「うさぎの飼い方」動物園スタッフが徹底解説
「うさぎを飼ってみたいけど、飼い方がよくわからない」そんな疑問をお持ちではありませんか?
当記事では、うさぎ飼育歴8年、現役動物園スタッフがうさぎの飼い方について徹底解説していきます。
うさぎを飼う前にやっておくべきこと
うさぎを飼う前に、命を預かる飼い主としてやっておくべきことがあります。必要なことをまとめたので、参考にしてみて下さい。
うさぎを飼う許可をもらう
家族との相談はもちろん、自宅が賃貸物件の場合は、大家さんや管理会社にうさぎの飼育許可をもらって下さい。
ペット可の賃貸物件だとしても、小型犬のみなど、飼育できる動物に制限がある場合があります。うさぎは壁や床をかじるので、賃貸物件の飼育許可は必ず取るようにしましょう。
無許可でうさぎを飼育した場合、退去時に部屋の修繕費用を請求される可能性があります。
エアコン必須
うさぎは暑さにとても弱い動物です。うさぎに適した室内温度は、18℃から24℃とされています。快適な温度をキープする上でも、エアコンは必須です。
自宅にエアコンがない場合、取り付けることも視野に入れましょう。シンプルな物なら、工事費込みで10万円くらいで取り付けることができます。
また、エアコンの付いていない賃貸物件の場合は、大家さん、管理会社に相談してみましょう。自費で取り付けるなら案外簡単に許可してくれるところが多いです。
動物病院を調べる
通える距離にうさぎを診てくれる動物病院があるかどうかも調べておきましょう。病院によっては、「犬と猫以外は専門外」と言われる事も多いです。
犬、猫以外の、いわゆるエキゾチックアニマルの診療にも対応している動物病院の場所をしっかりとチェックしておきましょう。
うさぎは体調不良を隠す動物です。異変に気がついた時、一刻も早く病院に連れていけるかどうかが、うさぎの生死を分けると言っても過言ではありません。病院を事前に調べておけば、緊急時にも安心です。
うさぎを飼うために必要なもの
うさぎを飼うためには必要なものがたくさんあります。ひとつずつチェックしていきましょう。
うさぎ用ケージ
うさぎの放し飼いは、うさぎにとっても、飼い主さんにとっても、大変危険です。うさぎ用のケージは必ず用意しましょう。
大きさは十分な広さがあるものが望ましいです。一般的にうさぎ用として販売されているケージであれば、まず問題はありません。
給水ボトル・給水皿
水を入れるためのグッズも必要です。今は給水ボトルを使用するのが主流ですが、給水ボトルから水を飲むことが理解できなかったり、苦手だったりするうさぎもいます。必要に応じて給水用の皿も用意しておくと安心です。
また、給水ボトルは飲み口の玉の部分がきつくなって詰まることが多いので、使用する際はきちんと水が出るかどうかのチェックも忘れないようにしましょう。
フード入れ
フード入れとは、うさぎの主食であるペレットフード(固形飼料)を入れるための容器のことで、ケージの中に設置します。
うさぎは物を口に咥えてひっくり返すイタズラをよくするのが特徴です。餌が散乱しないよう、ケージに固定できるタイプの物や、重さのある陶器製の物をおすすめします。
トイレ
うさぎ用のトイレは、深さのある本体に細かい金網がついている物が一般的です。形は四角形や三角形で、金網の下にペットシートやトイレ用砂を敷き、ケージに固定して使用します。
ペットシートやトイレ用砂をそのまま敷いてしまうと、うさぎが誤食してしまう危険性があるので、うさぎ用トイレを使用するようにしましょう。
ペレットフード
総合栄養食であるペレットフードが、うさぎの主食になります。様々な商品が販売されているので、うさぎの年齢や種類に合わせた物を選びましょう。
