甦る雲盾のアマルティア 4話「動き始めたティターンの戦い」
高い木々に囲まれた石造りの街並み。
中央には、神殿まで続く広い石畳の道。
途中にある広場から西側に、講義や実技を学び力を習得するための施設があるエリア。
東側には、住居エリアがある。
そこに、ガイアのティターン(種族)たちが暮らす都市パルテノスがあった。
北側の小高い丘の上にある神殿。
上から見るとコの字型になっており、向かって左側は執務室。
そして、右側が管制室。
奥には長の間があった。
外観は、彫刻が施された石造りの壁と狭い間隔で並ぶ石柱。
中へと繋がる中央の石扉。
そこを通って進む。
内装も石造り。
天窓と、上部に備え付けられた窓から屋内へと光が降り注ぐ。
そこから管制室に。
入ると、正面に大画面のマルチスクリーン。
高い天井と周囲には、それと連携された機器。
そこは、操作する者たちの音だけが静かに響く空間だった。
「脱走したピュラ(女性の覚醒者)の件はどうなった?」
「追跡班を出しました。その後の詳細は、こちらに戻り次第報告するようです」
管制室内を見渡しながら、赤いスーツの男と会話するガイアの執事長ゼウス。
金の刺繍が施された赤いローブ。
そのフードを被り、髪と交わった長い髭(ひげ)を触りながら思案していた。
「決戦の時は近い。我々も、長やナイアス(資格者)を目覚めさねばならん」
その時、部屋の木製ドアが大きな音を立てて突然開く。
そこへ、左右の腕にガイアの紋章刺繍がある軍服風の男が血相を変えて入って来た。
「何事だ!ゼウス様がいらっしゃるのだぞ。場をわきまえよ」
「す、すいません!早急に、ゼウス様にご報告したいことがありまして」
ゼウスはスーツの男を前で腕を伸ばし、間を遮った。
「構わん。申してみよ」
「はっ。長であるレア様の行方がわからなくなったそうです」
その一言で、場が凍り付いた。
「な、何だと!一体どういうことだ」
赤いスーツの男が直ぐに、支配している凍て付きを破壊する。
「レア様のわがままを許してしまったため、その後の行き先が分からなくってしまったそうで……」
「目付け役のディアがいたではないか!どうして……」
「レア様ご本人の意思を尊重したそうで。ディアも、近い距離だったので直ぐに戻ってくるだろうと安易に考えてしまったらしく……」
ゼウス、険しい表情をしながら管制室のドアを乱暴に開けて足早に出て行く。
その後を、追いかける部下たち。
神殿内に響く、複数の大きな足音。
ゼウスは、振り向きもせず大声で命令した。
「いいか!!手段は選ばん。早急にレア様を捜し出し、長の間へお迎えしろ!」