ND1700到達!「赤黒MRC」解説
【はじめに】
はじめまして、エレンと申します。今回は第15弾リリース直後から研究を重ね、8月20日時点でデビルディアボロスZカップNDにてレート1702に到達した「赤黒MRC」の解説をしていきたいと思います。このnoteは基礎的な部分への言及が多く、「これからMRCを使ってみたい、ある程度使いこなしてみたい」という方向けの内容となっています。「これを読めば1700を目指せる!」といった高度なものではございませんのでご了承ください。なお、筆者はnote初投稿のため至らぬ点がありましたら申し訳ございません。
【デッキ概要】
デッキリスト
デッキリストは以下の通りです。
特筆すべきは《インフェルノサイン》《エターナルサイン》を2種計6枚、Sトリガーを《オーダー》込みで22枚採用していることでしょうか。《MRC》の超探索に目的の呪文が引っかからないことは負けに直結するので、呪文は5種類に抑えています。
基本戦略
今回のリストはフィニッシュルートをワンショットに寄せておらず、勝ちパターンは大きく
①早期に着地した《MRC》による圧倒的アドバンテージを生かして2〜3ターンに分けて殴り切る
②墓地が十分にたまってから《MRC》→各種《サイン》→《ヴィルジニア》→《MRC》…と展開し、ワンショットないし盤面の完全制圧を狙う
③手出しやトリガーによって序盤に場に出た《オーダー》《タイガー》で相手の盾を3枚まで刻み、《MRC》1体でも勝負を決められるようにする
という3つに分けられます。③は可能な場面が限定的かつ①、②と併用することが多いので、実質的に基本プランは2つになりますね。優先度は①>②で、まず可能なら①、それが無理なら②、③はチャンスがあったらくらいの認識で大丈夫です。
【採用カード】
採用カードについて個別に見ていきます。
《デッドリー・ラブ》×2
ややテクニカルなカードです。《ジェニーダーツ》からキーカードを守る、相手の早期《ディアス》返霊ビートを咎める、不要になった墓地肥やし要員を自壊させて盤面を空ける&アウトケアをする、各種《サイン》と併せて《オーダー》《ヴィルジニア》《タイガー》の効果を使い回す、シンプルに防御トリガーとして使うなど、役割は多彩です。
《邪眼銃士ディミトリ卿》×4、《埋葬虫ベリアル・ワーム》×4
最重要な初動 兼 防御の要で、どの対面でもこれらからプレイしたいところです。どちらも手札にある場合、ビート対面では《カゲキリ》や各種《ヤヌス》と相打ちできて《オーダー》が確実にトリガーになる《ディミトリ》から、それ以外の対面では単純に墓地肥やし枚数の多い《ベリアル》から出していきます。(もちろん状況にもよります)
《ディミトリ》は墓地と山札両方に《MRC》がない状況では高笑いしながら山札をシャッフルするだけの謎の存在になってしまうので、並べすぎてのアウト共々注意しましょう。
《プライマル・スクリーム》×4
大量墓地肥やしと良質な手札補充を兼ねる、このデッキの潤滑油です。トリガーがついている点も強力で、防御札ではないものの突然《MRC》によるカウンターが発生するので相手の刻む動きに対して強烈な裏目を作ることができます。(在りし日の《ツヴァイランサー》が「ツヴァイはトリガー」と言われていたのと近しいものを感じますね)
《邪眼獣ヤミノオーダー》×4
あまりにも強すぎるデュエプレオリジナルカードです。序盤には小型や邪魔なブロッカーを、中盤以降は《バルカディアス》をはじめとした厄介な大型を、墓地を肥やしながら簡単に討ち取ることができます。手出しも容易なコストで打点にもなり、おまけのように緩い条件でトリガーになります。手出し、トリガー、《MRC》からの各種《サイン》といつどこから出しても仕事ができ、完全に意味不明です。
《魔光蟲ヴィルジニア卿》×4
《MRC》の早期着地や、《MRC》→各種《サイン》→《ヴィルジニア》と繋げることで《MRC》分身ワンショットを可能にするカードです。基本戦略で述べた①、②のプラン両方にほぼ必須であり、またデッキ全体として《MRC》への依存度が極めて高いので実質的な《MRC》であるこのカードの重要性も当然高くなります。
《デーモン・ハンド》×4
盾からめくれても《MRC》から唱えても文句なしに強力で特に言うことはないです。
