなど一番盛り上がるところで出てくることが多いのですが、この曲は歌い出し "空を飛ぶ~♪" の最初から最高音「ファ#」で入ります。
リズム的にも、4拍裏のシンコペーションで斬り込むように、アクセントをつけて入るので、音程・リズムの両面で、すごいインパクトの入りです (この曲では、最高音が、要所要所で何度も出てくるのも特徴)。
また、 "空を飛ぶ~♪" の音は「ファ#ーミーレーシーラ (下行)」となっていますが、Aメロとサビのメロディーは、この5音のみで作られており (Dメジャーペンタトニック)、最初に全ての音を音階で示すというかたちになっています (それを2回反復し強調)。
転がるような、ピアノのバッキングも印象的です。
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・サビⅠ (7小節) "TOKIO TOKIOがふたりを~♪"
そしてすぐに1回目のサビが登場。
”TOKIO~♪”で「ミーファ#ーレ」という拍の頭に3つの音を置く、いきなり大きなリズムのシンプルなメロディー、とハーモニーで、これだけ多くの人の心を捉えるという事は、すごい事だと思います。
続く" TOKIOがふたりを~♪" では、Aメロ歌い出しの " 空を飛ぶ~♪" と同じ音型 (少し、下へずらしたもの) で、再びインパクトを与え、"抱いたまま~♪" でまた最高音「ファ#」で盛り上げます。
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・ブリッジ (4小節)
次のBメロに向けて、イントロのギターのリフを、小さな間奏として持ってきます。
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・Bメロ (8小節 × 2+ 1小節) "海に浮かんだ~♪"
ここは多くの面で、これまでの「Aメロ~サビ」と対照的になっており、全く違う世界が開けます。
# 前述のように、「Aメロ~サビ」のメロディーは、Dメジャーペンタトニックのみで出来ていたのに対し、ここからは、ペンタ以外の音も使用。
ハーモニー的にも、他調の借用和音を使うなど、音の色彩感が一気に広がります。
# リズム的にも、今まで入っていた2・4拍のスネアが2拍のみになるなど (替わりにタムが入る)、少し落ち着いた感じに。
# 上とも関連し「Aメロ~サビ」のヴォーカルは、力強くシャウト気味だったのに対し、ここは非常に柔らかく甘い歌い方から入り、後半段々と力強さを増していきます (こういうところに、女性はメロメロになるのでしょうか・笑)。
# "死にそうだと~♪" の部分は、メロディー最高音でもあり、ハーモニー的にも豊かであり、この曲の、山場のひとつと言えます。
# Aメロの長さが8小節、サビが7小節だったのに対し、このBメロは倍以上の17小節。ここからも、この部分がこの曲を支える重要な土台になっている事が分かります。
最後の1小節拡張された部分で入るリズムのキメは、(2分音符を1拍とすると) 3拍の奇数フレーズになっており、サビへ戻る盛り上げになっています。
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・サビⅡ (7小節) "TOKIO やさしいおんなが~♪"
上述など各種の盛り上げから、一気にサビへ!
シンセのピコピコ感がいいですね。
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<参加ミュージシャン>
この曲単独のクレジットはなさそうなので、アルバム全体のものをそのまま載せます。
ミスなのかドラムの記載がありません。
・Keyboard:佐藤準、西本明、田代真紀子、渋井博
・E.Bass:後藤次利
・E.Guitar:鈴木茂、矢島賢、今剛
・A.Guitar:笛吹利明
・Latin Percussion:斎藤ノブ、石井宏太郎
・Strings:加藤グループ
・Chorus:大野克夫、速水清司、EVE
・Sax:Jake.H.Concepcion
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(文中・敬称略)
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