元Mリーガーのその後
前記事の御礼
前回書いたnoteが思いのほか大きな反響をいただきました。引用ツイートや返信から議論も広がってうれしい限りです。読んでくださった方、ありがとうございました。
このテーマは「みなさん思っていることがあるのではないか」と思っていたのですが、以前実施した「どの内容のnoteが読みたいですか?」というアンケートではぶっちぎりで最下位でした。そのため、「意外とみなさん興味ないのかな…」と思ってお蔵入りにしようかと思っていたくらいでした。だからこの反響には結構驚いています。何があるか分からないですね。。
note中で話題に挙げさせていただいたMリーガーやスポンサーからもコメントをいただけました。特に園田さん、ありがとうございました。引き続きロングインタビュー楽しみにしています。笑
本題
さて、今回のテーマも結構前から構想はあったものの、なかなか書くに至らなかったテーマについてです。金曜のMリーグでは元Mリーガーの石橋さんが実況されていましたし、そして今月から始まった朝倉さんのメンバーシップが後述しますが私はとても良いなと思いましたので、これらを機にまとめてみようと思いました。
*前回のnoteもそうなのですが、所詮は1視聴者の意見にすぎません。業界関係者の意見ではありませんので、その辺りは踏まえたうえで読み進めていただければ幸いです。
Mリーガーではなくなること
今や「Mリーガーになること」が麻雀プロにとっての「成功」とされるようになってきています。Mリーグの視聴規模は各団体のリーグ戦と比較にならないくらい大きいので、麻雀プロとして最も目立つ場面で、各団体の強いプロと麻雀を打てることが名誉あることだとされているかと思います。
それ以外にもMリーガーになれば年収が保証されますし、Mリーガー向けのゲストイベントなどにも呼ばれるようになるので、知名度と同時に収入面の安定も獲得できます。
…とかそういった部分が表向きの「Mリーガーになることの利点」だと思います。現実的なところは、YOUTUBEのチャンネル開設し、収益化できることが収入面の利点としても大きいように思います。Mリーガーになることで知名度が上がり、これを活かして個人のYOUTUBEチャンネルを開設すれば、あっという間に収益化の規定ラインの視聴数が獲得できて、収益化が成立します。おそらくMリーガーとしての収入はそこまで個人差が無くて、あとはゲスト活動と個人のチャンネルとゲスト活動の頑張りによって収入を得られるシステムになっているのではないでしょうか。
これは多くのMリーガーがYOUTUBEのチャンネル解説をしていることからも利点が大きいことが察することができると思います。にもかかわらず、YOUTUBEに一切手を出していないMリーガーもいます、これは「YOUTUBE活動は必須ではなくて、開設することによる利点は大きいけど、しなくても困らない」と逆説的に解釈ができるのかなと思います。(これはあくまで推察に過ぎません。)つまり、Mリーガーであること自体で、かなり安泰な位置を獲得できていることになるのではないかと思います。
では本題の、契約終了した選手は?契約が終了した選手はどのような生活をしているのでしょうか?元Mリーガーの恩恵が受けられるのでしょうか?個々人の収入がどうなったかは実際のところ分からないのでそこに焦点は置かず、その後の活動という指標で見ていきたいと思います。また、契約終了後のMリーグとの関わり方はどうなっているか?も合わせて考察したいと思います。
石橋さんの場合
2020-21シーズン、パイレーツが2年連続でファイナル進出できなかったことによって契約終了となった石橋さん。
10月7日のMリーグでは石橋さんが解説を務めました。石橋さんは各メディアのインタビューで、Mリーガー復帰を諦めていないことを明言しています。これは他の元Mリーガーとは明確に異なるキャラクターです。
石橋さんのMリーガー契約終了後の活動は、奥様とセットでのものも含めてゲスト活動はそこそこ入っているようです。また、石橋さんは最高位戦の理事を務めているのでそれなりの収入にはなっているはず、ということはパイレーツとの契約終了前から言われていました。
Mリーグの解説にも呼ばれています。先週の解説ではユーモアがあって優しい人柄が前面に出てましたし、小林さんの思考について元チームさながら自信をもって解説していたのは他の人にはできないことなので、私はとてもいいなと思いました。
