Mリーグ2021ファイナルは例年に比べて盛り上がっていなかったのか? 他
Mリーグ2021は4月26日の最終戦をもって全日程を終了し、KADOKAWAサクラナイツの優勝で幕を閉じました。あなたはMリーグ2021やファイナル、最終戦を通してどう感じましたか?
今回はファイナルの途中の時期にTwitter上で話題になったこのテーマについて、忖度なしに私の意見を書きたいと思います。ネガティブな見方も含みますので、ファイナルの余韻が残っている方を不愉快にさせてしまったら申し訳ありません。
また後半はファイナルと今年のMリーグについての雑感を書いています。こちらは有料設定にさせていただきましたので、もしご興味があれば。
とある意識調査
こちらはわせりんさんがファイナル12試合中8試合が終わった後の段階、つまり結構白熱している時期に土日を挟んでTwitter上で実施したアンケートです。
アンケートの結果、44.7%が「盛り上がっていない」と回答していました。ちなみにわせりんさん自体も今期のMリーグは例年ほどしっかりと観ていないようにも見受けられますし、未だにnoteも完成していない様子で明らかにトーンダウンしています。
Mリーグ2021ファイナルは本当に盛り上がっていなかったのか?
わせりんさんをフォローしている人の多くは、Mリーグについて何でも肯定的に捉えるわけでなくて、思うところがあってそれを共有したい人や彼に代弁してもらう事ですっきりしたい人が多いと思われます。逆に麻雀のルールを知らないけど人間を推している層など、純粋に楽しんでいる人のほとんどはわせりんさんをミュートしています。
そのため上記のアンケート結果は回答者がかなり偏っていて、視聴者の総意とは到底言えません。また、ファイナルの同時接続数やトレンドランキングなどの数値の基準にするなら例年よりも盛り上がっていると言えます。
つまり、「一部の視聴者層からは盛り上がっていないと思われている」くらいの解釈が正しいと思います。
(本件と関係ないですけど、わせりんさんのフォロワーはどのチームを応援している層が多いのか気になります。かなり偏っている気がします。)
私の意見
例年どの4チームが勝ち残っていても、ファイナルが始まってさえしまえば終盤に向けてどんどん盛り上がっていっていると思います。単純に麻雀自体が観ていて面白いものですし、Mリーグさながらの選手模様にフォーカスした演出も秀逸だと思うからです。今年も例に漏れず、特に最終戦は面白かったと思います。
しかし、盛り上がりに欠ける部分があるということも分かります。
私が思ったのは、
なんか優勝の価値が低い。
勿論賞金が出るし、優勝することは名誉ある事だし、単純に勝ちたいし、優勝を目指す流出は分かるのですが、「優勝すると人生が変わる」みたいな感じは全くないんですよね。
それで言うと今のMリーグは「Mリーグになれればそれで人生変わる」になりすぎてしまっています。一般の麻雀プロとMリーガーでは知名度や仕事の量がまったく違います。多くの麻雀プロがオンレ店で仕事しているのに対し、Mリーガーになるとアイドルや有名人ライクな仕事が増えてきます。一方で、Mリーグ内ではチーム順位が8位になろうが優勝しようが、仕事にはほとんど影響ないように思います。
こういった視聴者や選手に対して緊張感がないマンネリした状況にならないように採用された規定がチーム編成変更義務(2年連続でファイナルに出場できなかったチームは編成を変更する義務がある)です。
この規定はレギュラーシーズンとセミファイナルには緊張感をもたらしましたが、逆にファイナルシーズンの緊張感は緩和されてしまっているようにも思えてしまいました。「ファイナルまで到達してしまえばとりあえず2年はクビを免れる」という安心感の方が優勝することよりも重要なように見えてしまうからです。
ファイナルの優勝争いよりも、新しいMリーガーが誕生するドラフトや、先日の石橋さんの試合の様にチーム編成変更義務に関わってくるイベントの方が人間模様が描かれていて見応えがあるように思えてしまいます。
特に今年はセミファイナルの石橋さんの試合とインタビューが見応えがあったことで、それと対照的に、来年も安泰なことが確定している4チームの選手によるファイナルは見劣りして見えてしまいました。
そもそも賞金に掲げている5000万もあまりピンと来ないです。企業が受け取ってから選手に何割が分担されるのかもよくわからないですし、前述のようにMリーガーになれた時点で選手たちは麻雀プロの中で超人気者みたいなポジションを獲得しているので、「この賞金が何が何でも欲しい」みたいな人はいないでしょう。
リスクの無さと賞金価値が低いことが相まって、ファイナルはある種ネプリーグを観ている時のような緊張感のない感覚はありました。
あの大会と比較すると分かりやすいかも?
