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車椅子おばあちゃんのひとり旅?その6

車椅子おばあちゃん夢の一人旅もあっという間に最終日です。
朝、荷物をまとめ、スーツケースを自宅宛てに送る手続きをして、朝食を済ませました。さぁ、二晩過ごしたホテルとお別れです。

リフト付きのバスに乗り込み、今日は岡山県倉敷の散策を楽しんでから帰路に就く予定です。

岡山は昔、福祉施設で働いていたころの同僚と支援学校の親友とで訪れたことがあります。
空飛ぶ車椅子ヨーロッパツアーにボランティアで参加されてた友人が岡山に住んでいらしたので倉敷の街並みや、アイビースクエアを案内していただき楽しみました。もう40年近く昔のことです。

ホテルを後にして、バスはまず大鳴門橋に向かいます。
バスの車窓からの見学ですが、瀬戸内海の渦潮が発生しやすい時間帯ということでした。みんな窓の外に視線をくぎ付けにして渦潮を探します。
すると、観潮船が見えました。

「渦潮にまきこまれないのかな」
「あ、あそこ!」
「ほら、ほら」

バスの中がざわつき始めました。
あ、見えました!海面がグルグルと潮を巻いています。
あっちでも、こっちでも。
観潮船が渦潮のすぐ近くを通っています。
「こわ~」誰かがつぶやきます。
バスガイドさんも無事渦潮が現れてくれてほっとされたようで、嬉しそうに説明をしてくださいました。

瀬戸大橋を渡って岡山県に入りました。
倉敷の美観地区の駐車場は遠足やツアーの観光バスでいっぱいです。
駐車場を探していた運転手さんは「もういいや、ここで降りましょう」と
通行の妨げにならないような路上にバスを停車させ、リフトを下ろし始めました。
リフトに乗って車椅子が次々とバスを降りてくる様子は大勢の観光客の注目の的です。
「すごいねぇ」感心したり、びっくりしたりしています。
ちょっといい気分でした。

見覚えのある街並みに繰り出し、古民家を改造した素敵なお店でランチをいただき、大原美術館をゆっくり廻って、お土産も買い込みました。
大原美術館ではパパさんご家族とご一緒させていただきながら、ホントに素敵な仲良し親子さんだなぁと心が温かくなりました。

今年ふと思いつき、6年ぶりにLINEで娘さんに新年のご挨拶をお送りしたところ、パパさんが天国へ旅立たれちょうどその日がお通夜とのことでした。
とても驚きました。
パパさんが私のことを覚えてくださっていたのでしょうか。
後日、一緒に旅行をされた娘さんと電話で懐かしく旅行のお話をさせていただき、パパさんの旅行後のご様子も伺いました。
本当に素敵な方でしたので、皆さんに愛されて幸せな人生を送られたのだとつくづく思い、一緒に旅行させて頂けたことに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

さて、岡山駅で駅弁を買って帰りの新幹線に乗り込み、ひと眠りしている間に東京駅に到着です。
東京駅では、またまた何人もの駅員さんが「おかえりなさい」と笑顔でお出迎えくださいました。
そして、解散後それぞれの乗り換え電車まで案内していただき、無事帰路に着くことができました。ありがたいことです。

大勢の方の心のこもったご協力で2泊3日の夢のツアーは無事終了です。
車いすでもちょっと勇気を出してみたらこんなに素敵な経験ができました。

この経験は癖になってしまいそうだなと一人でにやついている
車椅子おばあちゃんでした。

さて、次は何をしようかな?


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