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2. なんとなく応募してみた作品が
わたしが本気で絵本の出版を目指すようになった、きっかけについてのお話です。
前回、娘との思い出を絵本にまとめたお話を書きました。
その後しばらくして娘と水族館に行った際に、海をテーマにしたお話を思いつきました。
「いつかまた娘のために絵本にしてみよう」
と思ったのと同時に、
「せっかく思いついたのだし、絵本のコンテストにでも応募してみるか」
と、軽い気持ちで、文芸社主催の「えほん大賞(ストーリー部門)」に応募したのです。
このストーリー部門というのは、文章のみの応募で、絵は描かなくてもよいのです。
お話は作りたい、でも絵は苦手、というわたしにピッタリの部門でした。
締め切り日ギリギリだったので、ろくな推敲もせずに応募しました。
そして、2ヶ月ほどたったある日のこと。
この日も図書館で娘と絵本を読んでいました。
そこで「えほん大賞」に応募していたことをふと思い出し、そろそろ結果が出ているかな?とホームページをのぞいてみたら……
なんと、最終選考に残っていたのです!!
びっくりして、すぐに夫に報告しました。
夫は応募前に一読してくれていましたが、まさか最終選考に残るとは思っていなかったみたいで、やはり驚いていました。
それからの数日間は、「もし大賞を獲れたらどうする?!」という妄想で頭がいっぱい。そわそわしぱなっしの日々でした。
そして、最終選考に残ったことを知ってから2週間ほど経ったある日、自宅で晩ご飯を食べているときに電話がかかってきました。
関西在住のわたしには見慣れない、03から始まる数字……思ったとおり、えほん大賞の担当者さんからの電話でした!
結果は、惜しくも「優秀賞」。
軽ーい気持ちでの応募だったのに、最終選考に残ったことを知るまでは応募していたことすら忘れかけていたのに、いざ大賞を逃すと、めちゃくちゃ悔しい思いが溢れてきました。
大賞を獲れば出版できたのです。
絵本になったところを見たかったーーー!!!
もっと推敲を重ねればよかったーーー!!!大賞を獲ったぞって自慢したかったーーー!!!
悔しすぎて落ち込んでいる暇もありません。
「このお話をボツにしてしまうのはもったいない! 何がなんでも形にして残さなくては……!」
という謎の使命感がふつふつと湧いてきて、わたしを突き動かしはじめたのです。
次回につづく。