見出し画像

第2話 不穏なお便り

・・・

・・


「…うぅ、、、」

目をゆっくり開けると辺りは真っ暗。

漆黒の闇の中と言えるほど何も見えない。

しかし、自分の体はほのかに光っているようで手や体は見える。


「えっ・・・ここどこ・・・」


ザッザッザ....


後方から足音が・・・

ビクつきながらゆっくりと振り返るとそこに友春の後ろ姿が少し離れたところに立っていた。


「あっトモくん!!」


「・・・」


「ねぇ!トモくん!!」


呼びかけても返答がない。

そんな友春に近づこうと動く、が体が金縛りにあったかのようにその場から動かない。


「あれ・・・ト…トモくん!!!」

「あっ待って!」


ザッザッザ....


まるで清乃の声に無反応のまま、友春はゆっくり歩き出した。


「い…行かないで!待って!!」


まるで聞こえていない。


ザッザッザ....

一歩、また一歩と歩き離れていく。


すると、友春の横に女の人が現れた。


「…えっ!?」


その人物をよく凝らして見る。

横顔しか見えないが、遠くにいる友春の横に清乃らしき人が立っていた。


「…えっ」


顔はよく見えない。

けど、自分でも思う私なんじゃないかと。


「…私???」

咄嗟に下を向き自分の体を見て触る。


スッスッ.....


自分の体は確かに間違いなくここにある。

「……なに、、これ。。。」


訳がわからない。

ゆっくりと顔をあげた。


すると、その現れた女性に気づいた友春は嬉しそうな反応をしていた。

そして、なにか会話をしているのもわかった。


「ちょ…ちょっと、、トモくん!!」

再び大声で呼びかけた。


「・・・」


返答はない。


そんな清乃を置き去り、2人は腕を組みまたゆっくりと歩き出した。


ザッザッザ....


「まっ待ってよ…トモくん!」

「私はここだよ!!!」


「・・・」

ザッザッザ....


「と…トモくん、、、行かないで・・・」


「・・・」

ザッザッザ....


「待って・・・嫌・・・・」

「1人にしないで・・・」


「・・・」

ザッザッザ....


声虚しく闇の彼方に消えていく2人。


「ト…モ、、、くん」


もう、声も出せない。

涙も溢れ止まらない。


「…トモくん。。。」


・・

・・・


「清乃!?清乃!!?」


「・・・うぅ」

聞き覚えのある声がした。


「清乃!!!」


「・・・んっ」

ゆっくり目を開けると、見えずらいけど母がいた。


「お、お母さん。。?」


けわしく見たことのない顔をしていた。

が、私と目が合うといつもの母のような顔に戻り話し出す。


「清乃!よかった!!!」

「ちょっと待ってて、先生呼んでくるから!」


ダッタタッタ...


静まり返った部屋に1人。

混乱した頭のままゆっくりと白い天井を見る。


「・・・病院?」


なぜ自分がそんなところにいるのか分からない。

自分できた覚えもない。

でも、確かに今病院のベッドで寝ている。


「・・・えっ、、なんで・・・?」


動かない体のまま、ゆっくり記憶を呼び起こす。


「・・・」

「…仲直り」


声が出しにくい。

でも、思い出すように口にした。


「そうだ…ケンカ・・・2人の・・」

「…結婚記念日!」


慌てて動く範囲で周囲を見渡した。


「い、今いつ・・!?」


すると右側にデジタル表記のカレンダーがある。


「あっ・・・・・えっ。。。」

グスン.....


涙が溢れた。

来月だったはずの結婚記念日から10日も過ぎていた。


「・・・なんでぇ、、、」


涙を拭こうにも上手く体を動かせない。

そんな自分の体を見渡した。

腕には点滴が繋がっていて、お腹や足には包帯。

そして頭、いや頭もそうだけど顔の左側前面にはガーゼみたいなものが貼られていて包帯でグルグル巻きになっている。


タッタッタ....


混乱している私の元に母と看護婦さん、そして医者が来た。


その場で出来る確認と治療。

そして、私に何が起きて今どんな状況になっているのか説明してくれた。


色々話されたけど、混乱してた私だったからあまり覚えていない。

けど、話を聞いて涙が止まらなかった話は覚えている。


1つは、出掛けたあの日、飲酒運転した車に轢かれた。

さらにその車はぶつかって倒れた私をそのまま轢き続け少し車を走らせたって。

だから・・・その時体を轢きづられ身体はもちろん顔の左側に元に戻ることのない傷を負ったこと。


そしてもう1つ。

車に当たった衝撃と前輪に下腹部を乗っかられた影響で、子宮器系の大きな損傷を与えられ長い治療をすればSEXはできるようになるかも知れないが、子供が産めない可能性が高いと告げられた話だった。


涙が止まらなかった。

なんで私が…なんで私が…


死んでもおかしくない事故だった中、こうして生き目を覚ましたのは奇跡って。

けど、こんな状態嬉しくもない。


「・・・トモくん…」


治療やリハビリなどで1年近くの入院が必要と最後に医者は言って病室を去っていった。

-------

2話までお読みくださいましてありがとうございます!

清乃に起こった数々の不運…そしてこれからどう復讐になっていくのか・・・?

カクヨムで他の作品も掲載しております。
以下より見てもらえると嬉しいです。
初めての書き出し小説風はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?