半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉘
「ママー、おしっこでるぅ」
おっぱい、おむつ、洗濯、ごはん、買い物、片付け、長男犬の世話、
家事に終わりはありません。
世の中のお母さん達はどれほど頑張っているのでしょうか
私は、とても一人ではできませんでした。
実家の両親と妹が強力なサポーターになり、週に何度も出動してくれていました。
実家が近ければよいのですが、車で片道40~50分はかかります。
父は主に買い物に行ってくれました。洗濯物もよく干してくれていました。(実家ではやっていなかったと思います。)
その上、片付けものや、キッチンの洗い物までしてくれて
びっくりしました。
母は当然すべての家事を助けてくれて、妹も長女の世話などをしてくれて
ほんとに助かりました。
で、やっぱり
初めての寝返り
初めてのハイハイ
初めてのお座り
初めてのたっち
初めてのあんよ
何も記憶に残っていません。
ただ一つ、はっきり覚えていることがあります。
ある夜のことです
当時は、母子3人で2階の和室にお布団を敷いて寝ていました。
くたくたに疲れて、やっと車いすから降りて横になりウトウトとしていた
その時
「ママー、おしっこでるぅ」
と、次女が起き始めました
「ああ、はいはい」
トイレトレーニングを始めていたので、布団のそばに「あひるさん」の
おまるを置いてあったのですが
ほとんど寝ぼけ眼の私は、布団に横になったまま
「そこにあひるさんがあるから、ひとりでできるかな」
「どこぉ?」
「ドアのとこ」
「あった」
「できるかな」
「うん」
と、立派な娘
なにやらごそごそやっていますが
起きない母
そのままうとうとしていると
しばらくして
「ママー、できたよぉ」
「えらいねぇ、すごいねぇ」
と夢の中で褒めちぎり、寝落ちしてしまいました。
さて、翌朝です
ちゃんと「あひるさん」にかわいいおしっこがしてあり
とっても感動しましたが、同時に「ごめんね、起きてあげなくて」
という申し訳ない気持ちが今でも心の奥に残っています。
2番目の子供あるあるなのか、親に余裕が出来たせいなのか
ニ女はあまり手をかけなくてもすくすくと育ってくれました。
おっぱいも勝手に飲むだけ飲むとぱっと乳首から口を離し
そのままごろんと膝から落ちてすんなり眠ってしまったり、
目が覚めても泣かずにひとりで機嫌よく起きていたりして
ずいぶん楽させていただきました。
娘たちにも助けられていた子育てだったと
感謝しています。