初めて飲んだウイスキーはヒゲダン
ウイスキーラバーのあなたに聞きたい。
人生で初めて自分で買って飲んだウイスキーは?それはつまり「ウイスキー沼にハマるきっかけになった始まりの1本」であり、あなたにとって特別なウイスキーであるはず。
恋愛にたとえれば初恋の人みたいなものになるのか?
「今思えば何が好きだったのかよく覚えてないけど、とりあえず初恋がアノ人であった事だけは記憶にございます」という感じ。
多分僕の想像だと、一般的にはあの超有名ウイスキー「角」が最初という人は多いのではないだろうか?
ハイボールブームで初めてハイボールを飲んで「なにこれ、メッチャ美味いやないかい」からの、自分でも買って自宅でハイボール作って飲む。
「ウイスキーーーが、お好きでしょ♪」のCMソングも流行ったような流行らなかったような。
そんな風に、僕も最初に買ったウイスキーが角であったなら、また違った道を歩んでいたのかもしれない。しかしそうはならなかった。
僕が最初に自分で買ったウイスキー、それはウイスキー界のヒゲダンで有名な【ブラックニッカ】
それも一番安い「ブラックニッカクリア」の中でもさらに安い200mlボトルのやつです。
僕がこいつを初めて買ったのは2010年。それは人生において自分のお金で初めてウイスキーを買った特別な瞬間でもあった。
当時僕の地域では、安い所ならこいつのフルボトルが600円台で買えた。今でも800円台で買えるのだから本当に庶民の味方的ウイスキー。
僕と同じようにコイツからデビューした人も多いのではないか?
当時の購入価格は確か約200円。この価格なら最悪不味くても別に構わないし、美味しければ儲けものという感覚であったのを覚えている。
本当は角をフルボトルで買いたいと思っていたのだけど、当時ブラック企業で擦り減った結果、休職中の身でありそんな贅沢は許されない。
でもそんな自分でも買うのを許されて、そこそこ有名なウイスキーはこいつしか浮かばなかった。
こいつを飲む前に、バーテンダーの勉強をしている時に学習したことがある。
何でもウイスキーというのは、世界的にはストレートで飲むのが一般的らしい。日本のようにソーダで割って飲んだりするのはマイナーであり、何なら邪道である、と書かれているではないか。
その為ハイボールすらあまり飲んだことがない、ウイスキー超初心者時代の僕は自宅にあった日本酒のおちょこにブラックニッカを注ぎ、日本酒を飲むかのごとくグイッと飲みました。
最初の印象は
「マ、マズイ。でも、もう1杯とか絶対言えね~」
ちなみに公式サイトのテイスティングノートはこんな感じ
今ならこれらの素晴らしいニュアンスを拾えるかもしれない。
しかし当時のウイスキーなんぞ飲んだことのないひよっこの僕が感じたのは
「なんじゃこれ、セメダインの味と香りがするのだが」
「アルコール度数強すぎ、舌がピリピリする」
「こんなものを、高い金払ってストレートで飲むなんて。世の中のオッサン達はどうかしてるぜ」
こんな感想しか抱けず。とりあえずソーダで割ってみるのだが、なんせハイボールをまともに飲んだ事もなければ、作り方もよく知らないど素人。
自宅の100円ショップで買ったグラスに、冷蔵庫の製氷機の氷を適当に入れて、適当にウイスキーを注いで、適当にソーダで割って、バースプーンどころかマドラーすら持っていないので、食事に使ってるお箸で適当にガチャガチャ混ぜて作ったハイボール。
今思えばなんてヒドイ。まあ今ならこんなものが美味いわけないと分かるのだが、当時は「これが今流行りのハイボール!?全然美味しくないわ」とマズいのはウイスキーのせいにする始末。
その後もったいないから捨てるわけにもいかずしばらく放置
どうしたものかと考えていた時。実家に帰って親と一緒にご飯を食べていたら、なぜか自宅にブラックニッカクリアのボトルがあるではないか。
自分「これ(ブラックニッカクリア)どうやって飲んでんの?ハイボール?」
親「いやいや、ハイボールはキツイから。でも昔流行ったコークハイにしたら美味しいからそれ専用よ」
なんでも自分の親世代が若い時はコークハイが流行ったらしい。コークハイとはウイスキーハイボールの一種で、ソーダでなくコーラで割るスタイル。
思いつきそうで思いつかなかったこの組み合わせ。試しに飲んでみると
「なんじゃこりゃ!?メッチャ美味いやないか!!」
実家の子ども時代に使っていたキャラデザインが入った可愛いグラスに、これまた冷蔵庫の製氷機のユルユルな小さい氷を適当に入れて、ブラックニッカクリアを適当に注ぎ、炭酸抜けかけのコーラを注いで、やはりお箸で混ぜ混ぜ。
こんな適当に作ったカクテルであるにも関わらず、これまでで一番ブラックニッカクリアの美味さに感動している。
ノーマルコーラを飲むより断然美味い。なんかバニラのような甘さとそこから追いかけてくる若干のアルコール感がイイ感じでマッチ。調子の乗ってハイペースで数杯親と一緒に飲みましたよ。
そして翌日はお約束の二日酔い。飲んでる時はジュース感覚で飲めたのに、まさかこんなにダメージが来るとは・・・。
そりゃそうだよね。ベースがウイスキーのカクテルなんだから。それを何杯もハイペースで飲めば当然の結果だろう。
この経験で僕はマズイお酒であっても、工夫次第で美味しく飲めるカクテルの技術や知識をもっと知りたいと思った。最初はあんなに不味いと思っていたお酒がちょっとした工夫であんなに美味しくなるなんて、まるで魔法のようではないか!
一方でこのカクテルの技術や知識は正しく使わないと怖いとも感じた。
カクテルの中には「レディーキラー」なんて呼ばれるものがある。
これはコークハイみたいに、甘くて飲みやすいのだけど実はアルコール度数が高いカクテルの事。
むっつりスケベ野郎が、女性にいかがわしい考えを抱いている時。これを飲ますのだとかどうとか。
確かにこれだけ飲みやすいと度数の高さなんて感じない。気づいたら泥酔していたなんて事になってしまうし、作り手のバーテンダーが意図的に作る事も可能って事だから悪用されると怖いスキル。
ウイスキーデビューはほろ苦く、しかし同時にカクテルの楽しさや素晴らしさを知る良い経験になった。
あなたは初めてのウイスキー何飲みました?良ければコメントで教えてください。