★ 目安箱 №1
地域の城跡整備を、地域外から「ありがとう」と言われる
記念すべき初回の目安箱は、アンケート集計結果※で2番目に多かった言葉である
「ありがとう」・「感謝」
です。なぜ1番目ではなく2番目からかというと…
単に、読んで一番嬉しかったからです。そりゃそうです。感謝されて嫌なんて人は、究極に猜疑心が強い人以外はいなんじゃないかと。
それでも、そこには嬉しいだけではなかった感情の動きのようなものがあったので、今回はそのあたりをぐるぐると廻ってみようと思います。
そもそもですが、アンケートを行うことに対しては、正直不安なところもありました。どんな意見が寄せられるのか? それ以前に、特に宣伝もしていない城跡に人が来ているのか? 幸いにアンケートが回収されても、困ってしまうような要望や課題が多く寄せられるのでは? とか、もしかすると、ネット上にあるような、インパクトだけを目的に書かれたようなコメントなどがあったらどうしよう…とか。
結果、要望などの内容はありましたが、何れも前向きに受け止められるような、「大人」な書きぶりが多かったので、心配は杞憂でした。読み手の気持ちがあがるのはPe-だけではないはず。ヤスダさんのアンケート回収時の表情を見て確信しました。
でも、それと同時に、地域外の人から「ありがとう」と言われることに、不思議な感じを受けたのも事実でした。
Pe-は、市原市外の住民なので、「椎津の人」ではないのですが、整備活動には当初から関わっていることもあって、それなりに椎津には思い入れがあります。単なる「よその人」ではない、と、自分では思っている節があるのです。なので、椎津のことを悪く言われると、なんだか、その口を摘み上げてしまいたくなる衝動に駆られる…そんな程度の仕上がり具合にはなっているのではないでしょうか。「椎津の人、の補欠」ぐらいのつもりです。下っ端には変わりありませんが。
その「補欠」のPe-は、ただ、史跡での作業が好きで整備に関わっているというスタンスなので、いわゆる「よその人」から、整備してくれて「ありがとう」と言われるなんて、オプションにも含まれていないわけです。自己満足なんですから。
一方、レギュラーとも言える「椎津の人」である「守る会」会員も、「ありがとうって言われちゃうんだよ…」と、ちょっと面食らった感じでこのメッセージを受けているのでした。勿論うれしいのですが。
「史跡椎津城跡」は、「椎津の人」の間では周辺の住宅も含めて「城山(しろやま)」と言われています。令和28年の当初、「城山」は竹や草が密生していて、私有地と公有地が入れ子になっていてとてもじっくり見学できるような環境ではなかったように記憶しています。このあたりの話はまた別投稿で触れたいのですが、おそらく、「椎津の人」からすれば、この「城山」を整備するということは、専門家が貴重だと言っているお城跡をキレイにしておくという意外には、その辺りの荒れた空き地をキレイにするのと、感覚的には差がないものであったのではないかと思っています。つまり、内と外と言う区分けで考えれば、内向きな作業であったのではないかと思うのです。
そんな内向きの行為が、地域外の「よその人」から感謝されたわけですから、これは一体どういうことなのか。理解するには時間がかかるわけです。
どうも、「城山」には遠くからもわざわざ見に来る人がいる。
整備されているから散歩しやすいみたいだ。
そして相当「城」を好きな人がこの「城山」を訪れている。
その人達が「ありがとう」と僕らに向けて言っている。
「史跡椎津城跡」は僕らの頭上を超えて、「よその人」たちには認知されていて、その濃淡のある繋がり中には「お城愛」とでもいうような眼差しがあるみたいだ。
そういうことか。それならば…。
地域おこしのような本の中を見ると、中には、「地域の価値は外から来た人のほうがよく分かる。だからそういった外部の人の眼を重視しましょう」というような書かれ方をしているのを目にすることがあります。それは確かにそうなんですけど、そこには地域の人の目線という連綿とした文脈が確実にあって、それと外部の価値観という文脈が交わることで関わる人の心の動きが生まれていると感じています。とてもゆっくりと。
今、眼の前でこうした心の動きが、案内板や説明板の設置や、新たな遊歩道の整備につながっている…。そういうふうに「椎津の人、の補欠」であるPe-の目には映っています。
今回の最後に、この場を借りて「よその人」へ。
「城山」へ来てくれて、そして、感じたことを言葉で伝えてくれてありがとう。
「史跡椎津城跡」はこれからもここにあって、関わる人達が個々に意味を見つけながら、少しずつですが整備を進めて行きます。
ですから、またいつかご来城の際は、その時はもっと「よその人」の話をいろいろと聞かせてくださいね。
取り急ぎ「守る会」と関係者から感謝の意を込めて。
※アンケート集計は、2022年2月から2023年12月までの66件を対象に、自由記載欄に記載された文章を意味ある単語毎に分解してカウントし、意味の似ている単語をグルーピングする手法を使っています。
アンケート抜粋
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