【小説】トンとドン【前編】
わたしたちは、キラメキの2階へ上がった。
ラーメン屋の1階は人で満席だった
お冷を用意する前にラーメンが運ばれてきた。
こっちは、上着を脱いでいた最中だったのに。
さすが、京都民自慢の「ラーメン キラメキ」。待機列で先に食券を購入できる店はそのへんの気前がきく。
天一は なんだかふるくさい。コロナ以降、衛生が気になっちゃって。めっきり行かなくなった。あんなに好きだったのに。
トンちゃんは興奮気味だ。
ニンテン・トンちゃん。
彼女は、メガネを曇らせながら塩のキラメキをすする。鶏白湯な黄金スープをレンゲですくう姿。キラキラ笑顔がまぶしい
笑顔のまま言ったので、ちょっとわかんなかった。
トンちゃんは、アイデンテイティがぐらついていた。
おい。と思った。
トンちゃんは無敵だった。
まだまだウチら1年目でしょ?そんなもんだよ。
トンちゃんは、自分の仕事のできなさを延々と猛省していた。ラーメンと戦い終わっても。しばらく顔面びちゃびちゃだった。汗か涙か鼻水か分からない。テッシュで赤い目を押さえる
ほら、そろそろいこ。
トンちゃん今日こそ年パス持ってきた?
そのままキラメキを出る
この日の晩LINEがきた
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