《インフェルノ・サイン》×4、《煉獄と魔弾の印》×2
このデッキにおいて《MRC》の出力を高めてくれる貴重なカードです。《MRC》から唱えて《ヴィルジニア》を釣れば《MRC》の分身、《オーダー》《タイガー》を釣れば除去、ブロッカーを釣れば守りを固めながら攻撃することができます。また、手打ちで《ヴィルジニア》を蘇生することで実質的に《MRC》の9〜14枚目として扱うこともできます。
本構築には非進化クリーチャーが5種類採用されており、目的のクリーチャーが探索に引っかからないことも多いので、《サイン》を2種類採用することでそのリスクを軽減しています。《インフェルノ》は単色かつトリガーな点、《エターナル》はSA付与で打点が伸びる点がそれぞれ長所ですが、今回はデッキ戦略で述べた通りワンショットがメインプランではなく、《タイガー》との相性も加味して《インフェルノ》を多く採用することとしました。
《火焔タイガーグレンオー》×4
全体火力内蔵のトリガークリーチャーで、《アンタッチャブル》を用いたビートデッキなどに対して絶大な威力を発揮します。手出しはほぼ間に合わないですが、墓地に置いておけばトリガー《インフェルノサイン》からも出るので実質8枚体制にできる他、《MRC》から各種《サイン》を唱えることで能動的にプレイすることも可能で意外と器用に扱えます。
《煉獄邪神M・R・C・ロマノフ》×4
このデッキ唯一のフィニッシャーでありコンセプトカードで、このカードがないとゲームになりません。
【対面別相性・立ち回り】
対面ごとの相性、立ち回りについて解説します。なお、相性についてはすべて筆者のランクマッチでの経験・勝率から導き出したものであり、対戦相手の実力等は考慮していません。読んでくださっている皆さんの考えとは異なるかもしれませんがご了承ください。また、先手後手で勝率が大きく変わる対面のみそれぞれの相性を記載しています。主な環境デッキに関してはBEANSさんのグラフをご確認ください。
・ネクラ超次元(呪文型):不利
《お清め》を《ドラヴィタホール》で使い回してくるデッキです。《ディミトリ》《ベリアル》を複数並べ、継続的な墓地肥やしで《お清め》耐性を持たせましょう。唯一《バルカディアス》を破壊できる《オーダー》は1枚は抱えておきたいです。《お清め》が予想される場面では《プライマル》を安易に使用せず、《ディミトリ》《ベリアル》の墓地肥やしによって相手に先に《お清め》を吐かせた返しに打つのが理想です。
・ネクラグレイトフルライフ:微有利
基本的な戦い方はネクラ超次元と同じですが、《ジェニーダーツ》《リーフストーム》による小刻みな妨害や《お清め》にアクセスできる《アヴァラルド公》がないので、こちらの対面のほうが《MRC》が着地しやすいです。
・トリーヴァグレイトフルライフ:有利
《お清め》《ディアス》といった墓地メタが搭載されていないので一方的に《MRC》のカードパワーを押し付けることができます。《バリアントバデス》《Jイレブン》による奇襲をケアし、《デッドリーラブ》を上手く使ってお互いの盤面を管理しながら攻撃を仕掛けます。「ネクラグレイトフルライフ」にも共通して言えることですが、《グレイトフルライフ》を破壊してしまうと相手の墓地がなくなって《MRC》の手出しが遠のくので注意しましょう。
・ラッカ超次元 先攻:有利 後攻:微不利
一般的には「MRC」側が不利だとされており、このデッキに勝ち越しているのが本構築の強みだと考えています。ブロッカーや《オーダー》で妨害しつつ、《MRC》が着地したら過剰打点で押し切りましょう。前述のプラン③はこの対面でこそ真価を発揮し、《オーダー》で盾を刻むことで《MRC》の通りを良くする他、相手に盤面を処理する選択肢を与えて盾を守れる可能性があります。仮に《スパーク》《コルテオ》で逆リーサルをかけられても、《MRC》によって壊滅した盤面から《アンタッチャブル》除去手段込みで18枚の防御トリガーを貫通するのは容易ではありません。《アンタッチャブル》の複数覚醒が明確な負け筋なので注意しましょう。
・エンペラーキリコ:微有利 バルガライゾウ:有利