うさぎは非常に味覚が発達した動物です。味の変化に敏感なので、与えるペレットフードの種類を変える時は、今まで与えていた物に新しい物を少しずつ混ぜながら、1週間以上はかけて変えていくようにします。
乾燥牧草
ペレットフードと同じく、乾燥牧草はうさぎの主食です。ケージ内の床材としても使用できます。
イネ科のチモシー、マメ科のアルファルファなどいくつか種類がありますが、アルファルファは食べ過ぎるとうさぎの胃にガスが溜まりやすくなるので、基本的にはチモシーがおすすめです。
アルファルファは栄養価が高いので、食べる用の牧草として与えるようにします。動物園では、妊娠中のうさぎによくアルファルファを与えています。
メンテナンス用品
メンテナンス用品として、うさぎ用の爪切り、ブラシ、体拭きシートがあれば、ひとまず困ることはありません。
うさぎの抜け毛が気になるときにはブラッシングをして、ペット用の体拭きシートで拭いてあげましょう。なお、うさぎのストレスになるのでシャンプーはおすすめしません。ひどい汚れではない限り、ブラッシングと体拭きシートで十分です。
また、爪切りは初心者の方にはかなり難しい作業です。うまくいかない時には無理をせず、うさぎを診てくれる動物病院で切ってもらうことをおすすめします。
ペット用キャリーケース
ペット用キャリーケースは、うさぎを連れて動物病院などに外出する際に使用します。キャリーケースは大き過ぎると、揺れた時にうさぎも動いて怪我をしてしまう恐れがあります。うさぎがギリギリ自分で体の向きを変えられる程度の物を選びましょう。
キャリーケースの材質は、布製の物だとうさぎがかじって壊してしまう可能性が高いので、固いプラスチック製の物をおすすめします。
うさぎが家にやってきたら
家にやってきたばかりのうさぎは、移動のストレスに晒されている状態です。さっそく撫でたりして可愛がりたいかもしれませんが、我慢しましょう。
うさぎが家に到着したら、フード、水、トイレを設置したケージにうさぎを移し、部屋を暗くしてそっとしておきます。部屋を暗くできない場合は、ケージにカバーをかけるなどして、うさぎが落ち着くまで刺激しないようにしましょう。
うさぎがフードを食べ始めたり、水を飲んだり、排泄している様子があれば、落ち着いてきた証拠です。
うさぎが家に来る前まで過ごしていたケージ内の床材の一部や排泄物の一部、食べていたフードなどをもらって新しいケージやトイレに入れておくと、うさぎも慣れやすい傾向にあります。
うさぎの持ち方
うさぎの持ち方は、うさぎの背中の皮を片手でたっぷりと掴み、反対の手でうさぎのお尻を包み込むように持ち上げ、そのまま素早く自分の体へ引き寄せます。暴れる個体も多いので、怪我には十分注意して下さい。
うさぎは抱っこを嫌がる個体が多いです。うさぎが自ら乗ってくる時は良いですが、基本は自由にさせておくのが一番です。必要以上に持ち上げたり、抱っこしたりしないようにしましょう。
エサと掃除の回数について
うさぎのエサの回数は、1日1〜2回ほど、ペレットフードを与えましょう。与える量は、パッケージに目安が記されているので参考にしてください。乾燥牧草は常に食べられるようにしておいて大丈夫です。
ケージ内の掃除は、2、3日に1回程度、またはひどく汚れたらそのつど行いましょう。
トイレは毎日掃除します。うさぎが毎日きちんと排泄しているかどうかを確認するためにも、トイレは綺麗にしておく必要があります。1日以上排泄がない場合は、早急に動物病院で診てもらいましょう。
うさぎに与える野菜・果物について
うさぎは野菜や果物も好んで食べます。その中で与えて良い物、悪い物があるのはご存じですか?
