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「ジュディ・オング / 魅せられて」           ~日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.71~

「ジュディ・オング / 魅せられて」    
作詞;阿木燿子 
作曲・編曲;筒美京平
 ~日本のポピュラー音楽史を創った曲 Vol.71~
 
(音源URL:できれば再生しながら、お読み下さい)
https://soundcloud.com/cre085t/judy-ongue-miserarete-vinyl

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(2017/04/28 記)

<楽曲の概要>
 日本のポピュラー音楽史上に、無数の宝石のように散りばめられた、筒美京平作品の中でも、最大の人気と販売数を誇るものの一つが、1979年リリースの、この作品です。
 この曲は、ちょうど4年前に、一度ご紹介したのですが、同じ曲を聴いても、日々新しい事柄がどんどん聴こえてくるので、また新しい資料も見る事ができたので、改めてとりあげます。
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 構成を見てみます
 
・イントロⅠ (4小節)
 頭から入るストリングスの「(ウン)・タ・タ・タ | タ・タ・タ・タ | ~」という、この曲を代表する音型、ここでは仮に「エーゲ動機」と呼びます。
 この音型が、曲の頭から、高音弦と低音弦が交代しつつ、4回反復され、強く印象付けられます。ここ以外でもサビの "好きな男の~" でのメロディーのリズム、及び間奏・後奏等でも使われます。

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・イントロⅡ (1小節+4小節)
 ストリングス16分音符の山型音型の繰り返し、及びホルンの高音で、イントロの山場 (緊張感) がつくられ、それが落ち着いたところから、ギリシャの民族楽器・ブズーキが入り、この曲のテーマである、エーゲ海の雰囲気が醸し出されます。
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・AメロⅠ (4小節×2) "南に向いてる~"
 ヴォーカルの譜割り (音符) は細かいですが、音域的に低めなので、落ち着いた感じです。
 ヴォーカルの合間に入る、ブズーキ、低音弦のフィル (合いの手) が効果的です、これらも含め、この曲では、16分音符がひとつのキーと言えるでしょう。
 筒美がジュディ・オングに「サビからは、サンバだから」と指導したという逸話がありますが、ベースは全体的にサンバ風で、「タッタカ・タッタカ~」というウッドブロック系のパーカッションも面白いです。 

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・AメロⅡ (3小節)
 サビへ向かって「エーゲ動機」のストリングスで、一度盛り上げます。

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・サビⅠ (3小節) "(Wind is blowing~)"
 前のセクションと繋がっているのですが、パワフルなストリングスの後の、一瞬の全パート休止でハッとさせられ、ヴォーカル (&ストリングス) が "Wind is blowing from the " で徐々に上行 (バックにドラムフィル)、その後 "Aegean" でメロディー最高音であり、しかもテンション9thのシを1小節に渡り伸ばします
 同時にバックでは、柔らかな光の粒を撒き散らすようなハープのグリッサンドが約2小節に渡って続きます。
 このサビⅠだけでも、もうどうなってもいいと思えるような、とてつもない快感です(笑)。 

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・サビⅡ (2小節) "好きな男の~"
 「(ウン)・す・き・な | お・と・こ・の | ~」のように、この曲を代表する「エーゲ動機」のリズムが3回反復され (イントロなどとは、1拍分前にずれたかたち) 、そして歌詞の内容とも相まってインパクト大です。 

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・サビⅢ (4小節) "Uhー Ahー~"
 「ミレシ~、シラファ~」この5度違いの音型を4回反復。
 サビⅡが16分音符の細かいメロディーだったのに対し、こちらは長い音符中心で対比が明確です。
 ここで "Uhー Ahー~" という歌詞がくるのもすごいですし、妖艶さと切なさが入り混じったような、何とも言えない感情のヴォーカリゼーション、そのバックで、寄せては返すエーゲ海の波を
(そして、もうひとつ別の事を) 表すような、ストリングスのクレッシェンド~デクレッシェンド (強く~弱く) の反復、そしてハープのコードのトップ音が保続音として鳴り続ける緊張感。
 ここもたまりません。 

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・サビⅣ (2小節) "私の中で~"
 ここも特に、サビⅢ→サビⅣの、長い音符のメロディーと短い音符のメロディーの対比が強烈です。
 そして、たたみかけるような、メロディーの終止感 (でも、ここで終わらない)。
 "私の中で" というリズムは「エーゲ動機」の前半と後半を入れ替え、後ろを変化させたものとも言えます (「タカ・タカ・タン・タカ | ~」)。

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・サビⅠ反復 (3小節) "(Wind is blowing~)"
 ここで再び、サビⅠが繰り返されますが、通常の4小節・8小節単位で構成される楽曲と違う "逸脱感" が面白いです(2番では、この部分は無し)。
 ここまで見てきたように、サビの中だけでも (全部を通しても)、いくつもの違う表情の音楽が組み合わされた、音楽的に非常に豊かで、ひとの感情に訴える力の強い楽曲だと思います。


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<参加ミュージシャン>
 残念ながら詳細不明
 ・Drumsー田中清司 ?
 ・A.Guitarー吉川忠英 ?
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 (文中・敬称略)。

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