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長崎伝習所で誕生した童話 中島川のあそびんぼ太郎 5
ぽこりんとあやとりの巻
ハタ揚げ遊びを終えて、ミナトとミサキとあそびんぼ太郎は、再び大稲佐天狗につかまりひとっ飛びして中島川のもとの場所まで送り届けてもらいました。あとからおじいちゃんとおばあちゃんも到着しました。それからミサキが次の花火を選び、みんなでまた「なんでん いっちょん かんでん いっちょん こんこんこんね!」と呪文を唱えながら火をつけました。
今度白い煙の中から現れたのは、金比羅山に昔から棲む子だぬき妖怪のぽこりんでした。
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「うちはあやとりば教えると」ぽこりんはそう言って、あやとりの赤い糸を2人に渡しました。それから、ぽこりんの母から教えてもらったというあやとり遊びをいくつか教えました。おばあちゃんも楽しそうに加わりました。そして最後に、長崎に古くから伝わるあやとり遊びを2人に伝授しました。それは、山のきこりがノコギリを引き合って木を切る仕草をしながら、「おがどんな どんな やっぱり こうこう」と歌うおもしろい遊びでした。ミナトとミサキはさっそくその歌を歌いながら、あやとり遊びを楽しみました。あそびんぼ太郎と他の妖怪達とおじいちゃんも一緒に歌ってくれました。
「こん遊びは死んだ母さまが大好きだった遊びたい。うちと一緒によう遊んでくれたとよ」ぽこりんはちょっぴり哀しそうにつぶやきました。おばあちゃんは「あら、あなたの母さまはもうおんならんと? そいは寂しかね」と言って、ぽこりんをそっと優しく抱きしめました。ぽこりんはうれしそうにおばあちゃんの胸に顔をうずめました。
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