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韓国を見てきた
12/1〜12/4に民団の学生会に便乗して韓国に行ってきた。
国会議事堂に行ったり、その日に戒厳令が出たり。
民団だからいけた場所と予想外のタイミングとが重なったけど、とにかく貴重な体験だった。これを体験できたのは在日である私の特権だから。見たもの感じたことをここに残します。
【1日目】 開会式
〈なぜ参加したのか〉
8月のジャンボリー(※韓国にルーツを持つ日本全国の小学5,6年生が母国を見に行く3泊4日のイベント)に参加して、特に在日韓国人資料館に行ったことでより「在日」について知りたくなった。
それと同時に私は、知るきっかけをつかんで、私が普段見えていない存在を知りたいとも考えていた。
少し話は逸れるけど、この夏はアイヌの講演を聞きに行った。水俣に行ってそこにいる人の声を聞いてきた。
どちらも今まで触れたことのない、教科書で聞いたことあるだけの単語だったけど、きっかけさえあればもっと知りたいと感じることを体感した。
そして、アイヌの講演会は私の友人も数名一緒に聞きに来てくれた。
私と同じようにきっかけがないだけで知りたがっている人もいるのかもしれないと思って、一緒に鶴橋(に資料館がある)行かへん?と友人に声かけると4人も行きたいって行ってくれた。私以外はみんな日本の子達。(私もずっと日本の学校通ってたし、親からも特に伝えられてないから知識量とかは同じなんだけど)
一緒に鶴橋に行ったメンバーの中でこのツアーに参加できるのは韓国にルーツがある私の特権だなと感じた。
そして、在日について知ろうとしたらすぐに出てくる「民団」。それが良いとか悪いとか正しいとか、そうじゃなくて民団の話を声を生で聞きたい、見たいと思った。
長くなったけど、これが私が今回参加した理由です。
〈お話を聞いて〉
「休戦中」であることを頭に入れていてください。
そう言われた。
あぁ、私はその認識は薄かったな、知識としてはあったけど具体的に想像できていなかったな、と感じさせられた。
そして南北統一について。
一つの国になって今の北側を今の南の国力で支えられるのか
というニュアンスで話されていた。
私は「南北統一」とは休戦が終わる。戦争が始まるリスクがなくなる。という認識でしかなかった。
そうじゃないんだ、そこからが新たなスタートで、生活が始まるんだ。
自分の想像力の乏しさ、想像をするための知識の無さを感じた。
個人的にはドイツの現代史に興味が湧いた。
【2日目】
〈DMZに行って〉
まっすぐな道があるのは北に向けて攻撃できるためらしい。
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北に続く封鎖されている道路を見た。
上の写真のピンついてるところ。
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南北を繋ぐ列車がある。今は韓国領土の最北端の都羅山駅までは行けず、その手前の臨津駅までしか行けない。線路の先の北側は今年爆破されたらしい。政権によて南北の緊迫感が左右されることを認識した。
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望拝壇。急に南北が分かれてしまったから、離れ離れになってしまった家族もいるわけ。石には北朝鮮の景色が彫られていて、北側が眺められる。北にいるであろう家族を想ったり、旧正月の時期には祭祀(※法事)をしたりするらしい。離散家族も聞いたことや写真を見たことはあるけど詳しく知らんなぁと思った。
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自由の橋を見た。朝鮮戦争の捕虜をが帰還するときに渡って来た橋らしい。何十年も前の橋だから今は腐ってて渡れないんだとか。
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実際に朝鮮戦争で銃弾を受けた列車があった。
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【3日目】
〈国会議事堂〉
パスポートを提示して入った。解説は韓国語だったから分からず。。
各席にタブレットがあってそれで投票するらしい。前の方にも大きな画面があって、議論中の資料が表示されるらしい。日本のペーパーレス化の会議が膨大な紙資料ってニュース見てたら、柔軟だし率先して国がIT化を進めてるのもいいなと思った。と同時にこの差はどこから生まれるんだろうとも思った。(日本も韓国も少子高齢化だけど頭のお堅い人はいないのかな)
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外ではデモしてた。再雇用反対のデモらしい。韓国は60歳定年で年金の支給が65歳から。その間もお金はかかるから働かないといけない人もる。ただ、少子高齢化で高齢者が再雇用されると、若者に席が空かないという問題もあるらしい。
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余談ですが、、
ちょうどこのデモの話をSNSにあげたら、日本以外の東アジアでは高齢者が働くことに抵抗が強い国が多くて、定年後に働く=ひどい、貧しい国って考えがあるらしいって教えて貰った。今私は植民地を経験していることが関わってるんじゃないかなと思っている。
〈在日韓国人記念館〉
今年の8月から4ヶ月ぶりに訪れた。水俣に行った時に植民地時代チッソの朝鮮工場があったと聞いていたから植民地時代の韓国に興味があったけど、そこは詳しく書かれてなかった。他は2度目だったし、鶴橋の資料館も行ってたからそんなにびっくりは発見はなかったけど、一つ初めて知ったことは「九老工団」というキーワード。
あともう一つ気になったのが、どこが関わってできているかということ。鶴橋の資料館は民団も総連も関係ない場所を作ったと話されていた。ではこの在日韓国人資料館は誰が何のために作ったんだろう。
在日1世である李熙健さんが作った新韓銀行が作った記念館だった。資料提供に民団の文字もあったけど、個人的には創業者の李煕健さんは今の大韓民国の領土にルーツがあって故国のため=今の韓国のためになって民団と繋がっているのはごく自然なことなのかなって思った。
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それとともに、組織によって対立があったり意見が違ったりするのは歴史的な背景を持つ在日特有の問題なんだなと感じた。(もちろん、本国も分断されているけど、日々の生活でそれが垣間見える機会って少なそう)
〈戒厳令がでた〉
3日目の夜に「戒厳令が出たからホテルから出ないで」と言われた。
戒厳令ってなに?コロナの時の緊急事態宣言みたいな感じ?(出てはいるけど日常は変わらなかったイメージ)
明日帰国予定だけど、帰れないかも?という声が。そんなやばい令なん?
