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幸運の三賞~旭大星の引退から~
元幕内の旭大星が引退。膝のケガから序ノ口まで番付を落とし、その後幕下まで戻したもののここで区切りとなった。
高校卒業後に初土俵、2年で幕下昇進するものの柔道の癖が抜けずに一進一退。2014年に十両昇進後も十両で停滞し、10年かけて2018夏に入幕。10勝で敢闘賞受賞となった。北海道出身で期待も大きかった。前ミツの攻めも突き押しがメインだったが、中途半端なところもあり、増量してからは動きのキレも落ちそれ以上伸びなかった。
幕内4場所、通算100場所であった。
幕内在位は4場所ながら三賞を受賞している。これは三賞受賞ではかなりの珍記録。
在位を見ると
4場所 逆鉾・旭大星
7場所 沢光
13場所 舛ノ山
14場所 禊鳳・若荒雄
17場所 豊桜
10場所以下はなかなかいない。50場所以上の在位や三役経験者でも三賞経験なしが多数いるだけにかなり珍しいといえる。
三賞受賞について考えると、少なくとも勝ち越しが前提で、10勝以上の大勝、さらに8勝でも目立った勝負があるといったものが条件となってくる。
さらにみると1950年代は幕内の枚数が多く大勝ちでも見逃されることも多かった。13勝でも未受賞がある。また新入幕での好調力士も活躍力士が多いと埋もれるパターンもあり、運も必要である。
以上の例を見ると逆鉾と沢光は突然の廃業であり、現役を長く務めての引退は旭大星が最初である。
この場所は鶴竜が優勝、栃ノ心が大関昇進をかけ13勝で成功。メインであった。鶴竜に唯一土をつけた松鳳山が千秋楽勝って勝ち越して殊勲賞。白鵬は11勝、他の三役~平幕上位は大勝ちがなく目立った者がいないといいっていい。中位以下の2桁は5人いたが、千代の国の12勝が目立ち、敢闘賞。旭大星はポツポツ星を落としたが9勝で千秋楽。横綱大関陣が全休途中休場が3人いるが、以下も潰しあいとなっただけにさほど盛り上がらなかった。それだけに旭大星に陽が当たったといえる。
旭大星はその後受賞後3場所で十両陥落。三賞受賞後1場所で陥落例はないが、3場所では旭大星のほかに大錦がいる。大錦の場合新入幕で三賞全てを受賞し、小結昇進したが3勝、続く場所も5勝で十両陥落となった。 また義ノ花が71名に敢闘賞を受賞したが、その後2場所不振で72初に十両落ち。義ノ花の場合、三賞受賞場所が最後の幕内勝ち越しであり、この点も少ない。
2場所で十両陥落は他に天ノ山、豊桜がいる。これ以上はない?
と思ったところ今年の尊富士。1場所で十両落ちだった。とはいえけがを押しての優勝による代償といってよく記録に含めるのは抵抗ある。ともかく異例。
2014初の里山は7勝7敗の千秋楽勝てば受賞で臨んだものの、髷つかみの反則で敗れ負け越し受賞も逃した。里山は4場所。
旭大星に話を戻すと、おそらく同郷でもあった先代師匠(旭國)の死去も引退の決断に大きなものとなったのではないか。引退後は油そば店の経営を目指すという。