岸田NISAの成長投資枠で生き残れ!



「 はじめに 」

 なぜ新NISAが注目されているのか?

 失われた30年と言われているが、この表現は弱い。コロナ前でさえ、手取り収入が減少していた。コロナによる将来不安への増加は、多くの国民が感じているだろう。
 想定外の災害や、異常気象、治安の悪化、そして少子高齢化。いずれも対策ができていない時代に、人口増加による感染症という問題まで加わった。コロナ以上の感染症が将来起こることは、もはや避けられないだろう。
 一人一人が学び、どうすれば被害を最小限にできるか、考えなければならない。そして、自衛のためには資金が必要だ。国の防衛費の増加の議論がある。国だけでなく個人でも、できれば家族総力戦で、災害や感染症から守るために、新NISAを使って生き残る資金と知恵を身につけるのだ。
 新NISAをはじめとするマネーリテラシーの向上は国民の必修科目となった。生き残るための必修科目だ。
 本書がその一助になることを願っている。


第1章  新NISAの魅力と始め方


  1 電気代にみる資産形成の必要性

 電気代の請求書を見てビックリ!
 コロナ不況で節約に努めてきたのに、これ以上どこを節約すればいいの?ロシア、ウクライナ情勢や円安を原因として電気代もガス代も急上昇している。残念ながらこの状況はしばらく続きそうだ。
 老後2000万円が話題となった。私はある民放テレビの朝の番組で、アナウンサーが老後2000万円のニュースが流れた後にこう発言したのをハッキリと覚えている。「なんなんですかこの国は!」「怒りますよ!」その発言の時の表情は凄まじいものがあった。
 しかし、それはコロナ前の平時のときである。もはや、老後2000万円ではすまないかもしれない。電気代がこれだけ上がると、老後3000万円問題と言われるかもしれない。
 どうやって将来に備えれば良いのか?銀行の金利が若干上昇傾向とはいえ、バブル期のような定期預金7%の時代はこない。将来に備える方法は定期預金ではありません。岸田政権の目玉政策である新NISAを徹底的に勉強して、非課税の恩恵を受けて、資産形成をするのが最も効果的な方法だ。

  2 NISAはそんなに騒ぐほどの制度?

そもそも、NISAとはどういう制度か?
 NISAは、一定の枠内で投資を行う場合に非課税にする制度だ。スタートしたのは2014年1月、制度は何回か改正されており、2023年2月現在では、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つの仕組みがある。これが2024年から新NISAに大きく変わります。新NISAは小学生から高齢者までみんなが学ぶ価値のある制度です。なぜかといえばこれまでのNISAは金額面や制度の使い勝手が悪く、口座開設の手間もかかるため、評判はよくなかった。これまでのNISAの「一般NISA」は年間120万円まで非課税で5年間の非課税期間だ。「つみたてNISA」は2018年1月に開始した制度で、年間40万円まで、期間は20年間という少額で長期的な資産形成を想定している。「つみたてNISA」で押さえておきたいポイントがもう一つある。それは、金融庁のチェックが入っており、長期積立で分散投資をすることがしやすいことです。「一般NISA」との併用はできませんが、どちらがおススメかと質問されたら、安定した運用ができる「つみたてNISA」でしょう。
 2023年で廃止される「ジュニアNISA」についても簡単に触れます。廃止されますが、数か月でも利用できるものは利用した方が将来の安心につながるからです。未来を担う子供のために、少額でもコツコツと備えた方がよいでしょう。2016年1月より未成年者向けにNISA運用ができる制度ができました。それがジュニアNISAです。投資期間と購入可能商品は、一般NISAと同じです。非課税金額は80万円です。この制度の目的は、将来に向けた長期の資産形成を目的としているため、18歳になるまで原則として払い出すことはできません。

  3  NISAの始め方、口座開設はどこでするの?

 金融機関で資料をもらい、身分証明書や印鑑を持っていけば店舗で口座開設の案内を丁寧にしてくれる。丁寧にというのは皮肉を込めて書いている。それは無料をうたって案内してくれても、のちにNISAの手数料によって回収できるからです。
 したがって、本読者の方には店舗に行って欲しくないです。
手数料が安い、ネット証券で開設しましょう。具体的には、SBI証券と楽天証券です。SBI証券は、少額から投資できること、T pointが使えること、銘柄が豊富なこと、新規公開株の販売が豊富なことが特徴です。
楽天証券は、操作方法が簡単で分かりやすい、楽天point が貯まること、楽天銀行や楽天市場との連携がされており使いやすいことです。
 ただ、楽天の業績が近年良くないので、どちらかと言えばSBI証券を推します。