この2つは全く違うアーキタイプですが、こちらがやることは変わらないので一括りで解説します。ブロッカーを並べて墓地を肥やしつつ《サファイア》を受けるための盤面を作り、状況を見ながら相手の着地前に殴る、着地させてからカウンターでワンショットする、《MRC》で盤面を捌くなどのプランを選択します。よほど相手が事故っていない限り一切着地させずに勝つことは難しいので、《コルテオ》《パラディンスピア》《アブドーラ》等の絡んだ《サファイア》ワンショットは割り切りましょう。「キリコ」「ライゾウ」の上振れを受け切れるデッキのほうが稀です。《MRC》を無理やり着地させるため、あえて《サファイア》の3点焼却を通すプレイも覚えておきましょう。
・白緑,青緑,トリーヴァカスケード 先攻:有利 後攻:5分
相手の型によって立ち回りに変化はありませんが、《スパーク》《コルテオ》の採用枚数が少ないほどこちらが有利になります。ブロッカーとトリガーで盾を守りながら《MRC》の着地を目指します。《スパーク》はどのみちケアできず、盤面を壊滅させても《カスケード》1枚から一気に再展開されるので《MRC》が着地したら果敢に盾を割りにいきましょう。こちらも盾で勝負できるデッキなので、仮に1ターン止められても勝機は十分にあります。また、この対面でもプラン③は効果覿面です。
・赤白速攻 先攻:有利 後攻:微不利
他のビート対面同様、ブロッカーとトリガーで耐える形になります。ただこの相手に関しては極端に速く、先手後手や盾の中身に大きく依存します。こちらの盾を2枚程度残し、盤面も処理することで《スパーク》カウンターすらケアして攻撃できることもありますが、なす術なく貫通されて負けてしまうこともあります。ケアできるものはし、仕方のないものは割り切ってあとは祈りましょう。
・ドロマー白騎士ゲート:有利
最も有利な対面と言っても過言ではありません。動き出しの遅さとこちらへの干渉手段の少なさから《MRC》の着地を妨害される心配がなく、あちらの主力である《ミルザム》《エルドラード》も《MRC》に対してはほとんど無力です。唯一《パギャラ》だけは《MRC》単独での突破が不可能ですが、反対に《パギャラ》が1体立っているだけではこちらの脅威にもなり得ないので《サイン》等でアタッカーを増やしながらじっくり"シールドフォース"を剥がしにいきましょう。あまりゲームが長引くことはありませんが、生き残った《パギャラ》が《バルカディアス》に進化する展開が予想される場合には《オーダー》をキープ、または《プライマル》で回収しておきましょう。
・赤黒MRCミラー:5分
最も練度が要求される対面です。お互いの墓地の確認、次ターンの相手のアクション予想をし、《MRC》着地ターンから逆算してプランを決定します。お互い順当に動けば盾勝負になるので、基本先に殴ったほうが有利になります。相手の《MRC》を先に着地させないよう、こちらの墓地肥やしのペースを管理しましょう。ただし、後続の確保や大局を決することができない状況で後先考えず殴ってしまうと、相手に与えた手札やトリガーからカウンターを受けたり盤面を制圧されたりする場合があります。そのリスクに見合っただけの優位を得られるのかを考える必要もあると言えるでしょう。また、《MRC》着地後は盤面に残ったブロッカーの数が大事になるので、積極的に並べつつ相手のブロッカーは《オーダー》で適宜処理しましょう。その際もお互いの墓地枚数には注意が必要です。
ここまで読んでくださった方は「『ネクラ超次元』以外不利対面ないの?」と思われるかもしれませんが、実際筆者は他の対面にはしっかり勝ち越していました。
【プレイングテクニック】
「赤黒MRC」を使用するにあたって実戦で使えるテクニックを紹介します。これらを知っているかどうかが勝ち負けに結びつく場合もあるので、よろしければ見ていってください。
《デッドリーラブ》《プライマル》を用いたコスト軽減
《デッドリーラブ》はお互いのクリーチャーを破壊できるので、サイキッククリーチャー以外に打てば2体+《デッドリーラブ》で合計3枚お互いの墓地が増えることになります。これを2コストで行えるので、手出しの《MRC》のコストを実質1軽減することができます。また、《プライマル》は回収しなければ4コストで5枚の墓地肥やしができるので、こちらも同様です。これらによってこちらの墓地にクリーチャーが2体以下の時でも《MRC》を着地させられる可能性があり、厳密に墓地枚数を計算している相手に対して奇襲を仕掛けられることがあります。ただし、多色である《MRC》の最小コストは2であり、1にはならないので注意しましょう。