リーグ戦ではないので適切ではないかもしれませんが、いまや年末の国民的行事となった漫才日本一を決める大会「M-1グランプリ」と比較すると分かりやすいかもしれないです。M-1グランプリと比較すると、
・優勝すれば仕事が格段に増える。人生が変わるとまで言われる。(これまでにM-1出場・優勝がきっかけに売れた芸人が多数いる。)
→MリーグはMリーガーになった時点で人生が変わっている。優勝しても仕事の量にそこまで変化はない。
・優勝できなかった場合、来年も決勝に残れる保証はない。
→Mリーグは何位になっても来年は同じ8チームで戦える。 (チーム編成変更により契約終了となるかのうせいはある。)
・薄給な生活をしていて「売れたい」と強く思っている芸人が出場している
→Mリーグは既にMリーガーになれて、人気者になれた人たちの中での戦い
こんな感じで、M-1でいうところの「優勝」がMリーグでは「Mリーガーになること」でほとんど達成できてしまっています。
(*正確に言うとM-1に既に売れている芸人も参加しているし、優勝できなかったコンビの方が売れた年もあるし、売れたいというより自分達の漫才=実力を証明したいという気持ちの方が強いコンビもあるし、全員がそうでない部分も勿論あります。フォーマットを比較しています。)
M-1グランプリを参考にするならば、優勝にはMリーガーになること以上の価値を示す必要があると思います。5000万ではもはや弱いです。優勝チームはAbemaの全番組のゲストを一周できるとか、過去の優勝チームがメディアに露出して人気者になっているとか、例を挙げておいてなんか違う感じがしますが、いずれにしろ優勝への付加価値があることが重要ではないかと思います。
(さすがに優勝チームが5億もらえるのなら見方が変わるので、単純に優勝賞金額を上げることは現実問題は置いておいて一番手っ取り早い解決方法ではあると思います。金額はパワー。)
その他Twitter上の意見
連投制限が無いから同じようなメンツばかりで代わり映えがない
・チーム戦である意味がない。
・チームの方針で有利不利が違い過ぎる。
実力が勝敗に直結していないことが多くて面白くない
・運によって勝敗が決まることが多い。
・過去の優勝者が全組敗退していること自体運ゲーぽく見える
・上手くない選手が運で勝つのを観るのがつまらない。
推しのチームが敗退している
私が思っている「優勝の価値が薄い」以外にはこのあたりの意見が多かったです。
出場回数制限はあるべき
私は出場回数の制限は設けた方がいいんじゃないかと思います。今回の堀さんや前回の勝又さんの連投が面白くないとは全く思っていないですが、「やりすぎ」の基準が決まっていなくて、チームごとにライン引きが任されていてフェアじゃないのは気持ち悪いです。
例えば今回堀さんは7回出場しましたが、ルール的には10回出場しても12回出場してもルール上は問題ないわけです。(堀さんは成績と打ち筋が安定していて「強い」ので、出す回数が多いほど勝率は高いということを大前提にしています。)じゃあ何がブレーキになっているかというと、「これ以上出すと(=これ以上内川さん岡田さんを出さないでいると)さすがに視聴者から批判される」とかそういった類の、曖昧なものと戦っているような気がします。
別の記事でも書きましたが、私はガチとエンタメを両立させるためには規定がものすごく重要だと思っています。今の規定だと「強い」は曖昧だとしても「成績が安定している選手」は12回出しきらないとガチとは言えないように思えますし、一方でそれをやったらエンタメとして崩壊するとも思えます。つまり、「今の規定だとガチとエンタメを両立できない」という表現が正しいのかもしれません。
こちらの記事でもガチとエンタメについては触れています。
*すべて無料で読めます。
他の点について
運要素の影響が大きいこと自体は他の麻雀という競技である以上仕方ありませんが、考慮の余地があるとしたら赤ありが適しているかどうかです。運要素が高く、実力がある人が勝つわけではない可能性が上がることは悪い部分もありますが、ドラマを生んだりしやすいといった良い部分でもあると思い、Mリーグが求めているものは赤ありの方が合っている気がします。