第ニ章  新NISAを活用した投資必勝法

 1  積み立て枠の1階で守りを堅める

 積み立て枠は年間360万円のうち、120万円があります。積み立て枠には金融庁のお墨付きが入った安定した商品が多いです。もちろん投資ですので自己責任があることは仕方がありません。
しかし、比較的安定した商品ですので、長期保有すれば4%のリターンは得られるでしょう。例えば、全世界株式オールカントリー やS&P500は、投資でいう侍ジャパン日本代表選手です。比率は、私なら全世界株式オールカントリーに35%、S&P500に15%でしょう。次の控え選手としては、ひふみプラス、NYダウインデックスファンド、たわらノーロード日経225でしょう。

 2 成長投資枠の2階で攻める!

 成長投資枠の2階は金額が240万円、ハイリスクハイリターンの商品が入ってきます。具体的には後述します。例えば、金利の上昇が落ち着けば、米国REITや日本のJREITなどが高い利回りを出すでしょう。
 主な投資先を分かりやすく分類するために、利益期待度を高い順に、S→ A→ B→ C→D の5段階に分けます。
 投資信託 B      国内株式 A            米国株式 S(情報が充実している場合)
 REIT         A      ETF(上場投資信託)  S      外貨預金  B
 不動産クラウドファンディング S

 不安定でリスクが低い順に、S→ A→ B→ C→D の5段階に分けます。
 投資信託 A     国内株式  B          米国株式   D
 REIT       A    ETF(上場投資信託) A     外貨預金  C
 不動産クラウドファンディング B

 3 指標を確認して、割安かを判断する

  PER(株価収益率)= 時価総額 ➗ 純利益
 同業他社より低いと割安だと判断でき、購入候補になる。
  PBR(株価純資産倍率)= 時価総額 ➗ 純資産
 数値が1に近いか、1を下回ると割安だと判断でき、購入候補になる。


第三章  私の注目銘柄教えます

 1   資産形成の基本は、長期分散、粘り強く

 資産運用で売買を繰り返していたら、それはデイトレーダーがやること。
手数料もそれだけかかるので、やってはいけない。
 まず、人が運用するインデックス型か、機械の指数に連動するアクティブ型かを見分けよう。
一つの目安だが、信託報酬が0、5を超えたらアクティブ型と考え、手をださない。信託報酬が0、5未満ならインデックス型と考え、投資の候補にしよう。せっかく税金が非課税でも金融機関に多額の手数料を払うようでは資産運用としては好ましくない。アクティブ型は日経平均等の指数に連動せず、プロが運用しているため信託報酬が高い。
しかし、人が運用するアクティブ型は、機械の指数に連動するインデックス型に負ける可能性が高い。投資の神様ウォーレン・バフェットも、長期的にはインデックス型の銘柄の方が、利益を出しやすいとしている。

