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街の灯りに比例したい私
素敵なイラストは
タイトル 冬の色と、イルミネーション。
クリエイター ひいろ様 よりお借りしています。
1人朗読用台本・10分〜15分程度(691字)・女性設定ですが語尾変して男性も可。以下作品情報提示用↓
『街の灯りに比例したい私』作:こねこねこhttps://editor.note.com/notes/ne7cc72a7d104/edit/
以下本文です
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クリスマスを控えた12月2日の夜
5年付き合った人と別れて、1人になった。
『貴方なら一人でも大丈夫だよ』
そんな言葉で恋愛中の暖かな気持ちと切り離された宙ぶらりんの心に、帰り路のイルミネーションも、二人連れの笑顔も、カラオケ店のティッシュ配りも、
傷に掛けるオキシドールの様に痛く沁みた。
目を逸らしたくて足早に商店街を通り過ぎようとした時
私と同じ年頃の若い人が、サンタ姿でチラシを配りながら『ケーキとチキンの予約案内』を声高々に告げていた。
あぁ、この人には恋人が居るのだろうか?なんて失礼で仕様もない事が一瞬頭をよぎった。
そんな事で自分の傷が癒えるわけもないし、今の自分勝手な寂しさを癒したいからって自己満足への足掛かりにしようとしてはいけないよね。ゴメンね貴方。声を掛けられた訳でもないのに心の中で平謝りしてチラシを受け取った。笑顔が素敵な人だな…お仕事お疲れ様です。
自宅に着き暖房をつけ、気持ちを切り替えて、チラシを読んだ。きらびやかな背景に美しく飾られた、サンタとトナカイが乗ったケーキ。アラザンとイチゴには粉糖が掛かって雪景色だ。ふと、下の欄に、アルバイト募集、クリスマス当日にケーキ・チキン&給与支給!の文字があった。
『アルバイトかぁ…』
良いかも知れない。今から頑張って、お金を貯めて自分にプレゼントしようじゃないか。
気になっていたあのジュエリーで、煌びやかなあのイルミネーションみたいに。いやそれ以上に!
とびっきり楽しい夜にする為に、仕事に没頭する!
帰宅したばかりだけど、身だしなみを直して、履歴書と写真を撮りに街へと飛び出した。きっともう、私の顔は明るい。明るいったら明るい!
見てなさい。絶対、楽しい年末にするんだから!
《完》