甦る雲盾のアマルティア 1話「光の矢、アルテミス」

(あらすじ)
目覚めさせられたガイアの兵達。
左腕に青いアマルティア(鎧)を着けた、エウリュ(20)を追っていた。
そこに彩華あやか(18)とけい(19)が遭遇、加勢する。
攻防中、珪はアマルティアを託されまとう。
三人は追手を退け、避難先へ。
そこでエウリュが、洗脳されウラノスやオケアノスと戦わされていると。
珪達は彩華を預け、ガイアの元へ。
だが、珪がまとったのはウラノスの物だと囚われ、エウリュは敵の珪を処刑しないと殺される事に。
執行の日。
おさとして彩華が現れその最中さなかに、オケアノスの奇襲。
来襲で記憶が蘇った彩華、エウリュにガイアの赤いアマルティアを託し、珪と共に退ける。
そこへウラノスのおさが現れ、この戦は我々を滅ぼすためだと告げる。

(補足)

「 世界観 」
遥か昔。
創造神カオスは、世界の均衡を保つため四つの種族を創り、それぞれにおさを守るためのアマルティアを始めとする高度な文明を与えた。
その内の三つはティターンと呼び、識別のため、天を担う者はウラノス、地を担う者はガイア、海を担う者はオケアノスという名に。
そして残りの一つは、特異な存在としてキュクロプスと呼び、冥を担う者タルタロスと名付けた。
しかし、各々が自分たちだけの統治を望み、他の者たちを滅ぼそうと考え始める。
やがて争いが起こり、敗れた者たちは滅ぶことを恐れ、記憶を封印し関わりのない場所へと身を潜めた。
争いによって保たれていた均衡は崩れ、時だけが流れて行った。


「 登場用語の解説 」
【カオス】世界の創造神
【ガイア】地を担うティターン。紋章は赤
【ウラノス】天を担うティターン。紋章は青
【オケアノス】海を担うティターン。紋章は緑
【タルタロス】冥を担うティターン。紋章は黒
【ティターン】カオスが創った(天、地、海)種族の総称
【キュクロプス】カオスが創った(冥)種族の呼び名

【アマルティア】種族の長を守るために創られた鎧(「テミス・アマルティ
                             ア」の掛け声で鎧状態に)
        通常は長い腕輪の状態(力を開放するために、真ん中で上   
        下に開く菱形の装飾が施されている)

【ナイアス】アマルティアの所有を許された資格者
【オリンポス】創造神カオスが住む場所
【パルテノス】ティターン(キュクロプス)たちの居住区。ガイアの場合、
       森の岩に隠れた扉の前で「プロピュライア」の掛け声で、岩 
       が割き開きパルテノスへの入出が出来る

【デウカリオン】ティターン(キュクロプス)として覚醒する男性のこと
【ピュラ】ティターン(キュクロプス)として覚醒する女性のこと
【ハンター】ティターン(キュクロプス)として覚醒するための力「アルテ
      ミス(の矢)」を放つことの出来る者


「主な登場人物」
司 珪つかさ けい(19)(種族としての名はクロノス)】
ウラノス(天)のティターン(種族)でナイアス(資格者)。
高校卒業後、自分探しのため数ヶ月間、放浪の旅に出る。
その帰路でエウリュたちと出会い、自分がティターンであることを知る。
そして、今までの記憶が存在もしない植え付けられたものだと知り、自暴自棄に。
そんな時、エウリュの「私達、家族になろう」という言葉に救われ、タルタロスとの戦いに臨む。
ウラノスの青いアマルティア(鎧)は、大鎌を武器とする。
父は高輝こうき(50)(ウラノスの長、アルテールの仮の姿)
母は結実ゆみ(45)(アルテールの目付け役、デメテルの仮の姿)
妹は舞陽まひる(16)(クロノスの目付け役、ヘメーラの仮の姿)

颯吹 明衣いぶき めい(20)(種族としての名はエウリュ)】
ガイア(地)のティターン(種族)でナイアス(資格者)。
ハンターによってガイアとしての記憶が目覚めさせられ、パルテノスでナイアスになるための訓練を受けていた。
しかし、自分に別の記憶があったことを知り、真実を知るためアマルティアを持って脱走する。
その後様々な出来事を経て、一刻も早く終わらせ、元の生活に戻るのだという強い思いが戦うことを決意させる。
ガイアの赤いアマルティア(鎧)は、弓矢を武器とする。

充 彩華みちる あやか(18)】(種族としての名はレア)】
青南高校の三年生で、女子バレー部のエースアタッカー。
バレー部の合宿の途中、エウリュたちとの一件に巻き込まれる。
その際、一時的に記憶を失うが、それが切っ掛けとなり眠らされていたガイア(地)のおさとしての記憶が蘇る。
二つの記憶が存在する中、タルタロスとの戦いに備え陣頭の指揮を執る。