 2  成長投資枠を学習しよう

 資産形成の土台となる「つみたて投資枠」(年間120万円まで)は、全世界株式(オールカントリー)を中心とする手堅い商品を並べる。その上で、成長投資枠の240万円の部分は、大胆に攻めよう。
 ただ、ここで注意したいのは早期に240万円の枠を埋めようとしないことだ。スピード競争ではないのだから、成長性の高い銘柄を厳選して組み入れていくことが大切だ。単身世帯か二人世帯かにより、毎月の投資金額は異なるが、まずは毎月10万ずつを12か月で1クールと考える。(1クール120万円)
 余裕があればさらに毎月10万円ずつを12か月でもう1クール形成するイメージだ。(2クール目120万円、合計240万円。1クールあたりの値段は、状況や世帯により変化させることが大切。)    
 好きなスポーツに例えて欲しいが、野球なら日本代表クラスの信頼のおけるエース(高配当、値上がり益の可能性が高い銘柄)を、1クールのうち、5か月分(50万円)を託する。参考までに私なら、①三井住友フィナンシャルグループ ②商船三井 ③三菱UFJフィナンシャルグループ ④KDDI  ⑤オリックス を信頼のおけるエースとする。信頼のおけるエースでも好不調はあるわけだから、あまり多くは託さないようにする。
 つまり、長期分散投資は常に意識しておきたい。エースの次には、アクティブな個別株も組み入れる。若者の起業が増えてきているから、新聞や四季報で若くてITに強い企業を探すのもおススメである。
 私が注目しているのは、不動産クラウドファンディングのパイオニアである「クリアル」だ。一度どんな会社か調べて欲しい。不動産投資の民主化を掲げて、わずか1万円から不動産投資をできるようにしたのだ。
 不動産市場は金持ちが多額の資金で購入し、一般庶民には怪しい勧誘の電話しかこない、まさにBLACK BOXであった。
 クリアルは優秀なSEを集めて物件情報をDX化をし、緻密な計算によって不動産クラウドファンディングを行っている。現時点ではあるが、元本割れは無し、募集をかければ1時間で目標到達になり募集終了となる。
 クリアルの人気の理由は不動産という安定性と利回り平均年間4%という水準だろう。クリアルなどの勢いのある会社には、1クールのうち、4か月分(40万円)を託してもいい。先におススメの証券会社としてSBI証券をあげたが、若くてITに強い企業を見つけやすいからだ。2021年のSBI証券のIPO件数は122件にのぼる。(SBI証券サイトより)
 1クールのうち、残り3か月分は、米国通であれば米国の個別株投資。国内株の経験が豊富であればこれまでの経験をフルに活かして日本株を購入したい。
 私の経験と考えから、新NISAで購入予定の個別銘柄を参考までにお伝えします。あくまでも自己責任で参考にしてください。
 人口動態をみて、日本は人口減少社会であるが、米国はバランスの良い成長が見込まれる。インドも同様である。米国株が魅力なのは、大国でありながら教育水準も高く、Chat GPTなど新しいものが誕生する成長力の高さである。

 3 生涯資産1800万まで投資ができ、投資枠が復活する新NISA

 現行一般NISAは年間120万円まででしたが、新NISAは年間360万円まで、生涯で1800万円まで投資可能です。新NISAでは、生涯1800万円まで非課税であるため、1年で360万円を使い切らなくても損をすることはありません。資金づくりが出来たときは投資をして、教育面等で出来ないときはお休みすればいいのです。
 新NISAのもう一つの特徴は、投資枠が復活することです。
具体例をあげましょう。
 結婚することになった。マイホームを購入することになった。こういったまとまった資金が必要になったときに対応できるのがNISAです。住宅購入の頭金として元本700万円分の投資信託を1000万円で売却すれば300万円の利益は非課税で、元本700万円の投資枠は翌年に復活する。
 注意すべきは、売却した分の投資枠はすぐには使うことができない。再利用できるのは売却の翌年からである。そして、復活しても年間の上下額は360万円で変化はしない。

 4 確定申告を意識した株式投資をしよう(超過して扶養から外れないように気をつけよう)

