車椅子おばあちゃんのひとり旅?その11
チェックインを済ませ、ホテルの初のシングルルームに1人でいます。
部屋は手ごろな狭さで、一晩眠るだけには十分です。
正面の小さな窓からはどんより曇った新潟の街がみえます。
1人で、日本海側にいるんだなあと少しだけ旅の感傷に浸った風を演じて。
さて、もうすぐ出陣です。ライブ会場へのルートを確認しておきましょう。なかなかの方向音痴なので、一度で覚えられるか心配です。
部屋を出るときに、一苦労でした。
ホテルの部屋のドアって本当に重たくて、いつもは娘たちや同室の友人にあけていただいているので1人で開けるのは初めてです。
とっても大変でした。
エレベーターで連絡通路のある階へ降りていくと。
そこはもうかなりの人で混雑していました。
その人混みをよけながら、会場への案内矢印を見つけ、車いすを漕いでいきます。
周りの人たちは、ライブが楽しみで私が車椅子でいても全く気にも止められません。
長い連絡通路を通って受付へ続く観客の列に出たときに、私はその人の多さにびっくりしました。
私が知っていたのは○○市民会館とか△△文化会館とかの1500人規模のコンサートだけです。
朱鷺メッセのそれは8000人以上ということでした。
「わぁ!」
そんなたくさんの人間の中に私は車椅子でたった一人紛れ込んでしまったのです。
何とも言えない心細さというか、恐ろしいというか、不安な気持ちで人の波から避難して、ただただ呆然としていました。
列に並んでいたのは40代、50代以上と思われる容貌の女性が多いのですが、ご夫婦らしきカップルもたくさんいらっしゃいました。お母さんに連れられた若い女の子もいらっしゃいます。
そんな人々の流れを眺めているうちに、少し気持ちが慣れてきたので、私は気を取り直し、「よし、行くぞ」と黒いリクルートスーツを着たスタッフらしい人を探して声をかけました。
「すみません、車いす席をお願いしてあるんですけど」
「どこにいけばいいですか」
「あ、事前にお電話でご連絡いただいていますか」
「はい」
「少しこちらでお待ちください」
案内されたところには他にも数台の車いすの方と付き添いの方が待っていらっしゃいました。車いすの人が一人って私だけでした。
やっぱり私は普通じゃないのでしょうか、。でも、ライブって1人の方が思いっきり浸れて、私は好きです。泣いても、叫んでも、暴れても(?)楽しめます。
開場時間になり、車いす席の一行は一般の方とは別のルートで移動が始まりました。案内してくださるスタッフの方が1組に1名ついて手際よく、誘導していきます。
会場へ入って、私はまたまたびっくりしました。
今までの車椅子席は、端の方にスペースが設けてあり。隣に付き添い用のパイプ椅子が用意されてたりすることが多いのですが。
今回案内されたのは・・・