10 監督からの呼び出し
俺は、移動先のホテルでデリヘルでも呼ぼうと思っていた。
「お前はこんなに大きなキンタマを見たことはあるのか?」と見せびらかしたかったからである。
しかし、そのタイミングで監督から呼び出された。
重いキンタマを引きずり、監督の元へ。
「はい、監督。なんでしょうか」
「日本シリーズは、ある意味、情報戦でもある。それはわかるな?」
「はい、もちろんです。キャッチャーですよ?俺」
「うむ。そうなんだ。お前もわかっている通り、日本シリーズは情報戦だ。実はな、今、入った確かな情報によると、中西には、そ、その、実に言いづらいんだが」
「なんですか?」
俺は、監督の目を見た。こんなに言いづらそうにしている監督を見るのは初めてだった。
「実はな。相手チームのキャッチャーは、一度もキンタマに当たっていなかったようなんだ。相手のキャッチャーはキンタマのある位置に、普通のファウルカップではなく、本来禁止されているはずのNASAの科学技術を用いた、45口径の弾丸でも貫けない800万円の金のファウルカップをつけていたんだ!」
俺は全身の血が逆流するのを感じた。
「まさか…そんな…49回…とも…」
「そうだ……演技だったんだ」
俺は、監督の言うことの意味が、まだ全部は飲み込めていなかった。
あの地獄の苦しみを味わったのは!
俺だけだったということか!?
「ちくしょーっ!ちくしょーっ!!!」
俺は周囲のものを全て、投げ飛ばし、蹴り飛ばし、怒り狂った。
蹴りとばした中に、来たばかりのデリヘル嬢もいた。
「キャーッ!キンタマ星人に蹴られた!」
デリヘル嬢は、プンスカと怒って帰っていった。
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