車椅子おばあちゃんバリアフリールームの旅~コートヤードバイマリオット札幌~#5
「ただいまあ~」
朝の新鮮な空気と、美味しい北海道のパンを連れてホテルに戻りました。
「おかえり~」
長女はだいぶ復活したようで
「おなかすいたぁ」などと言っています。
「無理しちゃだめだよ」
「午後からどうする?」
「動物園あるから行ってみようか」
私たちは長女を休めるために出掛けるつもりでした。
すると「一緒に行っちゃだめなの?」と長女が言い出します。
「え?大丈夫なの?」
「このまま寝てると余計悪くなりそう」
外は少し小雨模様で、どんより曇り空です。
「タクシーなら行けるんじゃない」
ということで、車いすのまま乗れるタクシーの手配をお願いしました。
しばらくして、フロントから連絡があり、車いすのまま乗れるタクシーは今空きがないとのこと。
が、じつは婿殿は都内でタクシー会社に勤務しています。
普通のジャパンタクシーなら車いすのまま乗れることを知っているので、スマホからアプリでジャパンタクシーを手配してくれました。
時間になり、ホテルの玄関へ行くとジャパンタクシーが2台待機しています。
婿殿がそのうちの1台に近づき、運転手さんと何やら話していると思ったら、二人で車いすのまま載せるためのセッティングを始めました。
その運転手さんはあまり慣れていらっしゃらないようで、婿殿がリードしながら手際よく動き、無事セット完了!小雨が降る中旭山動物園へ向かって出発です。
タクシーが走り出すと、運転手さんは盛んに恐縮されて
「すみませんでした。この車今日が初めてで慣れていなくて。こんなことお聞きしていいもいいでしょうか、あの手伝ってくださった方はどういった方なんですか?」
「ああ、娘の夫で、都内でタクシーの運転してます。車いすの方もよくお乗せするみたいで、慣れてるようです」
「そうなんですね、都内で、凄いですねえ、いやあ助かりました」
そんな話をしていると次女のスマホに婿殿から着信が
「今日動物園お休みかも。水曜日定休日って書いてある」
「ええ?」
慌ててHPをチェックしています。
「大丈夫、営業中ってなってるよ」
半信半疑で動物園にちかづいたとき、旗が見えました。
「やってる、やってる」
運転手さんもホッとされているようでした。
さあ、大人5人で動物園に遠足です。
「何年振り?」とか言いながら入園券を買ってぞろぞろと中へ入っていきます。
いきなりの坂道。
ですが、電動車いすは無敵です。
スイスイ上っていきます。
私は電動車いすで坂道を登りながら思い出していました。
そう、「当たって砕けろ」精神を心から後悔したあの日のことを・・・
「どこからまわる?」
案内板を見ながら、象さんだの、きりんさんだの、ライオンさんだのと嬉しそうな大人5人組です。
電動車いすってほんとうにありがたいと思う車椅子おばあちゃんでした。
この後、帰りがけに事件発生!