しかし小林さんがオーラスで立直をかけた時に「裏が乗れば2着まで浮上まで出来る」と解説していたのは間違いですね。裏が乗っても3着でした。ちょっとおっちょこちょいなのか、このように肝心なところでミスをすることがあるように思います。(2019年の丸山さんのデビュー戦で、丸山さんがリーチ後に当たり牌を敢えて見逃してツモって倍満に仕上げるというとんでもないことをやってのけたのですが、その時の解説だった石橋さんはこれに気づいていなくて、この状況の凄さを解説として伝えることができていませんでした。)
団体リーグ戦ではもともとA2リーグに所属していましたが、A1リーグ昇段がかなり手堅い位置につけています。これで来期は実力を示す指標にもなる、鈴木優さんが現在保有している「最高位」を目指した戦いに参戦できるかもしれません。
石橋さんのMリーガーに残りたい心意気はもちろんとても良いですし、「初の復帰選手」としてMリーグを盛り上げることができると思いますので、応援したいです。(厳密には滝沢さんが「初の復帰選手」ではありますが、完全に契約解除となった人の中で、という意味で。)
しかし復帰の上でネックとなるのは、どうすれば「今度は活躍してくれそう」だと指名する側に思わせることができるか?これが難しいと思います。
今期指名された優さんのように「最高位をとること」そう考えた人も多いかと思いますが、私はそれで充分といえるか?やや疑問だと思います。
最高位戦所属の男性Mリーガーは、成績です。もともとの実力はもちろん高いことはある程度証明されている中で、なぜかMリーグでは思うように成績を残せていない選手が多いです。それを考えると、団体リーグでの結果をもってしても「Mリーグで対応できるようになった」ことは証明できないように思います。
優さんの場合は最高位であることだけでなく、攻めていく雀風や赤ありルールの天鳳で高段位を取得していること、ルックスからの人気の伸びしろなど、総合的に評価されて選ばれていると思います。つまり、最高位であることに加えて「Mリーグでも活躍してくれそう」「人気が出そう」という、確定ではないですがそう考えることができる要素が必要なのではないかと思います。(優さんまでもが「対応できていない」感じの苦戦が続いてしまうと、なおさら最高位を取ることとMリーグで活躍できることがつながらなくなってしまうかもしれません。)
対して石橋さんは4年間でレギュラーシーズン合計ー800pt以上を叩いていたおり、運が悪かったこともあると思いますが、「対応できていなかった」場面もいくつもあったように思います。だから難しいのは、「今度指名された後はこうならない」これをどう示すか?です。正直答えはなくて、完璧に示し切ることは何をしても難しいのではないかと思います。
だから実力の証明と合わせて、知名度や人気面でも「総合的に」評価されるようにすることが大事なのではないかと思います。人気や知名度を上げる活動はどうでしょうか?石橋さんはMリーガーだった頃から配信活動には力を入れていないタイプの人でした。牌譜検討配信も数回やっただけで終わってしまい、当時は朝倉さんの方がMリーガー残留に向けて頑張っていたと思います。今後は解説も含め、こういった卓外活動にも注力してほしいです。
朝倉さんの場合
石橋さんと同じタイミングでパイレーツを契約終了となった朝倉さん。石橋さんとは対照的に、Mリーグへの復帰を強く臨んでいるわけではなくて、配信を精力的に行っています。
私は朝倉さんはこっちのほうが合っているんじゃないかと思います。おそらく誰の目から見ても契約終了後の方がイキイキしているように見えます。
メディアの前で、視聴者や番組の求めているものやさまざまなことを加味してふるまうのはちょっと朝倉さんには合っていなかったように思います。苦手なことが多かったMリーガー時代よりも、今のネット麻雀を鬼打ちしているスタイルの方が本人の良さが出ているように思いますし、朝倉さんのファンが臨んでいる姿もこちらのような気がします。(100半荘耐久とか普通のプロがやろうと思わないことが出来ることが、朝倉さんの強みだと思います。)
朝倉さんは10月1日よりメンバーシップを開始しています。
こちらの画像はそのメンバーシップの詳細です。このメンバーシップが私は結構良いなと思いました。メンバーシップは490円の「アミバプラン」と2990円の「トキプラン」があります。このコース分けの名前自体自虐が利いていて面白いです。特にトキコースは何回も擦られた誤ポンしたシーンの自分の画像を本人が使っているのが、完全に吹っ切れていてとても潔いと思いました。
