トレカ『キラ滑り』の検証(人力)
お詫び
一時期総シャッフル数9万回と書いたのですが
正しくは9千回と1桁違っておりましたのでご了承ください。
始めに
大前提として
ここでは特定の主義思想を非難するつもりはありません
あくまで筆者の意見ですのであしからず
本文は基本全て無料で読むことが出来ます
ですが貰えるものは貰える主義なので
投げていただく分には問題ないので設定がしてあります
割と時間を贅沢に使用したので、余裕のある方はよろしければ
結論
引き延ばすのも面白くないので結論から述べます
検証結果としては
「 キラ滑りは存在しない 」
という事になります。
何故そのような結論になったのか
何をもって存在しないとするのかを
これから説明していきますので興味のある方は続きをお読みください。
検証内容
問題と目的
検証を行う前に『キラ滑り』について整理していきたいと思います。
・『キラ滑り』とは
キラ滑りとは通常のカードとは異なりキラキラの加工があるカード(以下レアカードと呼称)がシャッフル時にランダム性を崩すことを指す言葉として使用されています。
広い意味ではレアカードが「近い範囲に偏ること」を指し、狭い意味では「重なること」を指しています。
キラ滑りの発生原因ですが
通説としては「レアカードは通常のカードとは異なり特殊な加工が施されており、厚みや硬さが異なりこのカードの違いが偏りを生み出す」とされています。
しかし、筆者が調べた限りでは科学的根拠や物理的法則を示されていません。
では『キラ滑り』という現象は起きていないのかといわれれば感覚としては納得するのは難しく、筆者もそれなりにトレカを楽しんでいますが特定のカードが重なっている状況に出くわすことがあります。
例えばデッキに2枚しか採用していないレアカードが重なっていたとか。
実際にレアカードが重なる事象がある以上、『キラ滑り』は発生するともいえるのですが
そもそもシャッフルの目的はランダムにすることであるため、特定のカードが近くに寄っている事や重なってしまうこと自体は決して問題ではありません。
シャッフルによって偏りが出来ることや重なりが生まれること自体が問題ではないとするのであれば、何故『キラ滑り』が議題に上がるのか。
今回の検証はそこにあります。
・『キラ滑り』の問題点
検証に行く前に『キラ滑り』の問題点を確認していきます。
キラ滑りが問題視されるのはシャッフル時なのですが
大前提としてシャッフルは対象を不規則な形(ランダム)にすることが目的であり、均等にすることは目的ではありません。
寧ろ、意図して偏りや重なりを無くすという行為はカードの順番に一定の法則を作ることになるのでランダムとは言えなくなります。
シャッフルによるランダム性について言及してしまうと話が長くなってしまいますので、今回は簡単に。
シャッフルの目的は「ランダム」にすることであります。
『前の状態から変える事』や『混ぜること』や『分散させること』は目的ではありません。
そしてその状態を達成していないからといってシャッフルになっていないとはなりません。
再度になりますがシャッフルの目的はあくまで「不規則」にすることです。
かみ砕いていえば、「どうなっているかわからない」状態を作ることが目的です。
なので極論シャッフル前と変わっていなくとも問題ないのです。
そこに意図さえなければ。
そしてどれだけ混ぜて前と変わっていようともそこに「規則性」があるのであればそれはシャッフルとしては不十分なのです。
そうした認識の中で『キラ滑り』について考えると、それ自体は決して悪いわけではないと理解していただけると思います。
レアカードが重なっていようとそれがシャッフルとして正しく行われていたのであれば何ら問題ないのです。
なので、『キラ滑り』を考えるときにその事象だけを捉えてもあまり意味がありません。
問題があるとすればそこに「規則性」が生まれてしまった場合。
つまり通常のカードとは異なり『レアカードだけ』に発生する、あるいはノーマルカードと『比較して多く』発生する事象だった場合に初めて問題となるのです。
今回検証を行おうと思ったのはキラ滑りを語る時に他のノーマルカードで同じ状況が発生した場合への言及が少ないと感じたためです。
検証方法
・目的
特定のカードの違い、厳密にはノーマルカードとレアカードの違いによって『キラ滑り』と呼ばれる状況の発生数が異なるかを確認することを目的とする。
