サントリーウイスキープレミアム三兄弟に憧れるのはもう止めませんか?
昨今のウイスキーブームは異常な熱を帯びています。
そのブームをけん引しているのが、サントリーのプレミアム三兄弟。それが「山崎」「白州」「響」の三兄弟です。
この三兄弟は海外で名のあるコンペティション。インターナショナル スピリッツ チャレンジ(ISC)などで数々の受賞をしている事から、海外での評価が飛躍的に高まっています。
その結果、定価が昔に比べて数倍に跳ね上がり、さらにプレ値(プレミア価格)まで上乗せされてとんでもない金額で市場では取引されるのが当たり前になってしまいました。
私の周りでもウイスキー好きがいるのですが、皆口を揃えてこう言います。
「いつか山崎や響を買って飲んでみたいな」
そこで私はこう考えました。
「いや確かにプレミア三兄弟は美味いよ。でもこの金額出すならもっと美味しいお酒あるから」
プレミア三兄弟の現状ですが、NA(年数表記がない、シリーズで一番安価な商品)ですら1万円は確実に超えます。12年表記なんてつこうものなら2万円オーバー確実です。
ただいくら美味しいと言っても所詮はNA。個人的には味のクオリティを考えたら1万円も出す価値はないと考えます。
逆に1万円程度の予算でプレミア三兄弟を上回るパフォーマンスをもっている、私がこれまで飲んだ事のあるお酒を紹介します。
せっかくならプレミア三兄弟の代わりに、今回紹介するボトルを買ってみませんか?
プレミア三兄弟を超えるボトル
プレミア三兄弟の大まかな特徴として甘さをベースに、若干のスモーキーさ。そしてミズナラ樽由来の上品なウッディさなど複雑な味と香りが絶妙なバランスで作られている事です。特に山崎と響には商品にもよりますが甘さを主体とした傾向が強いです。
これらの全ての特徴を完璧に模倣するのは難しいです。だからこそ唯一無二であり、価格がここまで上昇する要因になっています。
ここで少し冷静に分析します。プレミア三兄弟の中で一番人気は「山崎」です。そして山崎の特徴は他の三兄弟よりも甘さをより中心に作られている事です。
これはシェリー樽やワイン樽、ミズナラ樽など、甘さが主体になりやすい樽の原酒比率がより高い事が要因です。
ということはですよ。濃厚かつ上品な甘さを感じられるボトルであれば山崎の代わりになる。いや、代わりになるどころか「山崎よりこっちのがよくない?」という事にもなるという事です。
ということで、これらの特徴をもったボトルを紹介します。
①ロンサカパ23
ロンサカパ23は実はウイスキーではありません。「ラム」です。
「おいおい、ウイスキーじゃないんかい!」
そのツッコミは分かりますが、一旦聞いてください。
ウイスキーはモルトやグレーンといった穀物を蒸留したお酒です。それを樽で熟成する事で完成します。
ラムも基本的には同じ蒸留酒です。ただラムの場合はサトウキビを蒸留したお酒です。原料が違うのですね。
ラムってスーパーなんかに売っているのしか見た事ない人は、透明の液体のイメージがあるかもしれません。これはホワイトラムと呼ばれるもので、樽で熟成していないものです。
一方で樽で数年熟成させた「ダークラム」と呼ばれる種類のラムもあります。お菓子の原料に使われるタイプのラムはこちらです。ラムレーズンを作る時のラムもダークラムです。
さらに。最近のウイスキーはこのラムを熟成させた樽を使ってフィニッシュ(後熟)させる商品もどんどん出てきています。シーバルリーガルやグレンリベッドなどが有名ですね。
ただラム樽フィニッシュをかけたウイスキーを飲んで思う事は
「だったら最初からラムを飲んだ方が良くない?」
これが私の率直な考えです。
なぜならラム樽フィニッシュの商品を欲しがる人というのは、ラム特有の甘さを味わいたいからですよね。だったら高いお金を払って中途半端なものを飲むより、素直にラムを飲んだほうが良いのではないか?
