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最後から2番目の「恋物語」じゃなくて「挑戦物語」です。68

妄想シェアハウス同居人の夫は食卓の椅子に座ってテレビを見ています。
月曜の夕方、お楽しみは”Why did you come to Japan?”でお馴染みの
あの番組です。

「日本のホームステイ先のお母さんと何十年ぶりかのご対面だって」

キッチンで夕食の用意をしている私に夫は実況中継さながら話しかけます。
いやいや、そんなに広い部屋じゃないし、テレビの音しっかり聞こえてますけど。
面倒くさくて、いつもは聞こえないふりをするか「え?聞こえてますけど」と返事をします。

それでもまた、「へぇ~、この人スウェーデン人だって」
聞こえてますってば。(本当は聞いていなかったので、どこの国の人なのかわかりませんが、都合よくスウェーデンの方にしておきます)

で、これはチャンスと思い、「へぇ~そうなの、いいよねぇ、私も行きたいなぁホームステイとか面白そうだよね」と会話に乗ってあげました。

すると夫はうれしかったのか「スウェーデンは世界一の福祉国家だよ」と
わかりきったことを偉そうに言います。

そこですかさず私は「スウェーデンのお友達が遊びにおいでって言ってくれてるんだ」「来年行ってこようかな」と何気なく言ってみました。
(本当はお友達といってもつい最近YouTubeでコメントのやり取りを始めたばかりですが、そんなこと夫にはわかりません)

まさか本当に行こうとしているなんて思ってもいないでしょう夫は
「行って来ればいいじゃん」軽く相づちを打ってきました。

いいましたね、「行って来ればいいじゃんて」言いましたよね。

「そうだよねぇ、動けるうちに行こうかな」
と、ここで会話は終了。
夫はこれ以上はやばいと思ったのか、そそくさと自分の縄張りへ戻っていきました。

「ストックホルムで生活したい」このことをあちこちで宣言しちゃっています。
SNSや友達や娘たちに。夫にはいつ切り出そうかちょっと考えていました。
まあ、言い出したら自分が反対しようがどうしようが構わず突き進むだろうことは今までの経験上わかっているとは思いますが、あんまり早く言って、あれこれと言われるのは面倒くさいので避けたいと思っていたのです。

よし、とりあえずは宣言しました。あとは少しずつ、様子を見ながら具体的な話をしていけばいいでしょう。

私が突然いなくなっても暮らしていけるように、少しずつトレーニングをしてきました。
でも、内館牧子さんの「終わった人」に書かれていましたが、定年退職をして、家にいるようになった夫は食事の片づけや、掃除などはするようになったけれど、どうしてもやりたくないことがあるということです。この本の中では、「アイロンかけ」と「掃除機かけ」だったと思います。この家事をしている自分を想像するとどうしてもプライドが許さないとか…

私の夫もよくわかりませんが、洗濯機を回すことと、食洗器に食器をセットすることは頑として覚えようとしません。

まだまだいろいろ準備が必要だわと、作戦を練る車椅子おばあちゃんです。


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