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江國香織『東京タワー』の表紙

 最近、江國香織の『東京タワー』を読了した。内容は普通に面白くて、「江國香織らしさが出ているな〜」とか思いながら読んでいた(褒めてます)。
 この記事で取り上げたいのは、内容ではなくその表紙である。

雨のにおいがしそう

 これが新潮文庫版の表紙である。

 …この写真、とっても良くないですか?

 曇天で薄霞の、“映え”などとかけ離れた、全く飾り気のない東京タワー。大都市のシンボルとして周囲の建物を見下ろすように高く、雑多な街並みに溶け込むようにそびえている。あくまでも日常の一瞬を切り取った、そんな感じ。
 これだけで、ストーリーに妙なリアリティとなんとも言えぬ奥行き(?)を生んでいるような気がする。

 ちなみに、暇な私は、これがどこから撮影されたものなのか、特定してみることにした(全く無駄な時間です)。

 場所は今の六本木ヒルズがあるところ、そこから東に向けて撮影したと思われる。あの辺は再開発が進んでるから、今は全然景色が違うかもしれない。
 だから、この表紙の写真にちょっと哀愁を感じるのでした。

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