季節は夏。
大通りの歩道橋の上、サングラスに黒いスーツの上着を抱えた男二人が、眼下を通る大勢の人々を見回している。
そこを利用する人達が、二人を訝(いぶか)しげに見ながら通り過ぎていた。
「(右手でネクタイを緩めながら)あ~あ、全くやってらんねーぜ……!」
「ゴチャゴチャ言ってないで、真面目に探せよ」
サングラス越しの視界。
コンピューターが、ガイアのティターン(種族)かどうか判別している。
「(サングラス越しの視界で)そんなこと言ったってな。今日一日だけでも、どれだけ探したと思ってんだよ!」
「文句を言うな。今の俺達の目的は大勢のティターンを集めることではないんだ。一人でもいい、重要なのはそいつがナイアス(資格者)になれるかどうかだ……」
「けどな……、こんなにウジャウジャいるのに、その一人も見つからないって一体どうなってんだよ!」
ハンターα(アルファ)のサングラス越しの視界。
ガイアのティターンを発見し、データーを照合している。
ターゲットの若い女性が、赤く映し出された。
「(サングラス越しの視界で)や、やったぞ!ようやくいたぞ!」
「本当か!どこだ?」
「(目的の若い女性を指差しながら)あそこだ!」
ハンターα、歩道を歩いている若い女性を指差す。
「(サングラスの柄の部分を触りながら)あれか!」
ハンターβ(ベータ)のサングラス越しの視界。
女性の姿が拡大されて映っており、詳細なデーターが照合されていた。
「……どう思う?」
「(サングラス越しの視界で)間違いないな…。あの女はピュラ(覚醒者)だ!」
「どうする!すぐにアルテミス(ティターンとして覚醒する力)を撃つか?」
「(サングラス越しの視界で)もう少し詳細なデーターが出るまで待て!」
ハンターの二人、人込みの中、ターゲットの女性を見失わないように凝視している。
ハンターβのサングラス越しの視界。
ナイアスとしての適格度が80%と表示される。
「(サングラス越しの視界で)よしいいぞ…!あいつはかなり有望だ」
「そうか!んじゃあドカンっと撃ちますか!」
ハンターαの右手の人差し指が光り始め、右手を大きく振りかぶって人差し指をターゲットの女性に突き出す。
そこから、一本の光の矢が放たれた。