選手の実力についての議論にも絡みますが、そこそこ運が良かったとしても勝てなそうな打ち方をしている選手はさすがに…と思ってしまうのは同意です。今シーズンだとどうしても高宮さんが気になってしまいました。
KONAMIの均等選出は優勝という結果だけを見据えたわけでなく、「どうやって優勝したいか」にもこだわっているように見え、私はとてもいいと思いました。だからこそもう少しこう、なんというか、補ってほしいなと思いました。せっかく人気のある選手でありチームであるので尚更惜しく感じてしまいます。
結論
視聴者全体として、今年のMリーグが盛り上がっていないと捉えられているかは分からないと思います。視聴者層によって捉え方がぜんぜん違うようにも思います。私は盛り上がっていないとは思いませんでした。特にファイナルが終わった直後の段階では少なくともそう思えないかなと。ただ、ファイナル序盤やセミファイナル終了後にネプリーグを観ているような感じに駆られたタイミングはありました。個人的には優勝を競う理由があまりないように見えてしまっていることが原因に思いました。背景を考えてしまうと、「来年以降もMリーガーとして活躍することが約束された人たちが、形式上順位を決めるために戦っている」ようにも思えてしまうところがあります。
セミファイナルの石橋さんのインタビューを見て、チーム編成変更義務は選手や視聴者に緊張感をもたらす機能を果たしているように思えました。一方で、この緊張感はファイナルには足りないように思います。選手出場回数も含め、今後Mリーグが規定によって改良していく余地ありだと思いました。
ファイナル出場4チームへの雑感
以下本題ではありませんが、Mリーグ閉幕後の雑感です。ファイナル出場チームだけ、主にファイナルでの戦い方などを中心に、前回と違う視点でまとめました。
ちなみに前回の記事はこちらです。すべて無料で読めます。文量が激しいですがMリーグロスでMリーグ関連の文字を読みたい方にはうってつけかもしれません。
*こちらは途中から有料です。もしご興味があれば。
第1位:KADOKAWAサクラナイツ
見事な優勝でした。
そもそもサクラナイツは選手の麻雀の実力とエンタメ的な発信力が8チームの中で最もバランスが良く、Mリーグがやりたいことが一番出来ているチームのように思います。
特に感心したのは内川さんが初心者向けの麻雀本をKADOKAWA文庫から出版していて、堀さんが6月に上級者向けの麻雀本を出版するといったように、別々のターゲットに対して適した選手を関連付けて起用させて、自社の商品の販売にも機能させているところが企業としてとても巧いと思いました。
他の企業って麻雀格闘倶楽部以外はその選手たちがどのように企業の商品に関連づいているのかよくわからないなと思っています。(例えばパイレーツの選手はU-NEXTの独占番組に出演しているとか、雷電は電通の麻雀麻雀に連載を持っているとか、企業と選手にもっと繋がりがあった方が私は良いと思います。)
サクラナイツは選手構成の面でも雀力・エンタメ・ファン層・選手感の相性など総合的にいいバランスで獲得できていいるように見えますし、商品と選手のタイアップが上手くできているので、Mリーグを通してみていてもKADOKAWAが戦略がしっかりしていそうな会社だなと思えることができます。(会社は関係なくて単に森井さんが相当なやり手というだけだったらそれはそれですごいのですが、森井さんに監督を任せている時点でやはりKADOKAWA自体が力がある会社だと思えます。)
前回の記事でも書きましたが、参戦が一年遅かったとは言えサポーター数や公式Twitterフォロワー数が意外と伸びていないのが不思議なところ。今回優勝したことでどれくらい伸びるのかが見どころです。
第2位:セガサミーフェニックス
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