SSII2024参加レポート
こんにちは!株式会社GA technologies、Advanced Innovation Strategy Center (AISC)の河本です!
先日開催されたSSII2024(画像センシングシンポジウム2024)に同じくAISCの三田さんと一緒に参加してきたので、私と三田さんからそれぞれ特に興味深かった研究を紹介させてもらいます
画像センシングシンポジウムとは
開催日:2024年 6月12~14日
場所:パシフィコ横浜
画像センシングシンポジウム(SSII)は、画像センシング技術の発展を支えることを目的としたシンポジウムです。
今年の参加者は1500名を超えるような画像センシングの分野では国内最大規模の学会です。
学会というと大学の研究発表というイメージを持たれる方が多いと思いますが、今大会では7割超が産業界から参加しているそうで、企業からの参加も非常に多くなっています。
今年の開催で30周年ということでさまざまな記念企画が行われました。
特別企画として、画像センシングの分野の技術マップが展示されました。
昔から議論されている技術やディープラーニングのような近年急激に発展した技術など多くの方がまとめてくださっていました。
他にも、昨今目覚しく発展しさまざまな分野で大きな影響を与えている大規模言語モデル(LLM)のサーベイが行われ、これまでを踏まえてこれからの技術の発展について大勢の方と議論できる場が設けられました。
このような画像センシング分野の最先端の研究が集まるSSIIで私と三田さんが聴講してきた発表をいくつか紹介します。
メンバーの印象に残った発表
河本
初日のチュートリアル生成AIと3次元ビジョンでは、生成AIを画像処理につかう研究の中でも特にホットな話題のテキストから3DCGを生成する方法についての歴史や使われている技術の解説、今後の発展の予測について講義がありました。
この技術が生まれた当初はテキストから直接3DCGを作成することが主流でしたが、計算コストやどこから見ても顔が正面を向いてしまうという問題のため、今は下火になっており、現在はテキストから一度画像を生成して、その画像を3DCGに変換するという2ステップの方法が主流になっているそうです。
「当初は」「現在は」と書いていますが、この期間はなんと1年半だそうで、生成AIの技術の発展の速度はめまぐるしいですね。
生成AIを使わない画像処理の研究としては写真からの3DCGの再構成としては360度カメラを複数使って被写体の前後関係を保った3DCGの作成の研究で、徳島大学の浮田さんの発表の複数の全天球カメラによるUAV全周囲の3次元計測方法の検討が印象的でした。
360度カメラは周囲全体を1度に撮影できる特殊なカメラです。
そのカメラで撮影された画像を表示すると、その空間に入ったかのようなシーンを見ることができるのですが、物体の奥行き感がわからなく平坦なシーンとなってしまいます。
この研究は360度カメラを複数台使用して、カメラの位置関係と被写体の位置を数式を使って再現することで実際の被写体との距離間を再現するというものでした。
私が個人的に実現したいと思っている家具の配置や距離感が伝わるようなリアルな部屋の内見には必須になる技術だと考えているので夢に一歩近づいたなと思いました。
三田
画像処理や生成AIの話も大変おもしろかったのですが、自動運転系の発表が複数あったことも印象的でした。
株式会社ティアフォーさんの 自動運転における重要技術とトレンド紹介 という発表では、まず自動運転がどういう技術で動いているのかの概要が紹介されました(自車の位置推定、周辺の歩行者や車の認識と10秒程度先までの行動予測など)。そして、その個別のパートにどういう課題があり、どういう対処をしてきているのかの紹介がありました(例えばLiDARだと、高速走行する車では反射光が返ってくるまでの時間が静止状態とは異なるので、その歪みを補正する研究があったりなど)。「周辺の物体の行動予測」や「LiDARの歪み補正」などは、そういう問題があるということすら知らなかったのでただただ関心していました。また「最近は毎日3台くらいお台場で自動運転の実験している」という話も衝撃でした。もう実地で実験できるレベルなんですね…!
チューリング株式会社さんの 生成AIと完全自動運転 では、カメラで得られた周囲の状況を解釈・判断する方法のひとつとしてマルチモーダルのLLMを開発・運用されているという話が興味深かったです。かといって単純にクラウド上のLLMを呼び出す方法だとレイテンシや通信の安定性(様々な場所を走りますし、車自体も動いているため)が問題になるため、エッジとクラウドとで協業するモデルを考えているのだとか。自動運転は固有の技術的なチャレンジが沢山あるんだなとつくづく感じ、関わっている研究者の方々がすごすぎるなと感動しておりました!
おわりに
以上が、SSII2024の参加レポートになります。
AISCでは先進技術により事業に貢献する組織をミッションとしています。
さまざまな分野の最新技術に触れられるように、他のAISCメンバーもさまざまな学会で発表や聴講を行いそのレポートを書いているので、ぜひそちらもご覧いただきたいと思います。
最後に、学会とは直接関係ないのですが、会場だったパシフィコ横浜ではパシフィコ横浜自身のミニチュアフィギュアのガチャガチャが設置してありました。
その支払い方法が先進技術だったので報告しておきます。