 2023年までのつみたてNISAは年間40万円まで、一般NISAは120万円まで非課税枠がある。2024年から始まる新NISAは年間360万円まで非課税枠があるため、この金額の範囲内であれば確定申告を意識する必要は無い。 
 しかし、株式投資に熱中してくると、年間非課税限度枠を忘れてくることもある。また、例えば、三菱UFJ銀行の現在のNISA投資では、投資をするたびに、「今回はNISA枠を使いますか?」ときいてくる。チェックをするとNISA枠を使うシステムになっている。(システムは変更になる場合があり、金融機関により異なるため、操作の時に確認するようにしてください)
つみたてNISAは年間40万円まで非課税であるが、40万円を超えた分は課税の対象となってくる。具体的には、配当をもらえば配当所得、利益が出て売却すれば譲渡所得の対象となってくる。つまり、確定申告の知識が必要となってくる。そして確定申告をすればその情報は、市役所にもいくため、住民税にも影響してくる。
 まず、NISA枠をオーバーした場合の確定申告を学びましょう。例えば、つみたてNISAをしている会社員のAさん(48歳)は給与以外の所得はなく、妻のBさん(46歳)の収入は94万円であり、103万円の扶養の範囲内であった。(103万円というのは基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計である)確定申告をしたことはなかったが、会社で年末調整を受けていたため配偶者控除の適用を受けていた。
 資産形成を意識したAさんは証券会社の案内を受け、年2回のボーナスをもらうたびに、100万円ずつ合計200万円の投資信託を、つみたてNISAをしている40万円とは別に購入した。200万円の投資信託は、運よく280万円に値上がりし、80万円の株式譲渡益が出た。
 ここで確定申告が必要な人を確認しよう。
「給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える方(例)給与を1か所から受けていて公的年金等に係る収入金額が80万円(65歳以上の方(昭和33年1月1日以前に生まれた方)は130万円)を超える場合」(国税庁ホームページより)
 ポイントは、譲渡所得が20万円を超える点である。80万円の株式譲渡益が出たのだから、確定申告の譲渡所得を意識しなければならない。
 譲渡所得は、給与所得とは区別される所得区分の一つである。では譲渡所得とはどのようなものか?
 まず、口座開設の影響は後にして、簡潔に説明する。
譲渡所得は、収入金額(時価の金額)ー取得金額(株式の購入費用)=譲渡益となる。
 上記の例では、値上がりした時価280万円ー購入費用200万円=80万円の株式譲渡益となる。この80万円の譲渡益について、口座開設の影響を学ぶ必要がある。
 口座開設の仕方が影響するとは、具体的には、特定口座か一般口座かの区分である。
 特定口座を開設した場合(1金融機関につき、1口座に限られます。)に、その特定口座内における上場株式等の譲渡所得等の金額については、特定口座外で譲渡した他の株式等の譲渡による所得と区分して計算します。この計算は金融機関が行いますので、金融機関から送られる特定口座年間取引報告書により、簡便に申告(簡易申告口座の場合)を行うことができます。
 また、特定口座内で生じる所得に対して源泉徴収することを選択した場合には、その特定口座(以下「源泉徴収口座」といいます。)における上場株式等の譲渡による所得は、確定申告は不要です。
 つまり、特定口座で源泉徴収口座を選択すれば、次の譲渡損失を繰越控除する特例の適用を受ける場合を除いて、確定申告は必要ない。
 ただ、譲渡損失の繰越控除をする場合は異なる。
 他の口座で株式をしていて、損失が出て、相殺する場合や、上場株式等に係る譲渡損失を繰越控除する適用を受ける場合には、確定申告をする必要がある。つまり、源泉徴収口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額について、確定申告を行うことにより、他の上場株式等に係る譲渡所得等の金額から控除するときは、確定申告不要制度を適用できないことから確定申告をする必要がある。


 第四章  新NISAで利益を出すために、2023年にできること

 1 新NISAの準備は今からしよう

 新NISAは2024年から始まるが、2023年の今から準備をしよう。それは、① NISAを徹底的に理解すること ② 口座開設の準備と一般口座か特定口座かを選択すること ③ 確定申告の理解をすること である。
 まず、NISAを徹底的に理解するために現行の一般NISAか、つみたてNISAを始めてみよう。
 つまり、新NISAの開始を待つ必要はなく、今のNISAも資産形成に寄与するからだ。現行の一般NISAは、2023年に120万円まで購入しても、2027年の5年間は非課税で保有することができる。その後、保有していたらどうすればよいかは出口戦略として後述する。現行のつみたてNISAは、2023年に40万円まで購入しても、2042年までの最大20年間は、非課税で保有することができる。こちらも、その後については、出口戦略として後述する。
 出口戦略とは、現在の制度のNISAに入金した場合に、一般NISAなら2027年まで、つみたてNISAなら2042年までに、どのように保有して、どのように売却して出金するかのことである。
 一般NISAは5年間しかないから、納得する譲渡益が出たら、売却して出金する。ポイントは期間が5年しかないから、欲張りすぎずに、ある程度の利益が出たら売却することである。損失が出ている状態なら、期間の最後まで粘り強く待つことが得策である。
 つみたてNISAは20年間あるから、このメリットを最大限に活かすことがポイントである。利益については、一般NISAよりは欲張っていい。
また、配当の高い商品を購入して、じっくりと配当金をうけとるのも一つの方法である。つみたてNISAの出口戦略としては、一般NISAよりは長期間保有できるメリットを最大限に活かして、配当金をもらってから、売却して現金化することである。
ここで、投資信託で注意すべき点がある。投資信託の中には、毎月分配型で、お小遣い感覚で毎月振り込まれるのを選ぶ方がいる。しかし、これはオススメしない。
なぜなら、毎月分配型の中には、損失が出ているのに特別分配金として、無理矢理分配するものがある。約款に基づき元本を取り崩して分配しているのだ。特別分配金は非課税であるが、元本を取り崩しているということは覚えておこう。

