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衆院選からみる

衆院選が終わった。情勢通り自民は大きく議席を減らし、自民単独過半数割れの191。公明も苦しく、石井代表が落選、副代表も落選と24まで下落。自公でも過半数割れという状況に堕ちた。立憲が148で躍進というよりも回復。野党第1党が100議席以上獲得するのは2003年の選挙以来という。

このところ民主→立憲は存在感を出せず苦境続きだった。しかし安倍晋三の急死がもたらした、統一協会、裏金の問題はいわばそれに風穴を開けるものとなった。とはいえ野田代表はさほどの喜びはない。やはり政策面での対決ではないためか。比例の得票はほぼ横ばいで、いかに政局が後押しとなったか。ぬか喜びということにもなる。

さらに国民民主、れいわが躍進。情勢以上だった。

自民は統一教会、裏金と逆風だらけで、一貫して情勢が悪かった。いわゆる裏金議員はかなり落選。石破内閣の閣僚も2人落選した。しかし主要メンバーといえる安倍派5人衆の萩生田、西村は当選。衆議院に鞍替え出馬した世耕も二階俊博の3男を破って当選した。

これで禊が済んだとの見方もあるが、果たしてそういえるか。有権者の裏金、宗教問題に対する見方は物価高の状況も相俟って、議員の考え以上に厳しいものがある。小選挙区は予想以上に制したとはいえ、比例票が前回より500万減少というのは党への拒否感そのもの。まだまだ問題は続くのではないか。

自民が盤石だった選挙区でも一部動きがあった。

例を見ると北海道。もともと立憲が強い区ではあるが、札幌市を選挙区とする1~5区はいずれも立憲。5区の自民・和田義明は裏金問題で苦境。町村王国ともいわれたが今回、4度目の対決で立憲の池田が勝利。完全落選となった。武部王国といわれる12区も武部が勝利したものの、都市部の得票では立憲が勝利し、立憲の川原田が比例当選した。11区もかつての中川王国だが、立憲石川が8時ちょうどに当確。完全に立憲の地盤になりつつある。

大物議員。岸田前首相の広島や河野太郎の神奈川。いずれも当選とはいえ
岸田は得票率が前回の80%から52%まで急落。河野は79%から55%に。河野の場合、社民や無所属の候補がそれぞれ4万票弱を得票した。野党の乱立もあるとはいえ無風区でこれは隠れた事実である。

広島は4区が維新が勝利。情勢でも自民リードの中で逆転した。自民へのアレルギーが強いようだ。

山口2区も接戦。事前情勢でも微妙なところだった。岸信千世の完全落選もあるかという中だったが、僅差で制した。

選挙後の支持率では自民31、立憲20、国民9、れいわ6。立憲が8%伸ばし、一気に存在感を増す。野田代表が元首相という安心感も大きいのか。

単独過半数割れの大敗とはいえ、予想よりはましだったともいわれる。

NHKの議席予想は自民153~219、立憲128~191、国民20~33、維新28~45、れいわ6~14であった。実際には中央値の自民186,立憲160、国民26、維新36前後が予想議席のようだったが、横一線で当確を出せない選挙区が急増したための数値であった。結果は自民191、立憲148,維新38、国民28,れいわ9と近い数となった。さらに議席確保が難しいともいわれた参政が3、保守3と自民の批判票が分散した。立憲は思うほど伸ばせなかったとみえる。

石破総理は続投。過半数割れでの総理続投は少なく批判も大きいが、ひとまず来年春までは石破内閣でいくという話で決まりつつある。 後任には林官房長官、茂木元幹事長などの名が挙がるが、現状後任となっても批判続出は見えており、長期政権は難しい。だれも火中の栗を拾いたくないのもあるようだ。

とはいえ、首班指名以上に今後が苦しい。

全ての常任委員会で委員長を選出し、過半数の委員を確保できる絶対安定多数の261どころか、委員長と与野党同数の委員を出す安定多数の244も下回った。今後の国会は予算案や法案の成立が大幅に困難となることも意味する。安倍政権でもよく見られた、野党の案を潰し、最後は多数決で押しとおす国会運営ができなくなる。いわばこれが自民党暴走の原因であり、今回一挙に噴き出したツケでもある。

少数与党内閣でどう国会運営するか。国民民主が第三極のポジションとなり、自民が取り込むか、立憲につくのかという動きが焦点となった。自公国の部分連合による政権運営となりそうだが、それでも石破内閣は茨の道。国民民主も今がピークともいえる。政策実現が厳しくなると一気に落ちるだろう。自民も信頼を回復する要素は見いだせない。一体その先はどこへいくか。



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