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気軽にエンゲージメントを高めようなんて言ってはいけない

◆初めに

 ビジネスのコラムを見ていると、従業員や顧客に対してエンゲージメントを高めようと気軽にいっているものが散見されますが、僕は誠意のないエンゲージメントが度々炎上するのを見てきたので、エンゲージメントが持つ意味を考え直して貰いたいと思いこの記事を書きました。これを読んでエンゲージメントにもリスクがあるというドライな見方をするのでなく、そもそもエンゲージメント自体がウェットな物だという認識をして貰えたら幸いです。


◆エンゲージメントとは

 エンゲージメントとは婚約や契約という意味で、その名の通り、会社と従業員や顧客の結びつきを強めることで、互いに強い愛着や信頼を持つようになり、意欲的に行動するようになることです。これによって、従業員や顧客は会社に対して高いモチベーションをもって協力的な行動を行うようになり会社の経営にプラスになるという理論です。


◆では何が問題なのか?

 悪い例なので具体名はあげませんが、誠意のないエンゲージメントによる炎上の例は次のようになります。

 ①エンゲージメントを高め、顧客や従業員のモチベーションを高めることに成功した。
 
 ②しかし思うように売り上げが伸びず事業転換することを決める

 ③新たな顧客の開拓や、従業員に新しい事業の割り当てをしたところ、元々の顧客や従業員から反発を受け炎上する

 従業員や顧客は会社そのものというよりも、会社が見せたビジョンに共感し、エンゲージメントを高め、深い愛着や信頼を持つようになります。それによって、高いモチベーションを発揮し、損得を超えた奉仕を行いますが、エンゲージメントは相互に結び付きを深めるものであると認識されるので、自分だけでなく、会社も、そのビジョンや自分たちに同じだけの愛着や信頼を持っているものと信じています。なので都合が悪くなったからといって、会社の都合で気安く方向転換することは許されません。そのような場合には顧客や従業員は『裏切られた』『都合よく利用された』と思い強い反発を起こします。

 エンゲージメントは、その名のとおり『婚約や契約』という意味なので、片方の都合が悪くなったといって、気軽に解消出来るものではありません。相手に損得を超えた奉仕をさせる以上は、こちらも損得を超えてそれに答えなければならないのです。


◆タダより高いものはない。

 モチベーション3.0が注目され、口コミやバズるなど、消費者主体のマーケティングが幅を利かせるようになりましたが、このように対象者の善意を当てにした営業活動をする場合は細心の注意を払わなければなりません。損得を超えて活動している以上、こちらも損得を超えて奉仕しなければなりません。一歩間違えれば、炎上し大きな禍根を残します。これは企業だけでなく、アイドルやネットタレントなどにも言えます。ファンにして貢がせるだけ貢がせて使い倒そうというような考えをするとしたら、そのうち大きな痛手を被ることになるでしょう。

◆まとめ:気軽にエンゲージメントを高めようなんて言ってはいけない

 繰り返しますがエンゲージメントの元々の意味は『婚約や契約』です。うまく乗せれば、勝手に奉仕してくれるくらいの気楽な気持ちでいっていると、大火傷をします。エンゲージメントをするならば、自分の言ったビジョン、従業員や顧客と一蓮托生となる覚悟が必要です。

 会社の経営をする以上は人間を物や変数で見るのはある程度しかたのないことかもしれませんが、相手が感情や人格を持った存在であることを忘れてはダメです。誠意のないエンゲージメントの問題は、一見相手を尊重したように見せかけて、働かすだけ働かせたあと、都合が悪くなったら捨てるという、酷い仕打ちを無自覚にすることです。この気軽に、利益のために相手を尊重したふりをするというのは、相手を激怒させるので絶対やめましょう。

 人間の善意や感情はものすごいエネルギーを持っていますが、それは刃物や炎のように扱いを間違えれば大惨事になります。それを把握したうえで、誠意をもって本当の信頼関係を築き、真のエンゲージメントをするようにしましょう。

◆追記

(元々記事内では『エンゲージメントを深める』と書いてました、ですが、こちらの用法もなくなはいようですが、『エンゲージメントを高める』の方が一般的なようなので修正しました。申し訳ありません。)

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