うさぎに与える野菜、果物について代表的な物をまとめたので、よく確認しておきましょう。
うさぎに与えて良い野菜・果物
ニンジン(葉を含む)・小松菜・チンゲン菜・アシタバ・レタス・スプラウト・大葉・ミツバ・大根の葉・カブの葉・せり・春菊・白菜・ルッコラ・水菜・セロリ・キュウリ・かぼちゃ(種は除く)・トマト(赤い実のみ)・アスパラガス・ピーマン・ラディッシュ
リンゴ・梨・桃・イチゴ・ブルーベリー・ラズベリー・ブラックベリー・バナナ・キウイ・パイナップル・パパイヤ・マンゴー・メロン・スイカ・柿
与える量はペレットフードの10分の1、または1日5gが目安です。その中で葉物野菜の割合が7割以上になるよう調整します。実野菜、根菜、果物はごほうび程度に与えましょう。
果物は種と皮を取り除いて与えてください。
うさぎに与えると危険な野菜・果物
タマネギ・長ネギ・ニラ・にんにく・エシャロット・チャイブ・ルバーブ・豆類・トマトの葉とヘタ・ポトスなどの観葉植物・観賞用の生花・ワラビなどの山菜・アボカド・イモ類
基本的に、刺激の強い野菜、アクの強い野菜、お腹にガスが溜まりやすい野菜、その他、人間用に加工された物は絶対に与えないで下さい。少量でも死に至る可能性があります。
また、ブロッコリー・カリフラワー・ほうれん草は、ごく少量を与えても大丈夫ですが、与え方に気をつけた方が良い野菜なので、無理に与える必要はありません。
うさぎを部屋で放す時の注意点
うさぎをケージから出して部屋に放す時は、以下のことに注意しましょう。
かじられて困るものは片づける
うさぎは何でもかじります。うさぎの行動範囲に、かじられて困るものは置かないようにしましょう。
壁や床、カーペットもかじります。かじろうとしていたら、そっとやめさせましょう。かじって遊ぶうさぎ用のおもちゃがあるとうさぎの気をそらすことができます。
また、特に注意したいのは、電気のコードです。コードをかじられてしまうと、うさぎの感電死、電化製品の故障、火災の原因にもなってしまいます。電気のコード類はコンセントから抜き、うさぎが届かない場所に置きましょう。
うさぎは狭い場所にも入り込めるので、テレビやパソコンの裏は要注意です。
うさぎと触れ合う時の注意点
うさぎと触れ合う時は、同居する小さなお子様、犬や猫など他のペットによく注意しましょう。
うさぎの前歯は、ナイフのように鋭くよく切れます。それこそ、子供の指なら切断できてしまうほどの力を持っています。小さなお子様がうさぎと触れ合う時には、必ず保護者の方が付き添って下さい。
うさぎと触れ合う際は、口元を触るのは避けて、背中を優しく撫でるのがベストです。
また、犬や猫など、同居する他のペットがいる場合、うさぎとの不用意な接触は避けるようにしましょう。犬や猫にとって、うさぎは捕食対象です。どんなに仲良くしていても、動物の狩猟本能は何の前触れもなく急にスイッチが入ってしまうことがあります。
うさぎと他のペットとの距離が近い時は、万が一の事故が無いように絶対に目を離さないようにして下さい。
高い場所に注意
うさぎは1mくらいの高さなら余裕で飛び越えてしまいます。その反面、うさぎの骨は軽く、脆くできているので落下のダメージにはとても弱いです。
着地の際、骨折など怪我をしてしまう恐れがあります。棚の上など、高い場所にうさぎが飛び移ることが無いよう、十分注意して下さい。
うさぎは飛び上がるとき、後ろ足で立ち、頭を上下させて距離を測っているような仕草を見せることがあるので、よく観察してみましょう。
フローリングは苦手
うさぎの足裏には、猫や犬のような肉球が存在しません。前足も後ろ足も全てふわふわな毛で覆われているので、フローリングの上を歩くのは苦手です。
うさぎがフローリングで滑ってしまう生活を続けていると、足裏が擦りむけてしまう「ソアホック」という病気や、足の関節を痛めてしまう原因にもなってしまいます。うさぎの行動範囲には、カーペットやクッションフロア、人工芝などの滑りにくい床材を用意しましょう。
なお、いずれの床材も、うさぎがかじって誤食してしまう可能性があるので注意して下さい。
※「部屋の中では安全な場所がどうしても確保できない」といった場合は、屋根付きのペットサークルを利用することをおすすめします。費用は掛かりますが、うさぎを広い場所で安全に遊ばせることができます。
まとめ
うさぎは小さな生き物ですが、飼うとなると準備することや注意することがたくさんあります。それに加えて、長期間家を空けるようなことができなかったり、エサ代、グッズ代、病院代、光熱費がかさむなど、飼い主さんにも制限や負担が掛かってきます。
うさぎの寿命は10年前後です。
うさぎを家族として迎え入れる時には、うさぎが幸せな最期を迎えるまで、責任を持って飼うことを心に強く誓いましょう。
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