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高瀬毅「本の声を聴け」文芸春秋

副題は「ブックディレクター幅允孝の仕事」。表題を見ただけでゾクゾクっとくる本だ。「本棚の編集者」ってどんな仕事なんだろう?実際に病院から企業に至るまで、あらゆる分野からオファーを受け、評価をうけている幅氏。半端な読書量ではない。年間で精読300冊、斜め読みも含めたら900冊を超えるらしい。カテゴリーも「あの人の一生」「スタイル」など既存のカテゴリーは飛び越えている。それに身体感覚としての本という視点をしっかりもっている。音と言葉と味覚を繋げるなど、そのアイデアは無尽蔵だ。そういう仕事の中にもこだわりがあってガルシア・マルケスの「百年の孤独」は欠かさず入れるらしい。それが「遅効性」の高い本だからだそうだ。あとでじわじわと効いてくるのが本の醍醐味なのだとか・・・それからジャック・ラカン。ポスト構造主義に影響をうけたフロイトの弟子だが、彼の「自分探しなんてくそくらえ!不完全であるがゆえに人間は面白い」といった構成主義的な発想を好んでいるらしい。彼のような仕事がしたい!でも夢のまた夢・・・まだまだ足りない。一歩ずつ近づいていきたい!
<幅氏の本の読み方>
冊数ではなく、「いかに自分に引き付けて読むか」を重視
「自分という幹から伸びた枝葉のような感覚で本に接する」
「本は楽しんで読むもので、苦労してまで読むものではない」

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