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絵本のまち板橋No.4 第29回いたばし国際絵本翻訳大賞表彰式が行われました!
はじめに
こんにちは! 淑徳大学 杉原ゼミの白倉光喜です!
淑徳大学東京キャンパスのある板橋区は『絵本のまち板橋』として、絵本を通じた文化振興、産業振興、観光振興また教育活動や分野横断的な取組を展開しています。
板橋区HPより「絵本のまち板橋とは」
これまでの連携プロジェクトの様子は以下の記事をご参照ください!
1.「いたばし国際絵本翻訳大賞」とは?
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板橋区では「絵本の翻訳大賞」が開催されています。
その名も『いたばし国際絵本翻訳大賞』。
「英語部門」「中学生部門」に加え、板橋区の友好交流都市であるイタリアのボローニャ市との縁から、「イタリア語部門」も設定されています。
課題絵本を応募者に翻訳してもらい、審査員の丁寧な審査を経て英語、イタリア語部門各1名、計2名の最優秀翻訳大賞、中学生部門1名の最優秀賞が選ばれます。
2.第29回いたばし国際絵本翻訳大賞表彰式
第29回を数える『いたばし国際絵本翻訳大賞』の表彰式が、2023年の8月11日に行われました。
私たち杉原ゼミはこの翻訳大賞のPR動画を制作させていただくことになり、当日は6名の学生が取材・撮影班として出席させていただきました。
2.1第29回の模様
今回の課題絵本は英語部門が『Wish』、イタリア語部門が『Prima di dormire』という絵本。
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ⓒ2019 Quarto Publishing Group USA Inc. Text and illustrations © Chris Saunders First published in 2019 by words & pictures, an imprint of The Quarto Group. All rights reserved.
『Wish』はChris Saunders作・絵。
なんでも願いの叶う幸せの種が1年に1度飛ぶ森で、3つも幸せの種がやってきてしまったうさぎと、それを取り巻く森の動物たちのお話。
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Prima di dormire © 2019 Kite Edizioni S.r.l. Padova, Italia © Giorgio Volpe per il testo © Paolo Proietti per le illustrazioni Collana diretta da Valentina Mai Tutti i diritti riservati
『Prima di dormire』はGiorgio Volpe作、Paolo Proietti絵。
友達であるヤマネが冬眠する季節になってしまい、友情と孤独への不安との間で揺れ動く狐のお話。
どちらも物語がとても美しく、絵のタッチも繊細で素敵な絵本です。
2.2表彰式開始
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板橋区立中央図書館の一階図書館ホールにて行われた表彰式は、区長の挨拶により和やかに、そしてどこか厳かに始まりました。
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英語部門、今回の最優秀翻訳大賞は糸畑くみさん。
タイトルを『ゆめわたげ』と訳したことについては、審査会でも「すばらしい訳」と話題になったそうです。最優秀翻訳大賞の受賞者スピーチでは
「絵本が届いてからスムーズに訳を進めていったつもりでした。しかし改めて原文に当たってみると韻を踏んでいる箇所がたくさんあって、それが作品としてのリズムになっていました」
「自分の訳を読み返してみると面白くなくて愕然として。もういっそのことこれは全力で遊ぼう、と思いました」
と、翻訳作業をしていた当時のことを語っていたのがとても印象的でした。
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イタリア語部門の最優秀翻訳大賞は堀口稔梨さん。イタリア語について元々学んでいて、勉強の一環としていたばし国際絵本翻訳大賞に応募したそうです。スピーチでは
「原文を尊重し世界観を壊さないことと、お母さんが子供に読み聞かせをしやすいような文章にすることの2点を心掛けました」
「言葉を足して説明したくなる傾向がありましたが、原初の雰囲気を崩さないように訳しては削っての繰り返しでした」
と振り返ったうえで、
「イタリアに語学留学したこともなければ、在住していた期間もない私がこのような賞をいただけたことで、これ以降イタリア語部門に応募しようと考えている人たちの後押しになったら嬉しいです」
と展望を語っていました。
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中学生部門の最優秀賞は井上花音さん。姿勢の良さもさることながら、理知的ではきはきとした語り口でのスピーチが壇上から凛と響いていました。英語が好きで、翻訳は初挑戦だったとのことです。スピーチの中で
「英語の勉強のつもりで始めたが、翻訳をする中で日本語の持つリズムや奥深さに触れ、寧ろ日本語について学ぶことが多かったです」
「これからも英語という世界とつながることのできるツールと、日本語という自分の生まれた国の文化を両方とも大切にしていきたいです」
と語っていたのがとても印象的でした。
表彰の後は各審査員からの講評。
英語部門審査員の三辺律子先生は『Wish』についての講評ではシャルル・ペローの民話を引き合いに出しながら「3つの願いの物語」であることに触れていたり、「抽象的な表現ではなくより具体的な言葉を用いなければ子供には親しみがわきにくい」などといった話をなさっていました。
イタリア語部門審査員の関口英子先生は今回の課題絵本である『Prima di dormire』は
「一見文章も平易で短くシンプルに見えるけれど、シンプルな文章はその分、訳者の言葉への考え方が如実に出る」とおっしゃっていました。これは堀口さんがスピーチで語っていた「訳しては削っての繰り返し」にも通ずるところがあるのではないかと感じられます。
受賞作品は『ゆめわたげ』と『きみにおやすみをいうまえに』というタイトルで工学図書という出版社から刊行されました。いたばしボローニャ絵本館・板橋区立中央図書館でも読むことができます。
工学図書株式会社 山烋のえほん https://sankyu-book.com/aboutus/
表彰式での審査員の先生方の講評やご本人のスピーチを踏まえて、もう一度どちらも目を通してみたいと思いました。
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2.3表彰式を終えて
表彰式は最後までつつがなく終わり、全体を通して穏やかな空気が流れていました。
我々淑徳大学生の方はカメラの配置や音声チェックなどで焦りや緊張感もありましたが、撮影班やインタビュアーとしてのスキルアップにもつながる、有意義な時間だったと感じています。
3.学生の関わり
絵本のまち板橋プロジェクトとして今回の授賞式には私たち杉原ゼミの学生が取材・撮影班として出席させていただきました。
授賞式の模様は学生が動画の編集をし、こちらの動画のように後日板橋区立中央図書館の公式Youtubeにてアップロードされる予定です。
[クイズ]初見じゃ絶対分からない4つ絵本の共通点
第30回いたばし国際絵本翻訳大賞応募方法説明動画
[比較]イタリア語絵本の翻訳大賞で最優秀翻訳大賞に選ばれた翻訳
[翻訳]「寝る前に」というイタリア語をあたたかい日本語に翻訳するには?
絵本のまち板橋の活動についてより詳しい様子が知りたい方は是非、そちらも見てみてくださいね!
以上、本記事は淑徳大学 杉原ゼミの白倉光喜が担当いたしました!