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落ちて、落ちて、また落ちて 演劇未経験・小脳梗塞発症・中年男の戯曲講座挑戦記 その1

落ちて、落ちて、また落ちて 演劇未経験・小脳梗塞発症・中年男の戯曲講座挑戦記 その1

【この物語は、演劇未経験の中年男が、2015〜2018年に長崎ブリックホール・大ホール(2000席)で上演された市民ミュージカル『赤い花の記憶 天主堂物語』脚本を書くまでの実話である。】

発作はある夜突然に

あれは平成16年(2004年)の 9月のこと。当時46歳の私は、長崎市在住のフリーライターだった。35歳で東京のサラリーマン生活に見切り(半分リストラ)をつけて、長崎に帰郷し、そんなに深く考えることもなくぼんやりと憧れていたフリーライターに転身。理由は単に読書好きということだけで。しかし、何のスキルもないまったくのゼロからスタートは困難の連続、それでもやる気と勢いだけは誰にも負けじと突っ走り、ようやく地方の独身貧乏ライター生活にも慣れた頃だった。

その年の春から取材・執筆・編集を担当した平和ガイドブック『原爆被災地跡に平和を学ぶ』(長崎游学1 長崎文献社)の出版を無事終え、猛暑の中、次作予定の外海(キリシタンの里)のガイドブック(結局、未刊行)の取材を始めていた。

1日の仕事を終えて、銅座町のバーで中生ビールを4、5杯飲み、閉店間際のイオン地下で冷凍ちゃんぽんを買って、出島町の個人事務所に戻りレンジで温めて食べ、パソコンのインターネット画面を眺めていたときのこと。

なんとなく頭痛が続く中、頚椎部付近に電流を流されたような、殴打されたような、強い衝撃を感じて、突然、目の前が上下にぶれ始め、めまいと吐き気を催してトイレへ這って行った。これは只事ではないと感じ、実家に電話をしようとして受話器を持ったところで、左右にぐるぐる回ると激しいめまいに襲われ、思いっきり床に引っ張られるような感覚で転倒して、そのまま動けなくなった。

頭痛を感じ仰向けに寝たまま、夢か現かの状態で、自分の身体を天井から眺めるという幽体離脱のような不思議体験もした。その時見た自分の身体は、くの字に曲がり全身白い服を着ていた記憶がある。遠のく意識の中で、私はこのまま死ぬのかなと思った。

翌朝、目が覚めると、なんとか立ち上がることができた。めまいと頭痛と吐き気を我慢しながらシャワーを浴びて、開院時間を待って、隣のビルにあった病院へおそるおそる向かった。そのときの看護師さんの話では血圧が異常に高く、まっすぐに歩けない状態だったらしい。その2日後、十善会病院の脳神経外科を紹介されて、CT検査の結果、小脳に出血跡が確認された。病名は小脳梗塞と判明し、その場で車椅子に乗せられて即入院となったのだった。(その2につづく)



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