そこでウイスキー好きにもオススメしたいのが、このロンサカパ23です。
このラムは、数あるラムの中でも間違いなく一級品です。ラム好きにNo1ラムを挙げてと聞けば多くの人がこのロンサカパ23を挙げるでしょう。実際このラムはBARでも人気があるため、取り扱っているお店が多いです。
一つだけ注意事項があるのですが、ロンサカパの23年という表記はウイスキーとはちょっと内容が異なります。
ウイスキーの場合は年数表記している場合「最低〇〇年以上の原酒を使っていますよ」という意味です。
つまり12年表記なら、一番若い原酒で12年という事。実際はそれ以上の熟成年数の原酒も使っています。
ところがラムの場合は「原酒の平均熟成期間」の表記になります。
つまり5年程度の若い原酒もあれば、30年越えのような長期熟成の原酒も入っているという事。老いも若きもが一緒になって一つのお酒になっている。その原酒チームの平均年齢って感じです。
ただし、個人的に飲んで感じるロンサカパ23の熟成具合は最低でも15~18年クラス。下手すると20年越えクラスの熟成感があります。
香りは非常に芳醇。熟成の若いウイスキーは結構鼻をグラスに近づけないと香りを感じにくいですが、ロンサカパ23は20~30㎝離れた場所から嗅いでも十分すぎるくらい香りが分かります。
キャラメルやバニラ、濃い黒蜜。とにかく甘い。
そして味はハチミツやレーズン。高級洋菓子店で作られるような、濃厚なアップルパイを思わせるバターと過熱した果実からくるパワフルな甘さが次々に押し寄せてきます。
このロンサカパ23の価格ですが、現時点で大体5000円台です。6000円用意すればお釣りがくるでしょう。
山崎NAの半分程度の価格でこのパフォーマンスは驚異的です。
ちなみにですが、このラムをウイスキーとしてブラインドで出しても、プロでもない限りラムだと気づく人はほとんどいないでしょう。疑われても「ラム樽フィニッシュのウイスキーなんだけど」と言えばほぼ分からない。
それくらいウイスキー好きにも納得できる一本です。
②グレンドロナック12年
お次はちゃんとウイスキーです。
グレンドロナックは「シェリー樽の魔術師」こと女性のマスターブレンダーのレイチェル・バリが手掛けるシェリー樽の特徴を存分に味わえる極上の1本です。
グレンドロナックの特徴はシェリー樽の使用比率が高い事です。簡単に言えばシェリー樽の比率が高ければ高いほど、甘さの強いウイスキーに仕上がります。
このグレンドロナック12年は熟成年数12年以上の辛口のオロロソと極甘口のペドロヒメネスの樽を中心に構成されているハイランドのシングルモルトです。
香りはシェリー樽由来の甘さにラズベリーやブルーベリーなどのベリー系の甘酸っぱさ。探していくとしょうがやブラックペッパーのようなかすかなスパイシーさも見つかる。
味はオレンジとバニラ。キャラメル、ビターチョコレート。ラムレーズンのような複数の甘さが押し寄せてきます。ただフィニッシュはそこまで尾を引かず、かすかなスパイシーさと一緒に爽やかに終わる印象。
価格ですが、現時点の市場価格は7000円台前半です。
ロンサカパ23よりは高いですが、山崎NAよりは全然安い。何よりも「代替品を買うにしても、やっぱりウイスキーが良い」という人にはこれがオススメですね。
③ポールジロー25年
最後に紹介するのがポールジロー25年。
こいつはウイスキーではございません。「ブランデー」です。
ブランデーは簡単に言うとワインを蒸留したお酒です。ブドウを収穫して醸造してワイン状態にした後、蒸留して樽熟成させる。原料が違うだけで、ウイスキーと基本的には同じように作ります。
「ブランデーなんて飲んだこともないわ」って人も多いのではないでしょうか?僕もブランデーは美味しくないイメージが強かったので、あまり飲んだ事ありませんでした。
ブランデーって僕達庶民が試しに買うやつはサントリーなどが出している1000円くらいで売っているやつなんですよね。
ただこのレベルのブランデーはハッキリ言ってカクテルベース専用です。間違って初めてブランデーを飲む人がストレートやロックで飲んでしまうと「ブランデー=不味い」という印象を強烈に植え付ける事になります。
では有名なメーカーのブランデー。たとえばヘネシーやレミーマルタンなどのVSOPクラスならどうか?