【ネーレウス(20)】
オケアノス(海)のティターン(種族)でナイアス(資格者)。
ウラノス、ガイアのナイアスを一度に倒そうと機会をうかがっていた。
ガイアへの奇襲後、珪とエウリュから、真の敵であるタルタロスを打ち倒すため協力を依頼される。
だが、長の命令で応じられないと戦うことを選択。
そんな時、三人が揃うのを狙っていたタルタロス(冥)のナイアス(資格者)であるカロンが、攻撃を仕掛けてくる。
真実が知ったネーレウスは、共に戦うことを決意する。
オケアノスの緑のアマルティア(鎧)は、三叉の鉾を武器とする。

【カロン(19)】
タルタロス(冥)のキュクロプス(種族)でナイアス(資格者)。
長であるエレバスから、ウラノス、ガイア、オケアノスのティターンたちに攻撃され危機的状況にあると教えられていた。
しかし、それに疑問を持ち始める。
その後、珪たちとの最終決戦の中で「世界を支配するために、ティターンたちを眠りから覚まし、滅びるまで戦わす」という真実を知ってしまう。
そして、長い呪縛から解放された力をエレバスにぶつけ、一緒に打ち倒す。
タルタロスの黒いアマルティア(鎧)は、ケルベロスを武器とする。

【ゼウス(60)】
レアの執事長。
ガイア(地)のおさであるレアの身を案じ、関わりのない場所で身を潜めさせ目付け役のディアに見守らせていた。
そんな中、戦いを優位に進めるため、ウラノスからアマルティアを奪わせていた。
それを、エウリュウが脱走する際に持って行ってしまう。

【ヘリオス(40)】
ウラノス(天)のティターン(種族)で、珪(クロノス)の上官。
珪をナイアス(資格者)として目覚めさせるまで、仲間同士でつかさという一家をを構成させ、見守らせていた。
長である、アルテールの執事長でもある。

【エリクトス(20)】
ガイア(地)のティターン(種族)でナイアス(資格者)になるためにパルテノスで訓練を受けていた。
ライバルのエウリュが、アマルティアを持って脱走したため、それを追跡する。
最後まで、自分がナイアスになれると信じている。

望月 舞もちづき まい(18)(種族としての名はディア)】
執事長ゼウスの直属で、彩華(レア)の目付け役。
普段は同級生として振る舞い、常に側にいた。
だがエウリュたちとの騒動の際、彩華を一人にしてしまう。
戻ってこない事に気付き、急いでゼウスに報告。
直ちに捜索を行うと、珪の後輩である佐原 孝男さはら たかおの家にいる事がわかり連れ戻す。
その際、孝男たちの身に起こった出来事の記憶は全て消した。


季節は夏。

大通りの歩道橋の上、サングラスに黒いスーツの上着を抱えた男二人が、眼下を通る大勢の人々を見回している。

そこを利用する人達が、二人を訝(いぶか)しげに見ながら通り過ぎていた。

「(右手でネクタイを緩めながら)あ~あ、全くやってらんねーぜ……!」
「ゴチャゴチャ言ってないで、真面目に探せよ」

サングラス越しの視界。
コンピューターが、ガイアのティターン(種族)かどうか判別している。

「(サングラス越しの視界で)そんなこと言ったってな。今日一日だけでも、どれだけ探したと思ってんだよ!」
「文句を言うな。今の俺達の目的は大勢のティターンを集めることではないんだ。一人でもいい、重要なのはそいつがナイアス(資格者)になれるかどうかだ……」
「けどな……、こんなにウジャウジャいるのに、その一人も見つからないって一体どうなってんだよ!」

ハンターα(アルファ)のサングラス越しの視界。

ガイアのティターンを発見し、データーを照合している。
ターゲットの若い女性が、赤く映し出された。

「(サングラス越しの視界で)や、やったぞ!ようやくいたぞ!」
「本当か!どこだ?」
「(目的の若い女性を指差しながら)あそこだ!」

ハンターα、歩道を歩いている若い女性を指差す。

「(サングラスの柄の部分を触りながら)あれか!」

ハンターβ(ベータ)のサングラス越しの視界。
女性の姿が拡大されて映っており、詳細なデーターが照合されていた。

「……どう思う?」
「(サングラス越しの視界で)間違いないな…。あの女はピュラ(覚醒者)だ!」
「どうする!すぐにアルテミス(ティターンとして覚醒する力)を撃つか?」
「(サングラス越しの視界で)もう少し詳細なデーターが出るまで待て!」

ハンターの二人、人込みの中、ターゲットの女性を見失わないように凝視している。

ハンターβのサングラス越しの視界。
ナイアスとしての適格度が80%と表示される。

「(サングラス越しの視界で)よしいいぞ…!あいつはかなり有望だ」
「そうか!んじゃあドカンっと撃ちますか!」

ハンターαの右手の人差し指が光り始め、右手を大きく振りかぶって人差し指をターゲットの女性に突き出す。

そこから、一本の光の矢が放たれた。


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