ひとことはなし147

2020  9  25
事態は急変します。

僕はご主人のたすかりを願い、代理で参拝者を募りました。

すると妹さん夫婦が「私達が参ります」
と言ってくれました。
それで良かったのです。

が、側で話を聞いていたご主人が
「会長さん。わしも行くで」
と言い出しました。
「えっ!」
と思わず声に出してしまった。

それを聞いた奥さんはじめ、妹さん夫婦は当然止めました。

ご主人は、水も喉を越さない状況。
それ以上に、身体を少しでも動かそうものなら上げ下しをはじめて大変苦しまれます。

ただ座っているだけで、人が側を歩いた振動が伝われば大変苦しむのです。そんな状態の人を、おぢば迄お連れするのは無理なんです。

その後、妹さん夫婦と教会へ戻り、今日の成り行きを前会長に言うと、
「それはやめとけ。そんな状態で行ける訳がない。
なんとか辞めるよう説得してこい」
と前会長らしからぬ言葉でした。

「前会長がそう言うのだから、ご主人にはおぢば行くことを断念させないと」と決意しました。

再びお宅へ戻りました。

ご主人に、
「前会長もこう申しておりますので、何とかお考えを変えて貰いたいのですが」
と真剣に話をしました。が、ご主人は
「行くというたらわしは行くで、会長さん」
と、僕の言う事も、又、奥さんはじめ他の人の言う事もがんとして聞き入れてくれませんでした。

粘りに粘りましたが、ご主人の意思は固く、もうこれ以上何を話ても無駄だと分かったので、僕は腹をくくりました。
そうです。命懸けのおぢば帰りを決行することをです。

その夜遅く、お宅を出る時の奥さんの言葉は今でも覚えています。

「会長さん。うちの主人は一度決めたら絶対に考えは変えません。
だからおぢばへ行くでしょう。
ただし、おぢばへ連れて行った時、主人の身にもしもの事があれば、うちの子供達が黙ってないですからね。覚悟してください」


全身の血の気が引きました。
続く

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タロ芋座右衛門
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