半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㊶
「これは、ちょっとやばいかも」
春休みには母と娘たちと私の運転でドライブ小旅行、
GWには一度大渋滞にはまって懲りてからは近くの公園でピクニック、
この頃の二女の作文には
「ちっぽけな木の下でお弁当を食べました」
と書かれていて、担任の先生に褒められました
夏休みの家族旅行、秋の運動会、毎年恒例、軽井沢の紅葉、
クリスマスのディズニー、お正月の集まり、
バレンタインのチョコ作り・・・
どの季節にもたくさんの思い出が溢れています
普通の4人家族+1匹の幸せな暮らしが続いていました
感謝です。
ところが、
2002年バブル崩壊後の不況の影響が我が家にも・・・
夫の会社でも残業がなくなり、自宅待機などで
お給料がかなり少なくなってきました
長男たつのりくん(トイプードル)も15歳になり、
何かにつけて病院通いが続いています。
長女は小学校5年生になり、学習塾へ通い始めました
そして、ピアノや造形教室などの習い事も2人分の月謝がかかります。
家計簿は面倒なのでつけていませんでしたが、
「これは、ちょっとやばいかも」
さすがの、のんき母さんも考え始めました。
普通の主婦なら、ここでパートの仕事でも始めたいところです。
しかし、車椅子で働ける仕事は限られます。
毎日毎日、新聞折込の求人広告を見ます
「パート事務員募集」
結構たくさん出ていました
片っ端から電話をかけますが
「事務所が狭くて」
「入り口が階段で」
「駐車場はないです」
「事務所は2階で、エレベーターはありません」
「お茶出しと、取引先へ届け物もあるので」
片っ端から断られます。
なかなか難しい
そりゃ、そうですよね、
私の職場の条件は
車通勤OK
駐車場有
車椅子用トイレ有
段差なし
エレベーター有
その上、右手は障害があるので、組み立てや、スピードが必要な作業は無理
勤務時間は9:00~3:00
そんな条件に合う求人があるわけありません
以前勤めていた施設での仕事がどれほど恵まれていたか
思い知らされる毎日でした
仕事は見つからない、
収入は減る一方
さあ、こうなると
残るは、一番苦手な
「節約」かぁ
「ふぅうっ」
ためいきしかでません
その日も子供たちを送り出した後
凝りもせずに、新聞折込の求人広告を見ていました。
「コールセンター、オペレーター募集」
「ん?」
「コールセンター?」
宅急便ののコールセンターでした。
「いけるかな」
迷わず即、電話
「新聞の折込の求人広告をみてお電話しました」
「はい、ありがとうございます」
「コールセンターのオペレーター募集なんですが」
「はい」
「あの、車椅子なんですが」
「あ、そうですか」
「少々お待ちください」
受付の女性から上司と思われる男性に変わりました。
「一度おいでください、お仕事していただけるか職場を見ていただきたいので」
やった~!
「はい、ありがとうございます」
「ぜひ、おねがいしますっ」
後で知ったことですが、
その会社は障がい者雇用に積極的にとりくまれていで
障がい者のためにパン屋さんなども経営している企業だったのです。
なんという幸運でしょう!