27万円の「お菓子の城」が即日完売 明治が“子どもの頃の夢”を商品化したワケ
誰しもが一度は憧れたことがあるだろう、お菓子の城。板チョコレートの館、グミの神殿、クッキーの塔など、子どもの頃の夢を形にできる商品がある。明治が1月16日に発売した「明治 子どものころ夢に見た、お菓子でつくる大きな大きなお城キット」(以下、お菓子の城)だ。
【画像】27万円の「お菓子の城」(全6枚)
価格は27万2200円という高額商品にもかかわらず、Amazonで限定5セットを販売したところ即日完売 。SNSでも「バレンタインの本命はこれで決まり」「子どもの夢すぎる」「明治が本気出してきた」など大きな反響を呼んだ。商品化の経緯を、同社グローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部の杉山詩織さんに聞いた。
お菓子の城、建築面積は1.2坪強
お菓子の城のサイズは、2(幅)×2(高さ)×1(奥行き)メートルで建築面積は1.2坪強。城を作るために必要なお菓子は、段ボール16箱で届けられる。
城を形成する塔や城壁などのパーツは、作成の難易度ごとに「初級」「中級」「上級」の3つに分かれている。アポロとリッチチョコレートサンドの塔やアーモンドとマカダミアの庭園などは初級、ヤンヤンつけボーの塔や板チョコの館などは中級、たけのこの里の塔やグミの神殿は上級となっている。
それぞれのパーツには作り方のアドバイスを同封している。また、同社のXアカウント「チョコレート大作戦」(@chocodaisakusen)でも作り方を公開。材料は全て市販されているので、作りたい部分に必要な商品だけ購入し、一部分のみ作ることも可能だ。
コロナ禍で落ち込んだ手づくりバレンタイン
お菓子の城の構想、製作、監修を担当したのは、パティシエの小清水圭太氏。小清水氏が趣味の一貫で、さまざまな市販のお菓子を使って城を作成。それをSNSに投稿したところ、数十万の「いいね」を集めた。それを目にした明治は、23年の3月頃に「バレンタインに何か面白いことを一緒にやりたい」とコラボを持ち掛けた。
コロナ禍でのバレンタインは、感染防止の観点からお菓子づくりを自粛する動きが多く見られたという。アフターコロナの今年は「『みんなで集まって楽しく手づくりできるようなお菓子のコンテンツを作りたい』『バレンタインというハレの日や手づくりシーンを盛り上げたい』という思いがありました」(杉山さん)
こうした思いを実現するには、どのような商品にすればいいのか。検討を重ね、小清水氏がつくったようなお菓子の城に挑戦できるものにした。明治の公式YouTubeチャンネルで公開されたインタビューで、小清水氏は「すでにあるお菓子の形を生かしたデザインを考えるのが楽しかった一方、これほど大きなサイズを埋める設計を考案するのが難しかった」と振り返っている。
なお、小清水氏は「たけのこの里」派とのこと。今回のお菓子の城でもたけのこの里をふんだんに使用しているほか、さりげなく「きのこの山」が閉じ込められている場所があるという。
今回の反響を受けて、来年のバレンタインはどうするのかを聞いてみた。「具体的な方針は未定ですが、来年も『手づくりチョコレートって楽しそう』と感じてもらえるような話題を紹介していきたいですね」(杉山さん)
ちなみに「ここまで大きいお菓子の城はちょっと……」と尻込みしまう人向けに、手軽に作成可能な「明治 お菓子の家キット」(2612円)も発売中だ。150×200ミリメートルの専用台紙の上に、板チョコレートで家を組み立て、マーブルチョコレートやアポロで飾り付ける。こちらの売れ行きも好調に推移しているという。「数量限定なので無くなり次第終売となりますが、春頃までの販売を想定しています」