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長崎伝習所で誕生した童話 中島川のあそびんぼ太郎 4
大稲佐天狗とハタ揚げの巻
ミナトが箱の中から次の花火を選び、妖怪達もみんな一緒になって例の呪文「なんでん いっちょん かんでん いっちょん こんこんこんね!」を唱え火打石で火をつけました。
すると、今度は白い煙の中から背の高い大きな天狗が高ゲタをはいて現われました。この天狗は昔薩摩の桜島から長崎の稲佐山に移り棲み大稲佐天狗と呼ばれるようになりました。
「おいどんはハタ揚げば教しえるとでごわす。さあ、おはんらば唐八景に連れて行きもんそ!」大稲佐天狗はいばってそう言うやいなや、ハタ揚げの道具を背負い、ミナトとミサキとあそびんぼ太郎をひょいと抱きかかえて、空高く舞い上がりました。
ミナトは「ごわす! もんそ! ごわす! もんそ!」と大稲佐天狗の薩摩弁をまねて大喜びです。地上ではしおふきんが尻尾を、カナカナとキンキンとおじいちゃんとおばちゃんが手を振っています。大稲佐天狗は自慢の羽うちわをエイッと勢いよく振ると、唐八景までひとっ飛びです。空を駆けるように移動して、またたく間に唐八景に到着しました。
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そしてミナトとミサキのために、羽うちわで風を起し、ハタ揚げ遊びの手伝いをしました。2人は空中のヨマ(糸)を引き合い、競いながら思う存分ハタ揚げ遊びを楽しみました。おじいちゃんとおばあちゃんもあとから大稲佐天狗が連れて来てくれました。おじいちゃんは2人の孫にハタの上手な揚げ方を身ぶり手ぶりを交えて優しく教えました。
その様子を見ていた大稲佐天狗は羽うちわを大きく振りかざし、空中を勢いよく舞うハタを見上げて、「よか眺めでごわす。よいやー、よいやー」と叫び、「かっかっかっか」と偉そうに高笑いをしました。
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