《デッドリーラブ》+各種《サイン》ギミック
《MRC》から《デッドリーラブ》→各種《サイン》の順番で唱え、盤面の《オーダー》《ヴィルジニア》《タイガー》を自壊させて墓地から出し直す動きは強力です。《デッドリーラブ》で相手クリーチャーを破壊しつつ、状況に応じた”出たとき効果”を使い回しましょう。また、こちらの墓地にすでに出したいクリーチャーがいる場合、《サイン》→《デッドリーラブ》の順番で唱えれば”出たとき効果”を使った上で即退場させ、盤面の圧迫を防ぎながら《デッドリーラブ》での破壊も行えます。
やや場面は限られますがこちらの盤面が《MRC》込み6体の場合、本来《サイン》から《ヴィルジニア》を釣っても盤面に空きがないので《MRC》を出すことはできません。しかしながら、このような状況で《サイン》→《デッドリーラブ》をし、《サイン》から《ヴィルジニア》を釣ると《デッドリーラブ》の破壊効果が《ヴィルジニア》の蘇生効果の前に発動するので、こちらの盤面を1つ空けてその枠に《MRC》を着地させることができます。
(これ自体は《デッドリーラブ》→《サイン》でも可能です。釣ってくる《ヴィルジニア》以上に不要なクリーチャーがおり、そのクリーチャーがすでに墓地にある場合はそれでも構いませんが、墓地にない場合《サイン》の探索に引っかかる種類が増えてしまうので、その場合は《サイン》→《デッドリーラブ》の順番にしましょう。)
《サイン》探索ヒット率を上げる方法
このデッキにおける7コスト以下の非進化クリーチャーは5種類であり、各種《サイン》はその中から3種類を探索することになります。勝負を仕掛けるターンに目的のクリーチャーが《サイン》で釣れないとそのまま負けになってしまうことがあり、可能な限り避けたいところです。そのための策として、墓地のクリーチャーの種類を絞ることで《サイン》探索ヒット率を上げられる場合があります。ここで具体的なパターンをすべて列挙することは難しいですが、いくつか例を挙げておくので自分でプレイしながら考えてみてください。
1.《プライマル》で拾っておく
これは非常にシンプルです。《サイン》の前に《プライマル》を打ったとき、墓地に1枚しかないクリーチャーを回収することで種類を絞ることができます。
2.《MRC》から《サイン》→《プライマル》の順番で打つ
《MRC》の効果で《プライマル》と《サイン》を両方打つ、かつすでに《サイン》で蘇生したい対象が墓地にいる場合、《プライマル》を先に打ってしまうと無作為な墓地肥やしによって《サイン》の探索に引っかかる種類が増えてしまうことがあります。《サイン》を先に打つことで確実に狙いのクリーチャーを蘇生させましょう。ただし、当然ながら《サイン》の蘇生対象が墓地にいない場合は先に《プライマル》を打って落としにいくので、そうなったら上記1のテクニックに派生します。
3.《MRC》の進化元にすることで墓地からなくす
《MRC》のメテオバーンを1〜2回だけ使用して墓地から《サイン》(+もう1枚の呪文)を唱える場合、《MRC》の下に進化元が2〜1枚残ることになります。これを利用して墓地のクリーチャーの種類を絞ることができる場合があります。このテクニックを使用する可能性がある場面では、《MRC》の進化元を選ぶ段階から注意が必要です。
【おわりに】
ここまで長々と読んでいただき本当にありがとうございます!「赤黒MRC」というデッキは構築からプレイに至るまで本当に多様かつ今までのデュエプレにはなかった挙動をするので、非常に使用ハードルの高いデッキだと考えています。(現代デュエマを知る人からすると「カリヤドネ」に近いそうです)しかしながら、その分慣れてくると最高に楽しくて強力なデッキであることもまた事実なので、このnoteを読んで少しでも興味を持ってくれた方がいらっしゃればとても嬉しいです。
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