・条件設定
今回はターゲットとする4枚(1種)を設定し、異なるカードを使用する。
ターゲットとなる4枚以外はポケモンカードの山札枚数である60枚になるようにその他カードを56枚準備。
その他カードはノーマルカードの「基本鋼エネルギー」と「基本雷エネルギー」を使用。(本来は同じ柄、同じエキスパンションにしたかったのですが、無かったので自宅に有ったものを使用)
ターゲットとの加工違いを鮮明にするため、その他カードは裏向きで使用
・ターゲット
キラ滑りを確認するためのターゲットとして「ノーマル」として「基本雷エネルギー」を使用。
「レア」としてポケカ151に収録されていた「ミュウex(151/165)RR」を使用
さらに通説では「カードの厚みや硬さ」でキラ滑りが発生するとされているので、ポケモンカードとは明確に厚みと硬さの異なるワンピースカードゲームの「ドンカード」を比較対象のため使用
・スリーブ
メーカーや製造ロットによって偏りが生まれることを考慮して
自宅に有った刀スリーブ3色とアクラスざらざらマットスリーブPRO2色を使用
(自宅に有った物なので1度以上使用済みのモノ)
・シャッフル方法
一般的に混ざると言われているファローシャッフルを採用
ディールシャッフルと組み合わせた方が混ざるとされていますが、今回は偏りが出るかの検証であるためファローシャッフルのみとする。
また、ファローシャッフルは7回以上で十分に混ざるとされているが人力で行うため不十分になる可能性を考慮して10回を1セットとする。
・シャッフル開始状況
検証目的はカードの違いによって頻度に差が出るかであるためシャッフル開始時のデッキ状況を固定する必要がある。
またキラ滑りが特定の状況下で発生する可能性も考慮して状況を3つ設定。
状況① 重なった状態で開始
60枚の中で山下から1~4枚に重ねた状態
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状況② 偏った状態で開始
60枚の中で山下から5枚を挟んでターゲットを配置する
(ターゲット・その他5枚・タゲ・5枚・タゲ・5枚・タゲ・残り)
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状況③ 分散した状態で開始
60枚の中でターゲットがそれぞれある程度距離が離れるように配置
(タゲ・10枚・タゲ・32枚・タゲ・14枚・タゲ)
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*注意*
枚数の振り分けに根拠はありません
目的は状況を分けることで発生状況などを確認するためです。
・キラ滑りの確認方法
本実験では『キラ滑り』を狭義での「重なっている状態」とします
1セット(シャッフル10回)を行った後に山札を確認し以下の条件になっているかをカウント
●「2枚」条件:ターゲットのうち2枚だけが重なり、残り2枚がそれぞれ重なっていない
●「2×2枚」条件:ターゲットのうち2枚が重なっている組が2組ある
●「3枚」条件:ターゲットのうち3枚が重なり残り1枚は重なっていない
●「4枚」条件:ターゲットの4枚が全て重なっている
結果
ターゲット3種を3状況で
スリーブ5種各20セット(合計100セット)を行った結果が以下の通り
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シャッフル開始状況をまとめた全体でのレアカードが2枚以上の重なりが発生する確率だけでいえばノーマルカードが最も低かった。
但しレアとドンカードとの差は2%ほど(300回ごとで5回差)
状況別でみると
状況①の重なり状況では
確かにノーマルカードの重なりが最も少なく、ドンカードの重なりが最も多かった。
状況②の偏り状況では
ノーマルカード・レアカード・ドンカードでの重なり回数に差は殆どなく
状況③の分散型では
ノーマルカードの重なりが最も多くドンカードの重なりが最も少なかった。
スリーブごとの20セット中の重なり回数の出現は以下の通りでした
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データ数が少ないのであまり意味はないのですが
5名の参加者(スリーブ)に3条件3水準の実験参加者内要因の実験を行ったと仮定して、分散分析(ANOVA)を行ってみました。