加えて、メンバーシップ会員だけが使えるスタンプのネタの豊富さたるや。結構こういう配信用スタンプって本人のオリジナリティだけで何種類も準備するのって難しくて、汎用なものがいくつか入ってしまいがちだと思います。その点渋川さんは〇〇先生シリーズに加えて「押せ…」など配信から産まれた名言が多いため、特別にパターンが豊富であり、こういう面からも配信者に向いているなと思っていました。ところが朝倉さんも渋川さんに負けず劣らず、ネタ要素が多いことに気づきました。馬面、ウマぶり、ヘラ、ぴん、ニンジンなどに加えて、
2018年にかました錯チーの237索チーまでスタンプにあるのはちょっと面白かったです。
加えてこの月間スケジュールがぶっ壊れています。段位戦のためにどんだけ時間確保してるんだよ…。 良い意味で狂っていて朝倉さんの良いところが出ているように思いました。
朝倉さんの場合、Mリーガーの間は問題行動はいくつも起こしました。そのため、Mリーガーではなくなった後どうするのか?が余計なお世話ですがとても心配されていたように思います。しかし契約終了となった後、それを本人独自のネタとして活用しているのはとても良いことだと思いました。これがまさに「MリーガーではなくなってもMリーガーの時に培ったものを最大限活用して活動している」好例だと思いました。
沢崎さんの場合
入院のためにファイナルから出場を辞退し、その後、体力的にも不安があるとの判断で契約終了となった沢崎さん。契約中はサクラナイツ愛がとてもあることを節々に感じましたし、契約終了後も前原さんみたいなファミリーとしてサクラナイツを桜援するポジションになると思っていました。
しかし契約終了に対しては不満があるようにも見られる端的なツイート…。プロフィール写真と紹介文を変更するのも非常に早かった…。そしてMリーグやサクラナイツ関連の話題にはその後一切触れていませんでした。現在は退院して連盟主体の大会や麻雀格闘倶楽部へは復帰している様子。
円満なかたちで契約終了していたのなら、4人で優勝シャーレを抱えている記念写真を退院後に撮るとか、この4人で最後となるイベントが何かしら開かれてもいいものですが、それらが一切ないことが気になっていました。(パイレーツがもともとの4人で最後となるイベントをかなりしっかりめにやっていたので、否応にも比較してしまいました。)
そう思っていたところ、
開幕戦初日にこの報告。これはかなり気にかかっていたので、とても安心したというか、この画像を観て感慨深いものがありました。
思わずツイートしてしまいました。この日は渋川さんのデビュー戦だったのですが、この日一番感動したのはこのツイートだったり。それくらい、文章で伝えきれないくらいの感情がありました。
(でも沢崎さんこの件について自分からは一切触れていないので、一定の線引きはあるものかと思います。しかし詮索しても仕方がないので。)
その後の活動については沢崎さんクラスになると変わらないのかと思います。まずは退院して身体を馴らしていくということもありますし、その後もMリーガー前とさほど変わらないのではないかと予想します。
前原さんの場合
規定が変更がされる前の2020シーズンで契約終了となった前原さん。
契約終了後もチームや選手を応援しているどころか、ファイナルでは藤崎さん解説の回に控室に来ちゃったほどです。
この写真、本当に良いですよね…。
KONAMIのこういう一体感はOBである前原さんと藤崎さんによるもので、他のチームにはない魅力ではないかと思います。
前原さんはKONAMIの選手が大きな和了をしたり、トップを取った時にはツイートします。
Mリーガーじゃなくなった後もKONAMIの試合を観ていることが伺えますね。まさにファミリーです。
その後の活動については沢崎さんと同じく、前原さんや藤崎さんはMリーガーの前と同じような活動に戻っていると思います。それでいいと思いますし。
藤崎さんの場合
前原さんと同時期に契約終了となった藤崎さん。前原さんのようにこまめにツイートするようなことはないですが、主にKONAMIが出場する日に解説としてMリーグに関わっています。解説なので中立な立場を保たないといけないのでやや間接的にですが、KONAMIを応援する発言をしたりもしています。前原さんとは形は違いますが、KONAMIを応援していることが十分に伝わります。
もう一回貼っておこう。