 2 一般口座か特別口座か、一般NISAかつみたてNISAかの選択

 一般口座とは、分配金や譲渡益から源泉徴収しないで、確定申告で精算する口座である。少ない銘柄や、プロの方に向いている。特別口座は源泉徴収を選択すれば、課税関係は完結するので、確定申告は必要ない。
NISAの枠に収まっているときは、非課税なので問題ないが、枠を超えた場合や、SBI証券と楽天証券のように二つで投資をするときは、NISAではない口座の方は、基本的には特別口座の源泉徴収ありを選択しよう。
 現行のNISAは、一般NISAか、つみたてNISAのどちらかしか選択できないから、最初に一般NISAを始めた人の中には、つみたてNISAが魅力的に見える方もいるでしょう。
私も一般NISAを始めて、最近解約してつみたてNISAにした一人である。
詳しく言えば、NISA制度早期は、一般しかなかったため、某銀行で一般NISAを作りました。その後、魅力的なつみたてNISAができたため、始めたいと思いましたが、併用はできないことを知りました。某銀行で一般NISAの解約方法を調べました。そして、すべてのNISA商品を売却した後に、キャッシュカードや印鑑および本人確認書類等をもって店頭に行きました。店頭で解約した後に、つみたてNISAをネット証券で始めました。ですから、一般NISAとつみたてNISAが併用できる新NISAは大きな政府からのプレゼントと言いたいです。(NISAの解約は大変でしたから)

 3 確定申告の知識を増やそう

 NISAで限度額を超過した時以外にも、確定申告の知識を増やすと資産形成に寄与することがたくさんある。まず、医療費控除である。これは2種類あり、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制による控除がある。
 まず、セルフメディケーション税制とは、軽い風邪を引いた時に、医療機関に行かないで、自分で、指定された薬を購入したときに12000円を超える分について、適用できる。通常の医療費控除との併用はできない。セルフメディケーション税制の適用を受けるには、健康の保持増進及び予防をしている必要がある。具体的には、健康診断や人間ドック、予防接種等である。また、薬については、レシートにセルフメディケーション税制の対象であることが必要だ。そのレシート等を明細書に記載して確定申告する。対象となる金額の上限は88000円である。
 次に、通常の医療費控除とは、年間の医療費が10万円以上かかった場合に、最大200万円まで控除を受けることができる制度である。これには、本人だけでなく、生計を同じくする家族の分も合算できる。つまり、最も税金を納めている収入が高い家族一人に合算した方が税率が高いため有利になる。また、医療費の領収書が多いときは、国税庁のホームページにある医療費集計フォームに入力することになる。これは後述するe-taxにも使えるので、国税庁のホームページはお気に入りに登録しておくことをおすすめする。また、職場などからもらえる医療費のお知らせも使えることをご存知だろうか?マイナポータルを利用しない場合は、医療費のお知らせと領収書を入力して保管する。ただし、医療費のお知らせは、10月か11月までしか載っていないことが多い。そのため、12月分などは、医療機関でもらった領収書を保管しておこう。
 ここからは、マイナンバーカードを作ったことが前提になるが、マイナポータルとの連携で医療費控除が申告できる。
 e-taxの確定申告書のページから「医療費控除を受ける方へ」を選択する。「確定申告書の作成はこちらを」クリックする。次に、「作成開始」をクリックする。あとは画面にしたがってマイナポータルと連携する。24時間利用可能なので便利である。

「 おわりに 」

 2022年から始まった物価上昇と円安は、そのうち収まると楽観視していた。しかし、収まるどころか現在も上限が見えない。また、エネルギー価格の上昇も上限が見えない。戦争が早期に終わることを願いつつ、生きる為には資産形成が必要である。NISAはその強い味方になるはずだ。資産形成には、収入を上げるか、支出を下げるかしかない。厚生労働省の令和四年版、賃金構造基本統計調査を見ると、勤労による収入は残念ながら、概ね横ばいと言える。物価上昇が続けば、私たちは家庭を守るために、お金について学ぶ必要性は高まる。もちろん節約をして、支出を減らすことも大切だが、多くの家庭はすでに必要な節約をしているのではないだろうか?もう、どこを削ればいいのか分からないという声も聞こえる。
 ただし、学ぶことで節約になることはたくさんある。本書はNISAが中心であったが、iDeCoの節税効果は大きい。また、iDeCoをやっていて感じるのは、大儲けは難しいが、損失がでる商品は少ない。60歳になるまで引き出すことが出来ないという点を考慮しても、制度を詳しく知る価値はあるだろう。
 これを読んでくれた方が、資産形成に積極的になり、後から振り返って、あの時に学んで、資産形成に本気で取り組んで良かったと思う事を願い、結びとする。
                 令和五年二月 

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