テレビをつけたらさっきいた国会が映っている。軍と市民が映っている。市民が声をあげている。
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戒厳令を調べてみたら過去に見た「タクシー運転手」という映画を思い出した。その映画は前の戒厳令が出た時に起こった光州事件を題材にしたもので、光州事件とは、韓国軍が自国民を大量虐殺した事件の一つで、軍による一斉射撃などで一般市民に多数の死者を出した。(ぜひ配信で見ていただきたい)
え?あの光景が起こりうる状況ってこと?それ結構やばくない?となった。
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結果的には2,3時間で解除が可決されて、6時間後くらいには正式に解除されました。次の日も普通に人は出歩いてたし、問題なく帰国もできました。(道路の脇に警備車両は見受けられたけど)
韓国の政治や歴史,全然自分知らんやん!ってなった。韓国語が全く分からないのもあって、誰かの濃いフィルター(翻訳+要約)を通さないと話をつかめず、自分の意見を持つことの難しさをここでも感じた。
あとは、映画で見た光州事件でも市民が軍に立ち向かっていたけど、今回も夜中に何の前触れもなく(昼間の国会議事堂は静かだった。戒厳軍のかけらも見なかった。)発令されたにも関わらず、国会前には多くの市民が集まって声をあげていた。この光景は果たして日本で見ることができるのだろうか。(意識として)一部の人だけの政治ではなく、自分ごとの認識が日本より強いのかなと感じた。
【4日目】
〈閉会式〉
私が印象に残っているのは、
南北関係でいちばん難しい立場なのは、在日かもしれない
というお話。
本国(=韓国)に暮らしている人は日常で北と接することはない。だけど在日は民団・総連だったり国籍(朝鮮籍/韓国籍/日本籍)で身近にその対立を感じられる。
※家族の中でも国籍が違ったりなんてこともあるらしい
私は3世の両親に生まれた4世の純韓国人だけど、両親も日本の学校通ってたからか、親戚見てもその対立を意識することなく過ごしてきた。最近始め学び始めてからその対立を知ったから、まだまだ知らない世界がリアルで広がってるんだなとも感じた。
〈書き終えて〉
今回の文章は、忘れちゃダメだ!と思って翌日にばーってノートに殴り書きしてたものを、足りない知識を補いながら入力する作業をのんびり行いました。(本日2024年12月24日)少し時間が経った渡航を振り返って。
やっぱり現地に行くって全然違うな、と。ホントについ最近から韓国について学び出した。ずっと日本で暮らして、教育を受けてきた私には、自ら情報を得るだけでは想像しきれていなかった部分があった。例えば休戦中であること、軍隊があるということ。これは仕方がない。だから私は、これからも旅をしたい、現地に行きたい、と思えた。
それと、私の中での在日の世界が広がった。もちろん今回は民団の学生会で行ったのでそこでの出会いはもちろん、そういった組織に関わっていなくても私と同じようなルーツを持つ人が、普段は見えていないだけで、すぐそこにいることが分かった。それ以外にも、私の渡航話に耳を傾けてくれる人がいた。私自身も、何となく韓国が嫌いだったのかもしれない。知るほどにおかしいところが見えてきたけど、転がってる情報だけだと悪者に仕立て上げられている。でも、私の周りにいる人たちは(K-POPとか現代の文化ではなく歴史という側面で)好きでも嫌いでもないんだろうなと感じた。
憤りを、悲しみを爆発させても調和にはたどり着かない。だから私はこの文章を残す。日本で育った韓国人、どちらも好きでも嫌いでもなくただ"ある国"として捉えている、宙ぶらりんな私が見たこと感じたこと。冒頭にも書いたけど、この体験は誰にでもあったチャンスではなく、在日である私の特権だから。特権に留めず共有したい。
もしこれを読んでおかしな点があれば、どうぞ教えてください。そして興味を持った方、一緒に知りましょう!私も知っている最中だから。
まとめると、とっても良い経験だった!行って良かった!
ここまで読んでくださってありがとうございます!