しかし、藤崎さんの解説はMリーガーを目指しているような他のプロの解説と比べると熱量が低く、Mリーグをあまり観ていないように伺えるシーンもあります。打牌意図が汲み取れていないことも多く、藤崎さんの解説に対してはほとんど「否」の意見しか見かけません。
それでも「KONAMIの選手4人については誰よりも詳しいし、だれよりも実況に熱が入っている」これだったら技量の問題ではなく、芯にくるものがあるので良いのかなと私は思います。しかし、特段そんなこともありません。
その後の活動については前原さんと沢崎さん同じく。年代が高いこともあるが連盟プロなのでそれなりに活動は固定されていることも共通しているかと思います。
和久津さんの場合
シーズン2020で契約終了となった和久津さん。和久津さんはびっくりするくらいMリーグやセガサミー関連の発信をしない。それよかセガサミーの選手が和久津さんについて語るところもほとんど見たことが無い。
和久津さんに至っては言うなればMリーガーだったことが「無かったこと」かのようになってしまっているのが非常に気になります。(これは私の調査不足で、そんなことないようでしたら申し訳ありません。しかし少なくともセガサミーの配信などをそこまで網羅していない1視聴者の私からしたらそう見えていることは事実です。)
和久津さんはその後、高宮さんとカフェ「MALUTACAFE」をオープンしています。これはMリーガー後の活動ではありますが、麻雀は関係ありません。Mリーガーであった知名度を活かしていると言えなくもないですが、和久津さんはMリーガーになる前から人気があったし、失礼かもしれないけどMリーグによって人気が爆上がりしたというわけでもないように思いますので、この活動はMリーガーだったこととはあまり関係ない独立した活動のように捉えています。
私はそれよりも高宮さんが成績不振と「麻雀以外の活動にも注力したい」といった理由とを合わせて契約終了を打診したりしないかが心配です。カフェも経営しているとなると時間を費やしますので、麻雀を勉強する時間も減るでしょうし。
元Mリーガーも業界で活躍してほしい
こちらの記事でも触れたのですが、私はMリーガーはMリーガーでなくなった後も活躍していてほしいと思っています。なぜならその後全く活躍を見なくなると、契約終了のクビルールの重みが大きすぎて、深刻に見えすぎてしまう。そもそもこの規定自体どうなの?と思われかねないからです。
契約終了のクビルールは前期の石橋さんの涙のようにドラマを生み出すことができるものだと思います。このルールの実行に対して「Mリーガーとしての試合が見られなくなる」「この四人での活躍が観られなくなる」これを悲しむことは正しく、あっていい感情だと思います。けれど「Mリーガーじゃなくなってしまって収入は大丈夫だろうか」「麻雀プロとして終わった」これは余計なお世話であり、必要ないと思っています。
どう思われるかを左右させるのが、契約終了した人のその後の活動だと思うのです。元Mリーガーが、Mリーグ終了後はゲストでもめっきり観ないし、リーグ戦以外活動していない、そして家族を養うのが難しくなっていてアルバイトを始めたとか、そういう状況だと笑えないですよね。Mリーグのルールがかなり残酷なものに見えてしまいます。そう見えないように、「Mリーガーじゃなくなったけどうまく生活している(できればMリーガーによる知名度も活用して)」という姿を見せてくれた方が良いなと思っています。
例えばボクシングはチャンピオンになっても有名にならないとそれだけで生計を立てることは難しく、チャンピオンでありながらアルバイトもしているという人もザラにいる世界です。バスケットの国内リーグもそうですよね。これらのような「収入の土俵がまだまだ安定していない競技団体」ではクビルールなんて残酷すぎて取り入れられないですよね?
じゃあ麻雀はどうなのか?と考えた時に、競技の知名度としてはまだまだマイナー寄りだと思います。だから観ている人としては、「Mリーガーじゃなくなったらどうなるの?」というのは、特に業界にそこまで詳しくないライト層からはシンプルな疑問でもあると思います。
本来は「麻雀プロは収入が安定している職業だから問題ない!」ここまで言えればいいのですが、それはさすがに難しいと思っています。だったらせめて、「一度Mリーガーになれば、そこで培われた知名度や人気によって収入はある程度保証される」これくらいは言えた方が良いのではないかと思います。
元Mリーガーはオンレに戻るのか?問題
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