車椅子おばあちゃんのひとり旅?その10
上越新幹線”とき”は北へ向かいます。
大宮を過ぎると窓の外の景色はだいぶ変わってきました。
冬のスキーシーズンにはきっと賑わっているでしょう駅も
ひっそりとして人影もまばらです。
お天気もあまりよくなかったので、本当に北国へ向かっている実感がしました。
”国境の長いトンネルを抜けると雪国であった”的な感じです。
新潟駅に到着しました。
駅員さんに迎えていただき、改札を出ます。
初めての新潟。さあ、1人です。
まず、トイレに行こうと思いました。
車いす用のトイレが駅にもあるはずですが、私はいつもホテルを探します。
たいていの駅には直結のホテルが有ります。そしてホテルのロビーにはきれいな車いす用のトイレがあるのです。
新潟駅にも新しいビジネスホテルがあり、車いすようのトイレもピカピカでした。
ありがたく使わせていただき、さて、どうしようかな
チェックインにはまだだいぶじかんがあります。
明日は台風でどうなるかわからないから、先にお土産でも見ておこうかな
お土産屋さんに入っていくと、おコメどころの新潟です、日本酒がずらっと並んでいます。
試飲もできる人気のお店でした。
「いらっしゃいませ」
「何かお手伝いすることがあったら言ってくださいね」
はっぴを着たちょっとふっくらした女性店員さんが笑顔で声をかけてくださいました。
「試飲もよかったらどうぞ」
「ありがとうございます、日本酒はちょっと苦手なんですけどお土産に何かとおもって」
「そうですね、お酒がお好きな方でしたらこのあたりの・・・」
と人気の高い日本酒をいくつか進めてくださいました。
お店の中を見て回っていると
「甘酒はいかがですか。これはアルコールはないです。試飲も出来ますよ」
美容や健康に良いからと最近人気があるそうです。
母のお土産にいいかなと思い何種類か試飲させていただいて、宅配の伝票を記入しました。
「また明日帰りによらせていただきますね」
「ありがとうございました」
さあ、丁度いい時間なのでタクシー乗り場を目指します。
駅構内の案内を見ながら車椅子でうろうろ、タクシー乗り場の前には数段の階段がありましたが、少し離れたところがスロープになっていました。
まだ腕の力があり、当時は自走式のコンパクトな車椅子だったので、気軽に普通のタクシーに乗り込みました。
運転手さんも慣れた手つきで車いすを折りたたんでトランクに積み込んでくださいました。
「ホテル日航新潟までお願いします」
「はい、わかりました。きょうはコンサートですか?」
「そうなんです、楽しみで・・・」
親切な運転手さんとお話しながら、いよいよ朱鷺メッセへ
期待と不安でテンションがおかしい車椅子おばあちゃんでした。