これが現在だと6000~7000円もするのになぜか美味くない。
ここにブランデーの悲劇があります。実はブランデーというのは、大手有名メーカーだからといって美味しいわけではない。
本当に美味しいブランデーは小規模生産の、いわゆるクラフト系の作り手。その中でも1万円を超えると急にクオリティが異次元に跳ね上がります。
「ブランデーごときに1万円以上も出せるかよ」
そう思うかもしれません。しかしその香りや味を知ればむしろ1万円は安いと言えるかもしれません。
このポールジローですが、ブランデー界隈で知らない人はいないくらいのトップオブトップの商品です。
ポールジローはジロー家がフランスでブドウの最高格付けのグランシャンパーニュ地区のブドウのみで作っています。
しかもブドウを傷つけて品質を損なわないよう、一つ一つ人が手作業で収穫しています。発酵や蒸留過程も機械ではなく人が常に管理しており、膨大な手間と時間をかけています。その為大量生産はできません。
そんな世界最高クラスのブランデーの25年もの。この表記はウイスキーと一緒で最低でも25年以上の原酒を使っています。さらに40年以上の超長期熟成の原酒も混ざっているという事です。
このポールジロー25年は、ウイスキー界隈で言えば山崎25年と比べても見劣りしないポジションの1本です。
ただし。山崎25年の現在の市場取引価格は約200万円。定価が36万円も異常値ですが、こうなってしまうともはや飲み物というより、絵画などの骨董品として取引やお金持ちが資産として保有するアイテムになってしまっています。
対してポールジローの現在の取引価格は約1万5千円。
セールの時などに買えば1万3千円程度で購入できる時もあります。
単体で考えると確かに高いですが、山崎25年の異常値と比較するとどんだけ良心的なんだ?と感じます。私達庶民でもなんとか買えるレベルですからね。
香りは超濃厚なシャインマスカット。かすかな甘酸っぱさがありますが、一番の印象はその香りの強さ。
パワフル&エレガント。超濃厚な香りに「香りだけで酔ってしまいそう」と感じる程です。しかし丁寧に香りを追っていくと、最高級ブドウの上品な甘さが感じられる。
味は上品なハチミツやブドウの甘さを感じさせますが、香りほど甘ったるい感じはない。アルコール辛さは一切感じさせず、余韻は穏やかに引いていく。
これは美味すぎる。ウイスキーではあまり感じにくい果実感をこれほど分かりやすく、華やかに味わえるのはこのポールジローだけではないでしょうか?
山崎とは違うニュアンスの甘さですが、上品な甘さで非常にオススメです。
プレミア三兄弟の代わりに買うべきボトル
①ロンサカパ23(5000円台)
②グレンドロナック12年(7000円台)
③ポールジロー25年(約15,000円)
今回はプレミア三兄弟の代わりに買うべき、私が実際に飲んだことのあるボトルを紹介させてもらいました。
最近はウイスキーブームの過熱も少しずつ落ち着きを取り戻しつつあり、プレミア三兄弟を含めてプレ値も下がりつつあります。
ただしこの3兄弟が定価でいつでも買える日は当分こないでしょう。そもそも昔は3000円程度で売られていた時代を知っている私からすると、定価ですら高いと感じてしまいます。
もちろん無理してでも三兄弟にお金を払っても良いです。それは個人の価値観ですから。ただ無理してプレミア三兄弟を購入した結果「なんか、お金出した割にはこんなもんか?期待し過ぎてガッカリした」という結果になるリスクもあります。
そうであるなら。プレミア三兄弟に1万円を超えるお金を払う用意があるのなら。是非今回紹介した3本のどれかを買って味わってみてください。
kindle作家として下記の本を出版中です
孤独は敵じゃない!?孤独こそ人生の最高のパートナーである
令和時代のケアマネ キーワードは「多職種連携×心理学」
いずれもkindle-unlimitedを利用している方であれば無料で読めるようになっていますので、利用中の方は読んでみてください
「kindle-unlimitedってどんなサービスなの?」
そんな人向けに、サービスの内容をまとめました。結論から言えば
本が好きな人なら絶対に損はしない
これは長年利用してきた僕が、自信をもって断言できます
kindle-unlimitedは現代最強の図書館