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日本のスポーツはどこへいく

オリンピックも終わりが近いが、今回の大会は日本の躍進・衰退がはっきり分かれた。躍進したのはレスリング・フェンシング・体操といったところ。レスリング・体操は躍進というより安定だが、エースが確実に出るのはさすがである。レスリングはロシア不在とはいえ、男女とも全階級でメダルという快挙。かつての吉田・伊調姉妹といった黄金時代がまた来るのかもしれない。フェンシングは長年の強化が実っているようだ。



一方全盛時より弱体化が目立つのは競泳・柔道で、特に競泳はメダル1個とかつての栄光からみると惨敗である。 選手もベテランや連続出場も多く、次世代が育ってこないこともうかがえる。昨年の世界水泳も選考会の記録以下で多くの選手が終わったが今回も同じような結果。特に金メダルの期待があったバタフライの本多灯選手は、足を痛めた影響で予選組の最下位という結果に終わった。 厳しい派遣標準記録が本番にピーキングしにくい要因ともいわれるが、競泳は選手間の関係も今一つのようだ。

競泳は72年ミュンヘンの後、長い冬の時代がありその間大麻事件などで選手追放もあった。平成期に盛り返したものの、96年アトランタはメダル0。今回はそれ以来の低調である。

柔道も男子は土壇場での底力を見せたが、女子は惨敗も多く、ロンドン大会を抜いて過去最少の結果であった。大会前での負傷もあってか、攻めをほとんど見せずに終わった選手もおり、団体戦で挽回したとはいえ今後の不安を感じた。

さらに無差別級の斎藤立は個人戦・団体合わせて5敗。海外経験も少なく実力的にはまだまだながら、恵まれた体格もあって多数決で選出された。親の威光も大きいようだ。しかし試合は体格で劣る相手に一本負けなど、攻め手に欠くことも多かった。解説(ロンドン五輪代表穴井隆将氏)も煮え切らない試合に辛らつだった。どちらかといえば柔道家より力士のような体型で4分プラス延長を戦う柔道ではスタミナ面も課題がある。

しかし柔道はそれ以上にルールの不明朗さ、誤審ともいえる判定が目立った。基準もあいまいで現在の柔道の主流なのか、消極・偽装攻撃・組み合わないといった試合が多くある。しかし指導が出ない、あるいは不可解な場面で反則が出るといったことが多くもやもやが残るものであった。特に首絞めの失神をめぐる判定は、相手以上に審判との戦い

その点レスリングのルールの方が明確だ。両肩をマットにつけて一発での勝負もあれば、場外・技の仕掛け・タックルや投げわざといった得点の積み重ねで勝利もできる。さらに大相撲の物言いのようなチャレンジ権もあり、判定は柔道と比較しかなり公平といえる。レスリングもルール変更は頻繁なようだが、国際大会の審判に日本人も多く対応が迅速という。またスタミナが各国でみてもトップクラスなのも強みである。

柔道は今回、畳に唾を吐いた選手や乱闘に近いトラブルもあった。日本由来の武道・スポーツであるが、ある意味相手を重んじるという精神が他国には理解できず、競技そのものが崩れているようだ。大相撲が変化していることともリンクしてしまう。ルール改定が頻繁にされているがどれほど効果あるか。


前評判は過去最高に近かったバレーやバスケットも期待から見ると惨敗といっていい。特にバレーは男女ともネーションズリーグ(視聴者は少ない…)での活躍がピークとなったか弱点を突かれたのか、苦戦であった。他国はピークを五輪に合わせただけか…

卓球も女子は王者中国の壁に敗れ去ったものの大健闘だが、男子はまたもや土壇場からの逆転負け。バレーに限らず2連勝3連敗のような展開で勝負所で脆く崩れ、これまでの勢いが嘘のようにあっけなく消え去るパターンがみられた。これが日本人の性質なのか。

つづく。


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