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データ数が少ないので当然と言えば当然ですが
水準を10%に引き上げても有意差は見られませんでした。
なので、少なくとも分析上は
「カードの種類」と「シャッフル開始状況」という要因ではカードが重なりが発生する回数には影響しないという事でした。
考察
確率上の話をすると60枚のカードの中で特定の4枚のカードが2枚が重なる確率は10%( 4C2 × 59! / 60! )
それを踏まえるとノーマル・レア・ドンの種類に関わらず重なる確率は高かった。
これはひとえに筆者のシャッフルが未熟だったと言える。
ただ、その未熟なシャッフルの中ではカードの種類でカードを混ぜても重なりが増える確率は「2%」以内。
この「2%」をどの様に判断するかで受け取り方が変わると思いますが
少なくとも今回得たデータをもとに統計的分析を行ったところ差は見られませんでした。
またキラ滑りの根拠となる「厚みや硬さが偏りを生み出す」が正しいとすればそもそものカードが異なるドンカードでその状況が明確に生まれていなければならないのですが、今回の実験ではそれが見られませんでした。
特定の状況で「キラ滑り」と思われる状況が発生したのは確かです。
ただ、それが発生した状況は「特定のカードが重なった状態」からシャッフルした場合(状況①)。
元々重なっていたカードが上手く混ざらなかったことをもってしてこれを「キラ滑り」とするのは本来の「特定のカードが寄り重なる」こととは異なると考えます。
更にファローシャッフルはその都合上、シャッフル時の上下端は混ざりにくくなっています。
そうしたことを考えると状況①で発生したのは「特定のカードが寄り重なる」のではなく、重なったカードを上手く混ぜられていないつまり「シャッフルが上手くできていない」と考えられます。
これについては新たな状況を設定しての追実験をしてみるのも面白いかもしれません。
例えばデッキ中腹、山下から11枚目の所にターゲットを4枚重ねてシャッフルを開始するとか。
あるいは「シャッフルが上手くできていない」のであれば
今回は省いたディールシャッフルとファローシャッフルの組み合わせを行った場合の検証もありかなと思います。
また、シャッフルを60枚という状況で行いましたが、それより少ない状況で行う場合も違う結果が出るかもしれません。
例えば20枚の山札で、ターゲット2枚というような。
改めての結論
色々と長たらしく書き、かじった知識で分析をしてみましたが
結論としてはやはり
「キラ滑りは存在しない」
です。
確かにレアカードが重なるという事象は確認できましたが
それがノーマルカードでは起きない事象ではなく
また、ノーマルカードよりも多く発生する事象でもないためです。
レアもノーマルも等しく重なることがある
というのが正しい表現かもしれません。
キラ滑りが存在すると思ってしまう最たる理由は
所謂「確証バイアス」
それっぽい状況を優先して思い出すことで、それが多く発生していると感じてしまう事にあると思います。
少なくとも今回の実験ではキラ滑りと呼ばれる特定のカードが重なる事象はレアカードに限らず発生していました。
レアカードは対戦中に重要になる事が多くそのことから意識に残りやすく、ノーマルカードが重なっていても特に気にされないため『キラ滑り』という効果が意識の中で生まれてしまったのではないかと考えます。
勿論、今回はあくまで筆者の人力で行った実験であるためデータが不確かな可能性があります。
別の方が同様に行った場合に『キラ滑り』が発生するかもしれません。
キラ滑りがあると考える方は実験を行いデータによる討論をしていただけるとより良いデータの蓄積になると思います。
最後に
とりあえず、疲れました。
無駄だなぁとも思いつつも頑張りました。
流石に肩が痛いです。
データを見ながら他の状況で行った場合はどうなるのだろうとも思いましたがひとまずここで区切りとしました。
気になることはありますが、疲れたのでね。
これより先に中身はありません。
無駄なことをするなぁと憐れんでくださる方や
生活が豊かな方が投げていただければ
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