NHKの赤字

NHKが34年ぶりの赤字という。昨年度の事業収入が6328億円ながら前年度比433億円減と、136億円マイナス。受信料は、前年度から396億円減。いずれも過去最大の赤字。

昨年に受信料の1割値下げを実施、学生への納付免除を行っており、これらも要因と言われている。

肥大化する組織に比例して人件費の高騰も一つに挙げられているが、この数十年運営形態はほぼ同じはず。この数年で何かが大きく変わったということもないだろう。一つに挙げられているがスポーツの放映権料。

色々といわれているがざっとこんなところとか

大相撲 30億
男子サッカーワールドカップ 400億
女子サッカーワールドカップ 100億
夏季・冬季オリンピック 660億
大リーグ 130億 (300億という話もあるが?)

いずれも公表されておらず推定のようだが、大相撲は本場所1回ごとに5億円といわれる。年6場所で30億円。他の世界大会も年々高騰しているとされる。オリンピックのある年で計算すると、放映権料だけで820億円は飛ぶ計算ということか。

ここにきて、テレビ朝日が23年放送を続けた世界水泳の放送を終了するようだ。背景には日本競泳界の不振が大きいようだが、放映権料の高騰も経営面で順調といえないテレビ局には負担といわれる。それほどメジャーともいえない世界水泳の放映権料は、上の5つから見てたかが知れたものと予想できるが、それでも打ち切りの決断。

こういった料金もNHKが半ば言い値で無尽蔵に払い、天井知らずに高騰を続けるのも想像できる。 もともと受信料の安定収入があり経営努力といったものは欠けている。 大リーグに始まり世界選手権関係は、いわばアメリカはじめ海外に受信料を横流ししているとしても過言ではない。日本には恩恵はさほどない。

大相撲にしても1場所5億というのは適正か。 相撲協会の事業収入を見ると、昨年度は本場所関係の収入が60億円、巡業が5億円程とのこと。つまり黙っていても入る放映権料は年3場所分の興行収入に匹敵する。本場所以外の月に、力士を引っ張り回し全国縦断する巡業がやっと5億程の収入。今年度もほぼ同じだろう。NHKからの収入が協会の安定に寄与していることは否定できない。九州場所も満員とはいえ、新弟子の確保すら苦労する現状ではこの先は暗い。30億円の価値はないとしたい…

オリンピックも放映権か契約の関係か、かつてはあった名場面集など再放送がなくなった。しかし8Kでは連日再放送をしている。一体何なのか…

■ 4Kはつまらない

数年前にテレビが壊れ、とりあえず新しいテレビといって各社ラインナップを見ると4Kチューナーなしは気づけば少なかった。チューナーレステレビや格安ブランドは2年程で寿命という話も聞き、選ぶ気にならない。しぶしぶとばかりに4K付きとした。しかし気づくと4Kをつけていない。習慣とならないのだ。4KはBSと同じ番組ばかり。高画質を売りとしても結局は内容。いつかBSで視聴できるとすれば4Kに食指は動かない。そもそもBSすら既視感のある番組が多く減ってしまった。この4Kも凝縮という内容には遠く、再生産チャンネルに。 BSは上記のように大リーグ初めスポーツメインとなり、半ばスポーツチャンネル化している。

格安テレビなどでシェアのあった船井電機も破産。生産は続けるというが影響はありそうだ。

■ ニュースーンは…


今年度鳴り物入り?で開始の報道番組ニュースーン、相変わらず再放送頼みの編成のようだ。時間帯でもダントツに視聴率が低い。最近のニュースの一部、番組の一部を「つまみ食い」「セレクション」と称して切り取っているが、そもそも本放送でもさほど評判が挙がらない番組が、再放送でおもしろくなるという道理はない。しかし偶に見て関心を引く番組でも、わずか1~2分での放送とこのコンセプト自体が消化不良で失敗ではないか。テコ入れらしきことも今のところなし。

報道の速報性も番組立ち上げの意義の一つであったはずだが、直近の米大統領選に始まり台風などの災害では、番組自体休止か、別枠で特設ニュースを編成することが多い。そうなるとニュースーンの意義はいったいどこに?

大河や朝ドラも低調なせいか、やたらとタイアップする番組が増加。これでは後々の再放送には使えないのでは余計な杞憂。

■ 公共放送の意義

NHKと何かと比較されるのがイギリスのBBC。

『NHK、34年ぶり赤字の原因はどこにある? ネトフリと比べて分かる“いびつ”な構造』という記事を参考に見ると、

BBCもNHKと同じく「広告収入」を得ないが、商業部門で番組の権利を販売するなどして、海外からの収入を得ている。オンデマンド配信といった新コンテンツも定着。人気番組『ドクター・フー』や『シャーロック』は、世界中での人気を獲得。そして、収益以上にこういった国際的な取り組みによって「自国の文化の発信」という公共放送の存在意義を果たしている。

NHKの国際展開はNHK Worldとなるが国際的影響力は聞こえてこない。海外に広める国際放送費はわずか200億円というだけそもそも主力とはしがたい。むしろ韓流はじめ海外に利益を与えるシステムができつつある。

ちなみにBBCの受信料システムは未払いの場合、罰金を徴収する仕組みで、NHKより厳しいものである。

またBBCのニュースやドキュメンタリーは、信頼性や公平性で世界的にも評価が高い。NHKでも時たま放送がある。

同じくNHKも独立性を強調するが、今年8月には、ラジオの放送原稿を読み上げていた中国人の外部スタッフが、不適切発言したとして契約解除されるという不祥事もあった。その後再雇用という話もあり、どこまでガバナンスが働いているか。 最近のニュースも大リーグに始まり番組の宣伝を1項目とすることもあり、質の面で疑問である。 さらに純粋なドキュメント番組は減少しバラエティ化したものが増えた。上記のようにタイアップの番組も多く、公平性という観点で見ても首をかしげる。

災害時の迅速な情報提供や教育コンテンツの充実も掲げているが、こういった大義は日本国内が中心である。

先日、おかあさんといっしょの65周年記念の特別番組が放送され、番組の裏側にも密着していたが、幼児を相手とするだけに隠れた奮闘が大きかった。こういった長寿番組のノウハウに立ち返って番組制作を見直すべきではないか。

受信料に依存する収益構造から、国際的な市場に目を向けていくことが重要だろう。


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